ダンジョンの最下層。8
「いや、勝ち目がないわけじゃないさ……正攻法がダメならゴリ押しだ。テレビゲーム攻略の基本さ……」
「テレビゲーム? なにを言ってるの?」
不思議そうに首を傾げるアリサに俺は答えた。
「アリサ! 僕にありったけの魔力を注いでくれ! 剣を強化する!」
「考えがあるのね……分かった! あたしの魔力を全部リオンにあげる!」
アリサは決意に満ちた表情で頷くと、俺の手を両手で包み込む。
瞼を閉じて集中したアリサの体から徐々に赤いの光が溢れ出し始めて、俺の体内へとアリサの魔力が流れ込んできた。
「すごい……どんどんアリサの魔力が流れてくる……」
俺の中に膨大な量の魔力が流れ込み、身体中の細胞一つ一つが活性化していくような感覚に陥る。
俺の体内をアリサの魔力が炎となって燃え盛るように体中を駆け巡りそれが持っていた剣に集まる。
剣から立ち昇る炎が激しさを増すと、黒竜は警戒した様子で咆哮を上げる。
「アリサ……危ないから下がっててくれ! 後は僕がなんとかする!」
「……うん。気を付けてね、リオン」
アリサはそう言って部屋の端へと避難して行く。
剣に集中したアリサの魔力が炎となって周囲に熱を放ち辺りを明るく照らす。
「さあ、覚悟しろよ!」
俺はそう叫ぶと地面を蹴って一気に加速する。
炎を纏う剣を構えて城のように巨大な黒竜の巨体に迫った。
黒竜が傷ついた右前足を引きずっている。
狙うは最初に付けた足の傷だ!!
俺はそう心で呟くと、全力で剣を傷口に目掛けて振り抜いた。
「はぁぁああああああああああッ!!」
俺の渾身の一撃は狙い通りに黒竜の足の傷口に当たって黒竜が怯む。
数歩巨体を後退させ、黒竜の瞳が俺を睨む。
「リオン! 黒竜のブレスが来るわ!」
アリサの声が響いて俺はすぐに黒竜から離れた。
するとその直後、今までよりも大きい炎のブレスが俺がいた場所を焼き尽くす。
俺は瞬時にアリサの元まで離れると、物陰に隠れてブレスをやり過ごす。
ブレスを吐き出していた黒竜の口が閉じると同時に、俺は再び黒竜の足の傷に向けて走って行くと執拗に何度も破損した鱗の継ぎ目に炎の剣を繰り出す。
黒竜は巨体が揺らいで地面に倒れた。
俺は畳み掛けるように黒竜の足の柔らかい肉の部分を目掛け、思いっきり炎の剣を突き出すとそのまま黒竜の肉に剣を貫通させた。
グギャアアアアアアアアアアアアアアッ!!
けたたましい悲鳴を上げながら黒竜の瞳が俺に向くと、口からブレスを吹き出した。




