魔法の師匠。
俺は体が治ったことでアリサと一緒に母親のところに向かった。
グランツとの戦闘で忘れていたが、今日はリエラと俺の魔法の先生が来る日だった。
正直。謁見の間での王様と父親の反応を見ていれば、あまり良い人間ではないのは分かる。俺は前世の記憶もあるから変な大人の区別は付くから大丈夫だろうが、問題は妹のリエラだ。
貴族とは狭いコミュニティの中に閉じ込められている為、出逢う人は全てと言っていいほどに血縁関係のある身内だ。社交パーティーに出る年齢になればそれ以外の人とも交流することになるが、まだ幼いリエラは5歳で他人の善悪の区別がつかない。
しかも、大切に守られて両親にも溺愛されて育ったリエラは純真無垢で非常に、物凄く、食べちゃいたいくらいに可愛い……
いつも生活を共にしている俺でもリエラの可愛さにはメロメロになってしまう。そんなリエラを見ず知らずの人間が見たらどうする? それはハイエース一択だ。きっと、おそらく、間違いなく。ハイエースされてしまうだろう。純粋無垢なリエラが邪悪な大人の毒牙に掛かって穢されるなどあってはならない。
世界一かわいい妹は必ず俺が守り抜かなければ……
俺はそう心に誓って愛する妹、リエラのところに向かう。
屋敷の部屋に着くと俺は扉をノックした。
「お母様。リオンです」
「はーい。入っていらっしゃい」
母親の優しい声が聞こえてホッとすると、部屋の扉を開けた。
「お兄さまぁ~」
リエラが天使のような笑顔で俺の方へと駆け寄って来る。
「リエラ。よしよし大丈夫だったか?」
「んっ?」
俺の言葉に不思議そうに小首を傾げるリエラの頭を優しく撫でてやった。
頭を撫でられているリエラは嬉しそうにキャッキャと笑う。
そこへ父親のランベルクがやって来る。部屋に入ってきたランベルクの後ろには以前、王城の謁見の間で見た青い髪の短い髪に透き通った碧眼の少女ともう1人、見知らぬ紫色の髪に紫色の瞳の少女が立っていた。
「……リオン、リエラ。ちょっと、こっちに来なさい」
「はい。お父様」
「はーい」
ランベルクに呼ばれた俺とリエラは返事をして父親の方へと駆けて行く。
彼は俺とリエラの頭を撫でるとにっこりと微笑んだ。
「お前達に今日から魔法を教えてくれる先生を紹介する。こちらがエイネス・リティス」
「は~い。リオンくん。リエラちゃん私の事はお姉ちゃんって呼んでねぇ~」
膝を折って前屈みになったエイネスは満面の笑みで両手を振って俺とリエラに挨拶をする。




