ダンジョン。
翌日。まだ太陽が顔を出さないほどの早朝、エルロンドと俺は剣を振っていた。
そこにグランツとアリサがやって来た。アリサの手には大きなバスケットが握られている。
「リオーン! お弁当作ってきたわよー!! 一緒に食べましょー!!」
アリサは笑顔で俺の方へと駆け寄って来る。
「剣を振ってても食べれるようにサンドイッチを作ってきたの! 朝の稽古の前に少しでも食べてた方がいいでしょう?」
「……ああ、アリサありがとう」
「うん!」
満面の笑みで嬉しそうに頷くアリサに俺もなんだか嬉しくなる。
「……アリサ。これって俺も食べていいの?」
エルロンドが遠慮しながら俺の隣でにこにこと微笑んでいるアリサにたずねる。
「エルロンド様も、別に食べたかったらいいわよ。でも、2つ以上あるものだけにしてよね!」
「それは分かっているよ。なら、このハムとたまごのを頂こうかな……」
「それならいいんじゃない? ……リオンはどれが食べたい? なんでも好きなの食べていいよ!」
エルロンドを冷たくあしらうと、アリサはサンドイッチの入ったバスケットを開いて俺に向けた。
俺はそこから数個サンドイッチを受け取ると口に運んだ。
「アリサすごく美味しいよ。ありがとう」
「本当!? なら、良かった!」
サンドイッチを頬張って笑う俺を見たアリサは嬉しそうに微笑む。
アリサの作ってくれたサンドイッチを食べて、グランツとの朝の稽古を終えた俺達はシャワーを浴びてから、魔法の授業を受ける為にエイネスのところに向かった。
俺の後ろ姿を歩いていたアリサは不機嫌そうに頬を膨らませながら、隣を歩くエルロンドにたずねた。
「むぅ……エルロンド様は何でついてきてるの?」
「ああ、父上に頼んでね。あのエイネス・リティスに魔法を学べるチャンスなんて一生に一度あるかどうかだ。だから、今日からリオンと一緒に彼女に魔法を教わる事になったんだ」
「……そうですか。あたしなんて大変な目に遭ってやっと教えてもらえるようになったのに……」
アリサはエルロンドの話を聞いて、まるでフグのように顔をまん丸に膨らませながら更に不機嫌になる。
エイネスのところに着くと、俺はドアをノックする。
「先生! リオンです! アリサとエルロンド様も一緒です!」
中からガタガタと物が飛んだり倒れたりするような音がした後、ドアが勢い良く開いた。
「……リオンく~ん!」
開いたドアからエイネスが飛び出して来たかと思うと、俺の顔に柔らかい二つの塊が押し付けられる。




