魔法の師匠。2
リエラは素直に「うん!お姉ちゃん!」と言って笑顔を見せたが、俺はこの女はやばいと本能的に理解した。
魔法使いの帽子に胸元を大きく開けた服。しかも、長い足の切れ間からは黒いレースのショーツが動く度にチラッと見える。こんな露出の多い服装をしている痴女の様な女がまともなわけがない。表情は笑顔だが微かに細目から見える瞳がギラギラと光っており、まるで獲物を品定めする猛獣のようだ。
エイネスのその様子を見ていたランベルクは表情を歪めていて嫌悪感が顔に出ている。
そこに隣にいた少女が声を掛けてきた。
「この人は変な人なので気にしないでいいですよ。うちの名前はリティス。この人の弟子だった者です。うちの事はリティスって呼んでくれればいいです。これからよろしくお願いしますね! リオンくん。リエラちゃん!」
膝を折ったリティスがエイネスを押し退けると笑顔でそう言って俺達と目線を合わせる。
どうやら、このリティスという人は信用できそうだ。そう直感で感じたのはその前のエイネスの印象がそれだけ悪かったからかも知れない……
「それじゃー、最初は座学からしましょう。ランベルク、図書室をお借りしていい?」
「ああ、勝手にしてくれ……ただ、私の息子と娘に手を出したら許さんぞ……」
「もう、そんなことするわけないでしょ~。リオンくんとリエラちゃんの前で変なことを言わないでよねぇ~」
そう言ってランベルクの言葉をはぐらかしたエイネスを、不信感いっぱいの目で見るランベルクが俺に耳打ちする。
「……リオン。この女に気を付けろよ? もしもの時はお前がリエラを守るんだぞ!」
「はい。お父様……」
俺は小さくそう言葉を返すとランベルクは少し安心したよう微笑んで「頼んだぞ」と俺の頭を撫でてそう言った。
エイネスとリティスに連れられて屋敷にある図書室にやって来た。図書室には数多くの貴重な蔵書が並んでいる。貴族である我がエイデル家の歴史が書かれた伝記や古文書などもあるが、その殆どは王国の歴史や各地の珍しい書籍の数々だ。
その中には魔法の基礎などが書かれた物も多くある。
「さてと風よ。運べ! ウィンド! とりあえず。これと、これと……あとこれも!」
エイネスはえっちな切れ目の入ったスカートから覗かせるストッキングにベルトで付けた袋から杖を取り出すと、杖を振って大量の書籍の並べられている本棚から本を浮かせて取り出している。
それを見ていると魔法とファンタジーの世界に転生してきた魔法も使えない俺が場違いな場所にいるみたいだ。
ふわふわと空中を飛ぶ分厚い本を机に運ぶと、本が勝手に開いて空中に文字が浮かび上がる。




