魔法の師匠。6
「はぁ~、もう師匠はこれさえなければ最高の先生なんだけどね。風よ。我が命に従い、かの者の体を運べ……ウィンド!」
リティスは杖を取り出すとエイネスの体を風魔法で浮かせた。
「ごめんね。リオンくん、リエラちゃん。師匠をベッドに寝かせて来るから少し待ってて」
リティスはそう言い残してエイネスを運んで行った。
しばらくしてリティスが戻って来ると、咳払いをして杖を出す。
「さあ、気を取り直して魔法の授業をします。師匠ほどじゃなくても、これでもうちだって結構凄腕の魔法使いだからね!」
自慢げに言ったリティスは杖を手にウィンクをした。
「それじゃ、リオンくん、リエラちゃん。もう一度、魔法を使ってみて」
「はい」
「はーい」
リティスにそう言われ、俺もリエラも両手を前に出して体に力を入れる。
リエラの方は顔を真っ赤にしながら息んでいると手の平に水が集まっては弾けるを繰り返している。
だが、俺の方は一向に水の一滴すら出ない。
「リオンくん、リエラちゃん。息を吸い込んで止めるんじゃなくてゆっくり吐き出す感じにしてみて……」
「はい」
「うん」
俺とリエラはリティスに言われたようにしてみると、リエラの方はリティスに言われた通りにしたら呆気なく成功した。
だが、俺の方は魔法が発動する気配すらない。なんだか、子供の頃にアニメのキャラクターが必殺技を出すのを真似している気分になる。
「リエラちゃんはできたけど……やっぱり、リオンくんの方は出ないね」
「……ごめんなさい」
表情を曇らせた俺に、リティスは慌てて言い返す。
「いいのいいの! すぐにできないのが普通だから!」
「魔力が200しかないとやっぱり魔法は使えないのでしょうか?」
「う~ん。そうだねぇ~」
俺が考え込むリティスに少し魔法を使うことを諦めかけていると……
「それは問題ないわ!!」
俺とリティスがその声の方を向くと、何故か窓にエイネスが張り付いていた。
しかし、この部屋は4階にある。普通の人間が昇ってこれるはずはないのだが、エイネスは完全に外壁に張り付いている。まさかのエイネスは魔法は使っていない……
エイネスは窓を突き破って入って来ると、魔法で窓を直して魔法で部屋を綺麗にした。
「リオンくん! 私に任せてくれれば魔力は関係ないわ!」
「えっ? でも、魔力は生まれつきのもので増やせないって……」
「……そう。確かに魔力は生まれつきのもので後天的に増やすことはできない。でも、それを打ち破る魔法があるの!」
エイネスのその言葉に俺は驚いて目を丸くさせた。
それはそうだろう。もう自分は魔法を使うことができないと諦め掛けていた。




