レイラの過去。
翌朝。結局俺は昨晩から朝まで一睡もできなかった。
そんな俺の苦労も知らずにアリサとレイラは俺を左右から挟んで気持ち良さそうな寝顔で熟睡している。
「はぁ……」
俺はため息を吐きながらも、幸せそうに寝息を立てているアリサとレイラを見て微笑みを浮かべると、二人を起こさないようにそっとベッドを抜け出した。
ベッドから出た俺は壁に立て掛けていた剣を取る。
毎朝の日課である剣の稽古をする為だ。
俺は日課である剣の素振りを終えると、稽古でかいた汗を流すために浴室へと向かった。
「ふぅ……」
体を洗い終えた俺はお湯に肩まで浸かって大きく息を吐いた。
その時、突然の睡魔に襲われた。
昨日の夜から寝れなかったこともあり、稽古による疲労が睡魔となって現れたのだ。
眠気でもうろうとしてきた意識の中、俺は夢の中に落ちていた。
夢の中では一人の黒い鎧を身に纏った男と、その横には嬉しそうに微笑むレイラの姿があった。
* * *
黒い鎧を身に纏った男の隣にいたレイラは真っ白なローブを着ていて、長い杖を手にしていた。
苔むした岩を繋ぎ合わせて作ったダンジョンの入り口は、俺達が昨日入ったダンジョンとは雰囲気がだいぶ違った。
「リュウジ! 今日はなにをするの?」
「ああ、ダンジョンの攻略だよ。このダンジョンは前から攻略できないって言われていた高難度のダンジョンなんだ。前々から僕達に探索の依頼が来ていてね。レイラにも手伝って欲しいんだ……」
「うん! 私、リュウジと一緒ならどこでも嬉しい!」
そう言って満面の笑みで抱きつくレイラに、リュウジはどこか悲しそうな顔をしていた。
2人はダンジョンの中へ入って行く。
襲い来る雑魚モンスター達を倒しながら、ダンジョンのボスであるミノタウロスをリュウジは前に金色の剣を抜くと、目にも止まらぬ速さで移動して容易く両断した。
ダンジョン奥深くに鎮座していたミノタウロスが地響きを立てて崩れ落ちる。
リュウジは返り血ひとつ浴びず、静かに剣を納めた。
「もう少し奥に進もう……」
「うん!」
彼の声色には冷たさが混じっていて、それを聞いたレイラは首を傾げた。
更に奥の階層のボスのキマイラを倒しリュウジは最深部に進む。
「でもリュウジ、ここもう最深部だよね? 他になんかあるの?」
リュウジは答えずに歩き出す。
その足取りは重く、一歩一歩進む度に彼の表情は暗く影を落としていく、ダンジョン最下層の一番奥にあるボス部屋の重い扉が開いた。




