ダンジョンの最下層。3
ダンジョンを進んで行くと、ヘルウルフの群れが現れた。
頭の左右に角を生やしたオオカミ型のモンスターで足が速く魔法の詠唱中に攻撃してくるモンスターだ。
しかも、足だけではなく知能も高く連携をしてくる厄介なモンスターでもある。
グルルル……ガルァー!!
ヘルウルフの群れが同時に襲い掛かる。
エイネスは杖を空中に浮かせると、両手を前に突き刺す。
「エルロンドくん。見てなさい……魔導師は詠唱中を狙われやすい。だから、強い魔法だけじゃなくてこうした使い方もあるのよ?」
エイネスは突き出した両手を銃のようにして向かって来ているヘルウルフに狙いをつけた。
「風よ。集まり塊になって敵を貫け! ウィンドバレット!!」
グゥギャアアアー!!
断末魔の叫び声と共に、一瞬にして
襲いかかろうとしていたヘルウルフ達を風を圧縮した弾丸で撃ち抜いた。
エイネスはヘルウルフを全て倒し切った。
エイネスの背後にいたエルロンドは唖然とした様子でその様子を見ていた。
「エイネス先生……すごい! こんな戦い方があるなんて……」
エイネスは空中に浮かせていた振り返ってエルロンドに微笑んだ。
「エルロンドくんもいずれ使えるようになるわ。しっかりと私の言う事を聞いて勉強すればね! 魔法使いなら詠唱中を狙われる可能性が高い。でも、こうしたやり方なら隙を最小限にできるわ。魔導師なら覚えておくといいわよ?」
「はい。ありがとうございます! エイネス先生!」
エイネスは再び振り返って進行方向に歩いて行き、エルロンドもその後に続いていった。
エイネスとエルロンドは途中、休憩を挟みながらダンジョンの中を進んで行く。
この階層なボス部屋にたどり着くと、エイネスはなんの躊躇もなく分厚い扉を開けて中に入っていく。
「エ、エイネス先生!? なんの準備もなくボスに挑むなんて無謀ですよ! 普通は情報を集めて装備や道具を揃えてから挑むように言われて……」
「……大丈夫よ。エルロンドくん安心しなさい。この程度の階層のボスなんて敵ではないわ! それに多少の危険は覚悟の上よ。リオンくんとアリサちゃんを救出しなきゃでしょ?」
「……そ、そうですけど。もう少し慎重に進んだ方が……」
エイネスは決意に満ちた顔をしているが、エルロンドは不安な表情でいる。
「無駄ですよ……エルロンドくん。それに安心して、あの人に常識は通用しないんですから……」
「ま、まあ……俺もなんとなく分かってきましたけど……」
リティスとエルロンドが話していると、エイネスは勝手に部屋の中に入って行った。




