リオンの真の実力7
足の骨がギシギシと軋むように鳴る。一歩地面を踏みしめる度に折れたかと思うほどの激痛に歯を食い縛りながら、俺はがむしゃらに足を動かした。
「グランツ!!」
「……風よ!」
俺が振り上げた木剣に上から振り下ろしたグランツの木剣が打つかる。
カーンッ!!
木と木の当たる音が響いた直後、再び同じく木と木の打つかる音が周囲に響く。
激しく振り抜く木剣が当たり、ぶつかり合う度に音と衝撃波が発生する。
「あんたは! 子供相手に! 大人げないと! 思わないのか!!」
「風よ……風よ……風よ……風よ……風よ……かぜよ……かぜよ……」
俺の怒号と同時にグランツの風魔法で加速させた腕に握られる木剣が何度も弾かれながらもギリギリで攻撃を受け止める。
だが、次第にグランツの魔法が俺の太刀筋に遅れてくる。もう防戦一方になっているグランツの木剣を遂に俺の木剣が粉々に粉砕する。
金色の魔力を纏った木剣が天に掲げられるように大きく振り上げられた。
「これで終わりだ!!」
「………………」
俺が木剣を振り上げた直後、グランツは俺の脇腹に目掛けて蹴りを繰り出す。
しかし、その蹴りは俺の体をすり抜けた。
「残像……だとっ!?」
勝利を確信した時、本来ならば人は油断をする。
スポーツの世界でも勝ちの瞬間の油断から一気に崩れて逆転勝利なんて場面はざらにある。
グランツは戦闘経験の少ない子供だと、俺のことを見くびった。だが、俺は前世では何度も武道大会に出場した経験がある。
それがこの異世界でも役立っている。だが、それはグランツの知らないことだ……
「……これで終わりだ」
俺が現れた時にはグランツの懐に飛び込んでいた。
今のグランツは武器を失い丸腰の状態だった。
膝を曲げて木剣を構える俺は地面を蹴って飛び上がるようにグランツの腹に一撃を叩き込む。
「ぐっ……ぐうぁぁぁああああああああああっ!!」
グランツの甲冑が木剣によって潰れ、勢い良く吹き飛ばされた。
凄まじい威力により木剣も粉々に砕け散った。
地面を抉りながら土煙りを立てながら屋敷の外壁をぶち破っていった。
「はぁ……はぁ……はぁ……くっ……うっ……」
俺は攻撃によって砕けた木剣の破片を手放し、肩で息をしながら地面に手足を突いた。
全身の骨が軋み、筋肉が痙攣を起こしていて無意識に手足がプルプルと震える。体のダメージが想像以上だ。
正直、8歳の体に掛けていい負荷を超えている。
例えるならば軽自動車にフェラーリのエンジンを突っ込んでフルスピードで走り続けるような感覚だろう。
俺が力を使い果たして地面に倒れて気を失う。
グランツと俺の戦闘を見ていたエルロンドは震えていた。
だが、それは恐怖からくるものではない。
「……すごい。リオンの力は本物だ。グランツは騎士の中でも最強クラス……英雄に最も近いと言われている。それを倒すとは……」
エルロンドは震える手を見つめながら笑う。
人は理解の限界を超えると笑ってしまうらしい。それくらい、グランツとリオンの戦いがエルロンドに与えた衝撃は凄かった。




