ダンジョンの最下層。6
俺はアリサを残して黒竜に斬り込む。
「はぁぁああああああああああっ!!」
振り抜いた剣が黒竜の足に当たったが、硬い鱗に阻まれて刃が弾かれてしまう。
黒竜は前脚を上げて俺を踏み潰そうとしたが、俺は咄嗟にバックステップで距離を取ったが、地面を踏みつけた風圧で吹き飛ばされる。
「くっ……でかい上に硬くて剣が通らないとは……どうする?」
「リオン! 大丈夫?」
俺は吹き飛ばされ、アリサの方まで転がってしまう。
そんな俺に心配そうな表情でアリサが駆け寄ってくる。
「ああ……なんとか……だが、剣が通らないとなると……魔法を使うしか無いか……俺の魔力では魔法は使えない。だけど、アリサがいれば勝てるかもしれない!」
俺がアリサに不敵な笑みを浮かべた。
「あたし? でも、あたしは魔力はあるけど……リオンと違ってスピードがあるわけじゃないし。魔法も使えるのは限られてる。役に立つとは思えないけど……」
「大丈夫だ! アリサは魔力があるのに魔法が使えないわけじゃない。僕に作戦があるんだ!」
ニヤリと笑う俺を見て、アリサは少し困惑した顔をしていたが、首を激しく左右に振ると直ぐに真剣な顔をして頷いた。
俺はアリサの耳元でささやくように言った。
「……アリサ。僕の手を掴んで、そして合図したら僕の背中に風魔法をぶつけてほしい」
「えっ!? 正気なの!? 初級魔法ですらダメージが凄いのに、黒竜がと戦う前にリオンの体がボロボロになっちゃうわよ!!」
俺の一か八かの作戦とも言えない無謀な策を聞いたアリサが叫ぶ。
だが、俺の身体強化魔法を持ってしても、黒竜の硬い鱗には剣が通らない。
さらに強い風魔法で弾丸のように加速できれば、刃が通るかもしれない。今はそれに懸けなければ俺もアリサも体力と魔力の限界が来る。
「やるんだ! アリサ! どっちにしてもボスを倒さなければ、僕達は助からない!」
「……分かった! リオンを信じる!」
アリサは決意に満ちた表情で俺の手を掴んだ。
「行くぞ!」
「うん!」
俺はアリサの手を掴むと、目を瞑って全神経を右手の剣に集中させた。
すると、剣の刃から炎が吹き出す。
俺のマジックドレインは魔力を吸い上げることができる。ならば、それを顕現化させてアリサの得意な火属性魔法を剣に与えることができると思ったが、これが大当たりだった。
俺はアリサの手を放すと、炎の剣を両手で握って構えた。
「アリサ! 風魔法を!」
「はい! 全力で行くわよ!」
「ふんっ……当然!!」
不敵に笑う俺の背中に向かって両手を前に突き出してアリサは詠唱を開始する。




