ダンジョンの最下層。5
俺とアリサは暗い道をアリサの魔法で出した火の玉で照らしながら、ダンジョンの中を何度も歩き回ってたがやはりボス部屋らしき重厚感のある扉があるのみだ。
現世の記憶があるからこそ、俺はボス部屋らしきこの部屋だけは避けていた。
しかし、ここまでこの階層を歩き回って進めそうな場所がこの部屋しかない。
やはり、ここを突破しないと始まらないか……だが、アリサを連れてボス戦か……とりあえず。アリサに話そう、勝手にボス戦に巻き込むわけにはいかないからな
俺はそう考えて恐怖で俺の腕にしがみついて震えているアリサにたずねた。
「……アリサ。やっぱり、このボス部屋を突破しないと先に進めないらしい。アリサはどうする? きっとエイネス先生も僕達を探す為に父上達に協力を要請していると思う。ここで先生と父親達の到着を待っているのでもいい……アリサの好きな方でいいよ?」
俺はアリサにどうするか聞いた。
「リオンはどうしたい?」
「……ボス戦に行くよ。ここで待っていても本当に助けが来るかは分からない。だったら、行動するしかないと思う……でも、アリサを巻き込むことはできない」
「……いいよ。あたしを巻き込んで……リオンとなら、たとえ死んでもいい……あたしはリオンを恨まないよ? だから、一緒に行かせて」
アリサは俺を優しく抱きしめながら、耳元でささやくように言った。
「……アリサ。ありがとう……その言葉で肩の荷が降りたよ……すまないがアリサ! 僕に君の命を預けてほしい!」
「……うん!」
アリサは俺に抱きつきながら嬉しそうに頷いた。
俺達はボス部屋の分厚い扉を開けると、真っ暗な部屋の中から赤く鋭い瞳がこちらをギロリと捉えると、部屋の奥から手前に向かって松明が次々と付いて部屋を明るく照らす。
ボス部屋の中央にいたのは漆黒の鱗に覆われた巨大な黒竜だった。
グゥオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!
けたたましい黒竜の咆哮が空気を激しく震わせる。
威圧感だけで足がすくみそうになるが、横にいるアリサの小さな手が俺の服を強く握っている。
怖いのは俺じゃない彼女だ……まだ子供のアリサが初めてのダンジョンのボス部屋に入ってくるのは死を覚悟するくらいの恐怖だっただろう。
子供が恐怖と覚悟を背負って立ってるんだ……大人の俺が守ってやらなくてどうする!!
俺は覚悟を決めるとアリサの肩を掴んで俺のからだから離した。
「……アリサ。君は俺が護る! 俺が斬り込む。アリサはサポートを頼む!」
「うん! 任せて!」
アリサの瞳から恐怖の色は完全に消えていた。




