リオンの真の実力9
アリサは俺がベッドから立ち上がってはしゃいでいるのを笑顔で見守っている。
「……アリサ。その、君に謝らなければならないことがあるんだ……」
「……んっ? なぁに?」
重苦しい空気でそう言った俺に、アリサはにっこりと微笑んで聞き返した。
そう、俺はアリサに謝らなければならない。例えアリサが怪我を負わせられたとはいえ、グランツは彼女の実の父親だ。
それを倒すとしても屋敷の外壁が崩壊するほどの被害だ……相当な大怪我をしているに違いない。
「ぼく……グランツさんに大怪我をさせてしまったんじゃないか? それを謝りたくて……アリサ、ごめん!」
「ああ、いいの! 戦う以上はケガするのは仕方がないし……それにリオンはあたしの為に怒ってくれたんでしょ? あたしがあの時、リオンを守らなかったらお父様はきっとリオンに大怪我をさせていたわ……こっちの方こそお父様がごめんなさい」
アリサはそう言って深々と頭を下げた。
俺は驚いたように目を丸くさせて目の前で頭を下げている彼女を見て止まっていた。
この子は怪我をしただけじゃなく、俺が怪我をさせられそうになった事を親の代わりに謝っているのだ。そんなのこんな現実世界ではまだ小学生の女の子が考えられると言う事に驚いた。
「あっ……頭を上げてよアリサ! 君に謝られたら僕が困ってしまうよ!」
「……うん」
慌てた様子で頭を下げ続けていた彼女に俺がそういうとアリサは顔を上げた。
* * *
リオンにボコボコにされたグランツがベッドに寝かされているところにランベルクがやってきた。
「まったく、随分とリオンに懲らしめられたようだな……」
「はい。リオンは凄かった……さすがはランベルク隊長の息子さんだ。私など手も足も出ませんでした」
「そうか! まあ、この映像を撮れたのはお手柄だグランツ! だが、いくらリオンの本気を引き出すためとは言え、娘に怪我をさせる必要はなかっただろ? やり過ぎだぞ」
ランベルクは呆れたようにため息を漏らしながら言った。
ベッドに寝ていたグランツは笑いながら言った。
「いえ、我が娘の命よりも本当に尊ぶべきは国の未来です。英雄のスキルの発動者はもう出てこないかもしれない……王国に有用か、見定める必要がありました。ですが……父親としてアリサが生きててよかった」
「ふっ……泣くくらいなら、娘を巻き込まないように上手くやれ。まったく、不器用な奴だ……」
グランツは涙を流しながら顔を背けた。そんなグランツを見てランベルクもため息を漏らして優しい笑みを浮かべる。




