異世界転生。2
俺が転生したのはグランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれたらしい。異世界ながらに中世ヨーロッパの社会が再現された世界だ。
どこかで見たような異世界だがそれが俺には目新しく、この世界が現実世界ではないのだと認識させてくれる。
リオン・エイデル。これが第二の人生の俺の名前だ。
王家に次ぐ地位にある公爵家の長男に生まれた俺は将来は姫様と結婚させられる運命のようだ。
現代社会では、すでに死語と言ってもいい政略結婚。つまりは許嫁というやつなのだ。俺が生まれる前から王家との婚姻は決まっていたらしい。
月日は流れ、俺は5歳になっていた。
「はっ! はっ! とりゃ!」
俺は剣術の鍛錬の為に屋敷の庭で剣を振っていた。
「……おにいたまぁー」
庭にやってきた金髪碧眼の美しい女性と、同じ髪色の2歳くらいの女の子が手を振っておぼつかない足取りで走ってくる。
その時、足がもつれて転びそうになったが、俺が素早く動いてなんとか転ぶ前に受け止めた。
「リエラ! 走って転んだら危ないよ!」
「えへへ、らいじょうぶ。おにいたまがいるもん!」
ニコッと笑う妹に俺は癒される。
まだ2歳のリエラはいつも笑顔が絶えない妹で、この子が居るだけで家族が笑顔で楽しい気持ちになる。
その時、屋敷の庭に繋がる通路の廊下から母親が俺に向かって声を掛けてきた。
「リオン。今日は洗礼を受けに教会に行くんだから、剣のお稽古はほどほどにしなさいね」
「はーい」
俺は母親に返事をすると剣を鞘に収めた。
この世界は5歳になると魔力や魔法属性を測定される水晶に触れる。
そこで素質を見出されて翌年から通う学園での教育方針などを決めるのだ。
街の中心部にある教会には邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジの像が置かれている。
名前からして彼も日本からの転生者なのだろう。
教会に来た俺はシスターに連れられて水晶の前にやってきた。
「それではリオン様。こちらの水晶に手をかざしてください」
「……はい」
俺は言われるがままに水晶の上に手をかざした。
すると、目の前にステータスが表示される。
リオン・エイデル
魔力 200
魔法適正 火、水、風、土、光、闇
それを見たシスターは複雑そうな顔をした。
それには理由がある。魔力は通常なら800は平均くらいだ。貴族は更に高く1000を超える者が多い。
魔力が200だと魔法は初級魔法が使えるか使えないかギリギリのラインだ。しかも、魔力量は先天性のもので鍛えても増えることはない。




