ダンジョン。8
「君達。私は魔法をあなた達に教えてるのよ? 剣で倒しちゃったら意味ないでしょー」
「……まあ、エイネス先生が正しいか」
「うぅ……はーい」
確かにエイネスの言う通りだ。魔法の練習の為にダンジョンに来たのだから、得意な剣でゴブリンを倒してしまっては意味がない。
「それじゃ、リオンくん。2人のサポートをお願いね!」
「はい!」
エイネスが俺に向かってウインクすると、俺は当然のように力強く頷いた。
ウギャアアアアアアアアアッ!!
ゴブリン達は大きく叫ぶと俺たちに向かって襲い掛かって来る。
「炎よ。火球となりて我が前の敵をほふりたまえ! ファイアボール!!」
アリサが手を前に突き出すと、現れた炎の球がゴブリン達に向かって勢い良く放たれた。
数体のゴブリンが火球に当たると、全身が燃え上がって、暴れた後に真っ黒な炭になってその場に倒れた。
エルロンドも手を前に突き出すと詠唱を始める。
「大地よ。地を裂き荒れ狂う波となって敵を飲み込み賜え! アースグレイブ!!」
地面が震え、地割れが起きるとゴブリン達を奈落の底へと飲み込んだ。
エルロンドの魔法によって悲鳴を上げながらゴブリン達は地面に吸い込まれるように消えて行く。
取り残したゴブリンは恐れをなして逃げて行く。
「……させるか!」
それを見た俺は足に力を入れて地面を蹴ると、残像を残しながら逃げるゴブリン達を一瞬で切り伏せた。
断末魔の叫びの後、ゴブリン達は肉片に変わって地面に転がっている。
「よし! みんな良くやったわ! もうゴブリン程度では力を見極めるには物足りないわね! もっと下の階層に降りてみましょうか!」
エイネスは俺達の戦いぶりを見てそう提案する。
だが、リティスはそれに反対なのか、驚いた表情を見せる。
「ちょっと! まだこの子達は、今日ダンジョンに来たばかりなのよ! 今日はこの階層で慣れてから後日、もう少し下の階層に降りる方が安全だとうちは思う! 性急すぎるわよ!」
「あら、そうかしら? 私はそうは思わないわ。むしろ、どんどん階層を下がって早くダンジョンに慣れる方がいいと思う!」
そう言って笑うエイネスにリティスはむっとしながら叫んだ。
「それは師匠が……あんたが! 天才だからそう思うだけで、普通は少しずつ慣れていくのがいいの! 下の階層に行けばトラップなんかもあるし、予期せぬ事態だって起きるかもしれない! 王子まで連れてるのに何かあったら……」
「……その為に私やリティスが付いてるんでしょ? なにも起きないから大丈夫よ。考え過ぎるのがあなたの悪い癖よ。もっと気楽に考えなさい」
そう言って軽く笑い飛ばすエイネスにリティスは拳を震わせながら、更に激しく言った。




