異世界転生。4
約束通り、俺はリエラと母親と一緒に教会に行った。
最初は俺や母親とお出掛けという事もあり、可愛いフリルのドレスに身を包んだリエラは上機嫌だったのだが、教会の前まで着くと急に緊張した様子で大人しくなってしまう。
「リエラ。大丈夫だ……お兄さまが付いてるから、一緒に教会に入ろう!」
「……うん」
リエラは俺が手を握って微笑みかけると、彼女は小さく頷いて覚悟を決めたように一歩足を踏み出した。
教会に入るとシスターがリエラを連れて水晶の場所に行った。
「さあ、リエラ様。こちらの水晶に手をかざして下さい」
「……はい」
リエラはそーっと手を水晶に伸ばす。
水晶の上にリエラが手をかざした直後、パキンッ!っと割れた。
「……これは!! ちょ、ちょっと待ってくださいね! 神父様! 神父様!」
水晶が割れたシスターが慌てて神父を呼びに行く。
少し待つとシスターに連れられて神父が血相を変えて走ってきた。
「はぁ……はぁ……リエラ様! どうぞこちらに来て頂けますか?」
「は、はい」
リエラは神父に連れられて教会の地下にある奥の部屋に向かった。
部屋の中には魔法使いを模った像の前にさっきの水晶以上の大きな水晶が置いてあった。
「リエラ様! こちらの水晶に手を当てて下さいますか?」
「……はい」
リエラは水晶に手を当てると再びパリンッ!と水晶にヒビが入った。
リエラ・エイデル
魔力 10000
魔法適正 火、水、風、土、光、闇
金色に光り輝くヒビの入った水晶にリエラの能力が表示された。
「こ、これはすごい! 今まで9999が魔力量のMAXだったと考えられてきましたが、10000とは! しかも、全属性持ちのリエラ様はまさに神に愛された唯一の人間です! まさに神の奇跡! 我が王国に神が神子を遣わして下さったのです!」
興奮している神父とシスターを他所に、当事者のリエラは何故か表情が暗く下を向いている。
その話はすぐに国王に伝わり、貴族達を集めた祝賀パーティーを開催される事になった。
国中にいる貴族達を至急寄せ集めた。神の神子たるリエラを祝うパーティーだ。来れないなどと言おうものなら次に来るのは処刑を告げる使者だろう。
夜になると王城で盛大なパーティーが開かれた。
「今回の主賓はエイデル公爵の長女のリエラだ! 神に愛された女神であり神子がリエラだ。これからはエイデル公爵家に神事や教会などの管理を任せる!」
リエラは国王の玉座より高い所に用意された豪華な作りの玉座に座らされている。




