ダンジョンの最下層。9
炎が地面を伝い俺目掛けて襲い掛かる。
やばい! この角度でブレスをかわせばアリサにブレスが!!
俺は背後に目をやると、恐怖に震えるアリサの姿があった。
一か八か……俺がブレスを止めるしかない!
そう考えた俺は地面を踏ん張りながら炎を纏った剣を前に突き出し、黒竜のブレスを真正面から迎え撃った。
「うわあああああああああッッ!!」
俺の叫び声が部屋に響き渡り、俺の体を猛烈な炎の波が飲み込んだ。
「……リオォォォオオオオオンッ!!」
アリサの悲鳴が響いて彼女は絶望した表情で炎を見つめていた。
しかし、その直後に、猛烈な炎の波が一気に吸い込まれるようにして消えていく。
次の瞬間に現れたのは炎を手の平に吸い込み無傷で立っている姿だった。
「……リ、リオン!」
俺はゆっくりとアリサの方を振り返ると、安心させるように親指を立ってて見せた。
瞳に涙を浮かべていたアリサは安堵の笑みを浮かべながら俺を見て静かに頷く。
黒竜も自分のブレスを真正面から跳ね返されたことに驚愕していたが、すぐに雄叫びを上げて再びブレスを吐き出そうとする。
「無駄だ……何度やっても同じことだ……」
俺は余裕の笑みを浮かべながら、黒竜のブレスを手の平に吸い込んで突き出した手を戻して剣を握りなおすと剣が纏っていた炎が燃え上がり天井までの高さになる。
「はああああああああああああああッ!!」
黒竜の魔力をも取り込んだ炎の剣の巨大な炎をそのまま、黒竜の胴体に叩きつけると、黒竜は悲鳴を上げることなく体が飲み込まれて消えた。
炎に飲まれた黒竜の巨体は光の粒子となって霧散し、部屋の中には静寂が広がる。
アリサは静かになった部屋の中で安堵したようにホッと胸を撫で下ろして、俺に近づいてきて胸に飛び込んでくると涙を流しながら言った。
「良かった! 本当によかった……リオンが死んじゃうかと何回も思った。もう……もう、無理しないでね!」
「ああ……分かった。約束するよ」
「……うん。約束だからね……」
涙を流すアリサの体を俺は優しく抱きしめた。
俺達はボス部屋の黒竜を倒してボス部屋から脱出する為に奥にある扉に向かう。
重く分厚そうな年季の入った鉄の扉を目の前に俺は尻込みしていた。
おそらくは一度も開けられたことがなさそうな扉は、ゲームで言えば裏ボスがいそうだった。
前世の知識が邪魔して中々、扉を開けられずにいたのだ。
「……なにをしてるの? 早く行こうよ!」
「ああ、そ……そうだね……」
不思議そうな顔をしているアリサに促され、扉に手を当てたが中に裏ボスがいるかもしれないと思うと、中々踏ん切りがつかない。
「開けないの? 早く帰りたいんだけど……」
「……あっ、開ける! 開けるぞ! 開けよう!」
「もう! 早くしてよ! リオンが開けないならあたしが開けてあげる!」
アリサは我慢できずに扉に手を押し付けて力いっぱい押した。
「……なにこれ?」
扉を開けた直後、アリサが驚いて目を丸くしている。
それもそのはずだ。そこには鎖で手足を繋がれた裸の女の子が眠っていた。
長く美しい銀髪の彼女は死んでいるようにぐっすりと眠っているようだった。




