ダンジョン。5
そのプレートには名前が刻まれ、ダンジョンを出てから埋め込まれた魔法石に触れると、プレートに刻まれていた名前が消える。つまり、プレートに残されている名前がダンジョンにいる人の数ということだ。
俺達もプレートに埋め込まれた魔法石に触れると名前が刻まれた。
「みんな。プレートに名前が刻まれてるわね! リティス。リオン・エイデル。エルロンド・グランベルン。アリサ・フェルベール。エイネス・リティス……エイネス・リティス?」
「はーい。みんなのお姉ちゃんです!」
リティスは振り向くと、エイネスが笑顔で立っていた。
「……いつの間に……」
「もう! 私を置いてダンジョンなんて危ないでしょう? ダンジョンは危ないのよ! ロリとショタだけでダンジョンなんて言語道断です!」
「あの……うちも居ますが?」
エイネスにリティスが言ったが、エイネスは視線を逸らす。
「ロリとショタだけ! では危ないからね」
「……あっ、この人。さっきのことを根に持ってるわね……」
エイネスの欲望と心の小ささが、そのやり取りを見ていて俺は再確認する。
気を取り直して、俺達はダンジョンの中に入った。
ダンジョンの中は思ったよりも明るい。洞窟の中だから暗闇を想像していたが、攻略された場所には照明が張り巡らされており、普通に部屋の中かと勘違いするくらいには明るい。
その時、物陰からスライムが複数体現れた。
「なんだスライムか……」
「ひっ! す、スライム!!」
「スライムはダメよ! 逃げるわよ!」
俺の反応とは異なり、アリサとリティスは体を震わせ怯えた様子で顔を青ざめさせている。
その異質な反応に俺は首を傾げるばかりだ。
俺の知っているスライムは言語を話せるやつと言語を話せないやつといるが、全ては雑魚……初級冒険者や駆け出しの勇者が一撃で撃退できるくらいのモンスターでしかない。
怯える女性陣と対照的にエルロンドはニヤッと笑みを浮かべながら剣を構えている。
そして女性陣の中で1人だけ例外がいた。
「まあ! スライムじゃな〜い!」
目をキラキラと輝かせながらよだれを垂れ流しながら興奮したように叫ぶエイネス。
この反応にあの様子……絶対にろくでもない効果を持っているモンスターに違いない。
まずは、この中でも一番スピードに定評のある俺が様子見で斬り込む。
「はあああああああああああっ!!」
ピョンピョンと飛び跳ねるスライムに俺は残像を発生させながら斬り掛かる。
振り抜いた剣がスライムの体を意図も容易く切り裂く。
飛び散るスライムの破片が俺の装備に当たると、着ていた革鎧が溶けて皮膚が見えていた。
やばっ!! 酸かっ!?
俺は素早くスライムから距離を取ると、皮膚に付いたネバネバのスライムの体液を確認する。




