伝説の英雄。4
それもそのはずだ。エイネス・リティスは大魔導士で全属性持ちの高名な魔法使いなのだが、不老不死という噂もある17歳の容姿で100歳を超えているという噂もある。しかし、ランベルクが危惧しているのはその噂ではない……それはエイネスは重度の子供好き。しかも悪い方でショタコン、ロリコンであると言われているのだ。
普通の子を持つ親ならば、絶対に我が子に近づけたくない存在である……
「……ランベルクよ。お前の心配はもっともだ。確かにエイネスは性格に難が多少…………」
「…………だいぶです。陛下」
王様の言葉をランベルクが遮って言った。
その声からは不快感と憤りが滲み出ていた。
「そうだな。エイネスは性格にだいぶ難がある……しかし、お前も知っているだろう? あやつに勝る魔導師はおらぬ!」
「………………確かに」
ランベルクは沈黙の後に今まで俺も見た事がないほど表情を歪めていた。まさに苦肉の策と言ったところなのだろう。昔から良く言うだろう……バカと天才は紙一重とうことわざがあるように、変態と天才も紙一重なのだ。
「無論。私もお前の子供達とあやつだけを一緒にしようとは考えておらん。天敵をしっかりと用意している。これに…………」
「はい。国王陛下……」
王様の声に玉座の前に出てきたのは魔女の格好をした青髪のショートヘアーに碧眼の少女だった。
「師匠の扱いは良く分かっています。うちにお任せ下さい」
「そうか! やってくれるか! リティス!」
「はい。絶対に公爵様の御子様に危害が加わる事はありません……うちも師匠への復習ができると思うと嬉しいです。ふふふっ……」
リティスと名乗る少女は不気味な笑みを浮かべながら邪悪な顔をしている。
一体、エイネス・リティスって人はこの子に何をしたんだ!?
俺はそのリティスの表情を見て底知れない恐怖を覚えた。
王様との謁見を終えた俺は父親のランベルク達がまだ大事な話があるとかで先に屋敷に返された。
王城の者に馬車に乗せられた俺は自分の屋敷に帰ってきた直後、自室のベッドに身を投げるように倒れ込んだ。
「ああああああああああ……疲れたぁ~」
ベッドに倒れながら俺は今まで色々を吐き出すように声を上げた。
今朝から本当に色々あった。今まで無能力者と思われたいた俺には身体強化魔法が備わっていて、しかもそれが悪のドラゴンを倒した英雄と同じスキルとか言われたりとか、しかも誰かにバレたら処刑か監禁コースとか、しかも俺だけじゃなくて王子様とグランツに剣術の稽古を付けてもらう事になるとか、 なんかやばそうな人が俺とリエラの魔法の師匠になるとか。もう考えるだけで脳みそがオーバーヒートを起こして爆発しそうだ。




