魔法の師匠。8
「先生! 大丈夫ですか!?」
「……だ、大丈夫よ。それに先生じゃなくて、エイネスお姉ちゃんでしょ? ふふっ、ちょっと、魔力を使い過ぎちゃったみたいね……」
エイネスはそう言って俺に向かって微笑んで見せた。
(……私の魔力を使ったとは言え、これだけの破壊力はあり得ない。それにマジックチェーンで私の魔力を繋いだ直後、全ての魔力を吸い上げられるかと思った……この子、今までに会ったことがないほどの天才。いえ、桁違いの化け物だわ……)
そう心の中でエイネスは呟き、キラキラと瞳を輝かせる俺の方を見つめていた。
屋敷に戻ると、鬼のような形相で父親であるランベルクと国王様が困り顔で待っていた。
最初に狂犬のように声を上げたのはランベルクだった。
「エイネス! 私の息子を勝手に連れ回しだだけじゃなく、あの有様はなんだ! 国中で竜の怒りだって相当な騒ぎになっているんだぞ!」
「はぁ~? リオンくんに魔法を教えてただけよ! あんたから私に頼んできたんでしょ!」
「だからってやり過ぎだ! お前は限度も分からない猿か!? 前々から子供に欲情する猿だとは思っていたが、頭の中まで生粋の猿なのか!?」
「誰が猿ですって? ちょっとショタにいい顔しただけじゃない! あんな野原の一つや二つ消えたって誰も迷惑しないわよ! これ以上文句を言うなら、この地上からロリとショタだけ残して絶滅させて上げるけどぉ~?」
ランベルクとエイネスは互いにおでこ当たる位置まで接近しながら、激しい眼光で互いに睨み合っている。
歪み合っているランベルクとエイネスのところに国王のエドワルドがやって来る。
「まあ、待ちなさい2人共。ランベルクの言い分も分かる。だが、エイネスに説明が足りなかったようだ……今後は気を付けてくれればいい」
「さすがはエドワルド! 国王としての度量が違うわね!」
「……ですが陛下!」
エドワルドは不満そうなランベルクに手を突き出して止めた。
まだ、いいたそうにしていたランベルクだったが、王様がいいと言うのだからどうしようもない。
「今日はこれで解散だ。それでエイネス……お前から見てリオンはどう思う?」
「どうって?」
エイネスの紫色の瞳がチラッと俺の方を見た気がした。
「なかなかに見どころがある子よ。そしてすっごくかわいいわ! もう食べちゃいたいくらい!」
「そうか……リオンは魔法使いになれるか?」
「……私が教えて魔法使いになれないとでも?」
エイネスはエドワルドに殺気の籠もった鋭い視線を向けた。
「まあ、良い。リオンよ。エイネスの言う事を良く聞いて、しっかり励むのだぞ!」
「はい! 国の役に立つ為に頑張ります!」
俺がそういうとエドワルドは不適な笑みを浮かべて頷いた。
やり過ぎたか? 殺されないようにと少しでも王様の機嫌を取るつもりだったが……
そう思いながら彼の顔色を窺うが、不適に笑うだけでなにも感じ取ることはできなかった。




