リオンの真の実力6
「これでまずは一人……風よ……」
腕を風が包み込みグランツが力いっぱいに振り下ろした直後、俺の体を突風と共に衝撃が襲う。
次の瞬間には俺は地面を転がっていた。
地面を激しく転がり止まると、俺の顔の側にはアリサの苦痛に歪む顔があった。
「……よかった。まにあった……リオン。はぁ、はぁ……ケガは、ない?」
「アリサ! どうしたっ!? どこか痛めたのかっ!?」
俺はすぐに起き上がると、冷や汗が流れ苦痛に表情を歪めるアリサの体を抱いた。
アリサの革鎧を捲ると彼女の雪のように白い肌に赤黒く線が入っているように腫れ上がっている。
「はぁ……はぁ……はぁ……ごめんね。あたし、もう……たたえなさそう……」
「大丈夫だ! 俺がお前の分も頑張るから!」
「……うん。おねがい……ね」
アリサはにっこりと微笑んでガクッと全身から力が抜けたように意識を失った。
俺はアリサを近くの木の下に連れて行くと、気を失っているアリサをその木にもたれかけさせた。
「革鎧を着たアリサに掠っただけであの威力……あの野郎! 完全に俺のあばら骨をへし折りにきやがった。アリサを……自分の娘でもお構いなしとは……これが大人のやることかよ! 完全に頭に来たぜ!」
ゆっくりと立ち上がった俺はグランツの方を鋭く睨み付けると木剣の柄を強く握り締めた。
「……絶対にぶちのめす!」
完全に今の世界の喋り方を忘れてしまっている。
俺の透き通った碧眼の瞳孔がガッと開き、怒りに燃える俺の全身から金色の魔力のオーラが龍の姿に噴き上がる。
「……なんだ? リオンの体から湧き上がる魔力の炎が見た事のない魔獣のように……もの凄い威圧感だ。全身の毛が逆立って私に危険を知らせている。こんなのは戦場でも味わったことがない……これが彼の魔法の力か、微力ながらこのグランツ・フェルベール。英雄の魔法の真価……見定めさせてもらおう!」
グランツが木剣を構えると俺は全速力でグランツに襲い掛かる。
金色の龍が俺の体を纏って細かい光が鱗のように伸びて行く。俺の持っている木剣が金色の魔力を纏って炎の様にゆらゆらと揺れていた。
「グランツ!!」
「…………さんを付けろ! こぞう!!」
俺とグランツが同時に木剣を振ると俺の木剣が軽々とグランツの木剣を弾き返す。
「くっ……風よ!」
弾かれた木剣に風が巻き付きグランツの腕を加速させ、向かって来る俺の木剣を押し返した。
互いの木剣が当たってその衝撃波でお互いに後方へと大きく吹き飛ばされる。
だが、俺は体勢など気にする事なくすぐに地面を踏みしめると再びグランツに向かって突っ込んで行った。




