魔法の師匠。7
「そうね。説明するよりも直接見せた方が分かりやすいわね……リオンくん。一緒に来てもらえる?」
「はい?」
エイネスは俺の手を掴むと、リティスに向かって軽く手を振った。
「ちょっと行ってくるわね。リティス。リエラちゃんをお願いね! 風よ。我を運べ……ウィンド!」
そう言い残して俺の手を握ったエイネスは再び窓を突き破って空へと飛び出して行った。
「窓からじゃなくてドアから出入りしなさいよー!!」
怒ったリティスの声がだんだんと遠くに掻き消えていった。
空を飛び俺とエイネスがやって来たのは街から遠く離れた何もない草原だった。
「まずは、魔法を使う感覚を覚えてみましょうか!」
「魔法を使う感覚って言われても……どうすればいいのか分かりませんよ」
「大丈夫! 私に任せて!」
エイネスはそういうと俺の横顔に自分の胸を押し付けるようにして体を密着させた。
「手を突き出して……いい? 息を整えて手の平に神経を集中させて……永久の闇よ。我に力を与えよ……マジックチェーン」
そう口にした直後、俺とエイネスの体が紫色に輝く。
「さあ、リオンくん。私の後に言葉を続けて……炎よ。我が魔力を捧げる。万物の理と宇宙の理を、愚かな者達に示し賜え……ジャッジメント・フレイムブラスト!!」
「……炎よ。我が魔力を捧げる。万物の理と宇宙の理を、我が前に蔓延る愚かな者達に示し賜え……ジャッジメント・フレイムブラスト!!」
俺がそう叫んだ直後、どんよりとした黒い雲が上空を覆ったと思ったら、そこから隕石のように巨大な炎の火球が落ちてくるのが見えた。
「リオンくん。私から離れないでね……光よ。我を如何なる災いからも切り離す輝きで守り賜え……ホーリーリング」
エイネスが魔法を詠唱すると、俺と彼女を囲むように頭上に現われた光の円からバリアのような円柱状の光が降り注ぐ。
それに目を奪われている直後、地面に空から降ってきた巨大な火球が草原に落ちた。
周囲の地面がひび割れ、もの凄い衝撃波と爆風と熱気が光のバリアを飲み込んでいった。
「うわぁぁぁあああああああっ!!」
地響きと爆炎に俺は悲鳴を上げる。おそらく、核弾頭が落ちた爆心地はこんな感じなのだろう……
地面を揺らすほどの大魔法にも眉一つ動かさず全く動じることのないエイネスの顔がとても凜々しく美しく見えてくる。
全て終わった頃には本来あったはずの草原は見る影もなくなっていて、生えていた草は燃え尽き全てが焦土と化していた。
「ふふっ、すごいでしょ? これを全てリオンくんがやったのよ?」
「……これを僕が?」
「そうよ。これを見ても、まだリオンくんが魔法を使えないと思う?」
そう言ってにっこりと微笑んだエイネスに、俺は首を左右に激しく横に振った。
その直後、エイネスの体がふらつき地面に崩れるように座り込んでしまった。




