ダンジョンの最下層。7
「風よ。我が前の敵を薙ぎ倒す力を与えよ! 我は求める。汝の力を我が両手に集いて弾丸と成せ! ウィンドブラスト!!」
アリサが詠唱を終えると、俺の背中に物凄い衝撃が襲い掛かる。
まるでトラックにでもぶつかったかのような衝撃に身体強化魔法で強化した筋肉が軋みながら俺の体を加速させる。
「いっけぇぇええええええええええええええええっ!!」
黒竜の脚目掛けて俺は炎をまとった剣を突き出した。
勢い良く飛んで行った俺の剣が黒竜の鱗を突き破り、黒竜の右脚に突き刺さる。
グギャアアァァァァァァァァァァッ!!
けたたましい悲鳴を上げながら黒竜の巨体がバランスを崩して倒れる。
「やった! やったよリオン!」
「あぁ……ぐっ!」
俺はぐらっと体を揺らして苦痛に顔を歪ませながら地面に膝を付いた。
やはり風魔法を直接背中にぶつけたのはリスクが大き過ぎた。
一撃は予想通りの成果を上げたが、これ以上、自らに風魔法をぶつければ体がバラバラになってしまう……二度目はないだろう。
だが、さっきの戦術を使えないとなると、鱗を突破する方法は限られている。
まあ、まだ俺には作戦が残っている。
運がいいのか、黒竜の足を傷付けたことで動きが明らかに鈍っていた。
俺は炎を剣に纏って、足に力を込めて残像を発生させながら黒竜に高速で接近すると、俺の速度が速すぎて捉えられなかった黒竜は口に炎を溜めて首をこちらに向けるが既に遅い。
俺は黒竜の首に向かって全力でジャンプして炎を纏った剣を振り下ろした。
「はぁぁああああああああああああッ!!」
剣を振り下ろす俺は黒竜の目を正確に狙いをつける。
ガキィィン!!
金属音に似た音がして、俺の持っている剣は黒竜の瞼に阻まれた。
「くっ……瞼まで鋼鉄以上の硬度か
……」
俺の全身に悪寒が走った瞬間、黒竜は大きく口を開けて炎を吐き出した。
突然のブレスに俺は空中で動くことができないまま、完全に直撃コースにいたが、体を捻ってなんとかブレスを回避すると地面に体を強く打ち付ける。
だが、無理な体勢で回避した為、受け身は取れなかった。
「ぐっ! かはっ……」
「リオン!!」
アリサが慌ててポーションを持って走って駆け寄ってくる。
「リオン! これ飲んで!」
アリサは俺にポーションを手渡した。
俺はそれを受け取って一気に飲み干す。
体が緑色に光ると俺の体の痛みが消えて、傷が治っていくのが分かった。
「……ありがとう、アリサ。おかげでなんとか助かったよ」
俺が微笑みながら言うと、アリサも嬉しそうに俺に微笑んだ。
「だけど、ウィークポイントだと思っていた目にも剣の刃が通らないなんて……」
「どうするの? これじゃ勝ち目なんてないよ……ボス部屋の中じゃ逃げることも……」
不安そうにアリサが言った瞬間、俺はニヤッと不敵に笑う。




