ダンジョン。3
俺達はその水晶玉に手をかざすと、リティスは「なるほど」や「ふむふむ」などと言って水晶玉の側をうろうろしている。
「リオンくんは全属性に適性があるけど、魔力が低い。エルロンドくんは土と光に適性があるわね。アリサちゃんは風と火、さすがはフェルベールの家の子ね。遺伝で適性を受け継いでいるわ」
リティスはノートにメモを取ると、俺達に向かって指を差した。
「それじゃー、エルロンドくん。光魔法を使ってみて! もちろん。初級魔法でね!」
「はい! 光よ。我が前を明るく照らせ! ライトアップ!」
エルロンドの指先に光が集まって周囲をふんわりと明るく照らす。
「エルロンドくん。強弱はつけられる?」
「……やったことはないが、やってみる!」
真剣な顔で突き出した指先の光を大きくしたり小さくしたりと自由自在に操作する。
「よし! 次はアリサちゃん。風魔法を使ってもらえる? 初期魔法でね……」
「はい! そんなのかんたんよ!」
アリサはにんまりと自慢げに笑うと両手を前に突き出す。
「風よ。我が命に従い、かの者を運べ……ウィンド!」
詠唱すると旋風が発生してすぐに消えた。
「どんなもんよ! ふっふーん!」
「なら、今度はこの本を浮かべてみて」
「任せて!」
アリサはテーブルに置かれた分厚い本の方を向いて真面目な表情で見つめた。
「風よ。我が命に従い、かの者を運べ……ウィンド!」
再びアリサが魔法を発動させると、分厚い本がふんわりと空中に浮かび上がった。
「アリサちゃんもしっかり魔法の制御ができてるね! これなら、ダンジョンに行っても大丈夫そうね!」
『ダンジョン!?』
俺達は3人揃って驚きながら叫んだ。
リエラを連れて来ないでとリティスが言ってたのはこういうことだったのか、ダンジョンに行く気だったのなら納得させられる。
「ダンジョンか! 俺もダンジョンに入るのは初めてだ!」
「あたしも! 毎日の稽古の成果をダンジョンで実力を試してみたい!」
エルロンドとアリサは嬉しそうに話していた。
だが、俺は不安でいっぱいだった。俺は元々異世界への転生者だ。
異世界への常識もなく、ダンジョンと言う言葉もマンガや小説の知識だけだ。
現実世界で言えば、熊や猪が大量に放たれた山に剣一本だけ持って放り出されるものだ。
魔法が使えれば現実世界ならロケットランチャーを持ってるもので心強いが、俺は剣だけでなんでも対応しなければいけない。正直に言ったらダンジョンなんて行きたくない。




