標的発見
捕まっていた老人達を解放した後、老人達を村に返した。
そして日が昇ると再びガンドランドが生息する山岳地帯を目指して俺とリーフは出発した。
村人達からは感謝され滞在期間を延ばすように勧められたが断らせてもらった。
あの夜からリーフとは一言も話していない。
というよりもリーフは一言も話そうとしない。
「目的地になかなかつかないなぁ。リーフは疲れないか」
「・・・・・・」
こんな感じで相槌すら返さない。
暗殺者の娘と言う言葉やあの人間離れした素早さと暗闇で正確に獲物を仕留める速さ。
ただ者ではないと思っていたが。
「・・・・・・なぁリーフ。別に俺はお前が暗殺者でも気にしたりしない」
俺は小さな子に言い聞かせるように腰を落として、目線を合わせた。
ルビーのような赤い瞳が炎のように揺らいでいる。
「暗殺者に偏見はないし、俺の命を奪おうと思えば奪えたのにお前はそれをしなかった。俺もお前を疑ったりしないだからさ少しは信用してくれないか?」
「・・・・・・私は幼少の頃より母に暗殺術を仕込まれました。そしてある暗殺に失敗し奴隷に落ちたのです」
リーフの表情を動かさずまるで書いてある文章を読むかのように淡々と話続けた。
「暗殺に失敗した時点で私は暗殺者ではなくなりました・・・・・・なので名を捨てました」
「なるほど・・・それで俺を殺しにきた刺客達に連れられて捨て駒としてやって来たってわけか」
「ザインガル様のおっしゃる通りでございます」
「じゃあさ・・・・・・この首輪も取れればもう奴隷でもなくなるわけだな」
「・・・・・・?」
キョトンとした顔で見つめるリーフに近づくと目を真っ直ぐと見つめた。
「この首輪が取れるまでにリーフのやりたいことを見つけよう。俺も手伝うからさ」
リーフは何も言わずに首を縦に振り頷いた。
勝手な約束かもしれないがこのまま何もない人生を彼女に送らせるのは俺が耐えられなかった。
その後も森の中を歩き続け丸一日が経った。
森から抜けるとそこには草原と丘が広がっていた。
遠くを見ると岩肌がくっきりと肉眼で見えるぐらい山が綺麗に見える。
「あー長かった。本当に長かったもうすぐだぞリーフ」
後ろを振り返りリーフを見ると、リーフの目線は俺とは違う方向を向いていた。
リーフの目線の先を追ってみると丘の向こうから白い煙が上がっていた。
「煙・・・・・・誰かがいるのかもな。行ってみるかリーフ」
リーフはコクンと首を縦に振った。
白い煙の上がる方向に歩いていくと鎧をつけた集団が火を起こし食事の準備をしていた。
近くには馬が数頭おり、恐らくどこかの王国の遠征なのだろう。
「・・・・・・ん?あの鎧・・・どこかで」
俺は目を凝らして鎧についた紋章を見た。
盾の後ろに剣を交差させ、盾には獣の引っ掻き傷がついたような紋章。
その紋章に見覚えがある気がした。
いや見覚えがあるというよりも日常的に見ていたし、なんなら日常生活で身につけていた。
「やばい!!リーフすぐここから離れるぞ!!」
「お!!そこにいるのはもしかして、ザインガルじゃないか!!」
俺がリーフと共にその場を離れようとした時にはもう遅かった。聞き覚えのある声が後ろから響いてきた。
後ろを振り返ると金髪の男が立っていた。白い鎧を身につけ爽やかな笑みを浮かべた騎士。そう王国時代に毎日飽きるぐらい見ていた顔が。
「・・・・・・よ、よぉ。ルイン・・・」
「どうしたんだよザインガル。こんなところで!!」
金髪の男は嬉しそうに笑みを見せて近づいて来た。
彼の名はルイン・カスケイド。王国にいた時の同僚であり、戦友だ。
「ザインガル久しぶりだな!!お前がいなくなってからすごい寂しかったんだぞ!!」
「あぁ久しぶり・・・お前こそ、こんなところでどうしたんだよ?」
「王から命令を受けてな。硬龍ガンドランドの討伐に来たのと・・・ん?そっちの女の子は?」
ルインはリーフの存在に気が付いた。リーフはペコっと軽くお辞儀をした。
「え!?あぁこの子はリーフ!!えっと・・・旅の仲間的な」
「へぇ真面目でお堅くて、自由を信念にしているお前が旅の仲間ねぇ・・・」
「そうなんだよ。やっぱり気分の変化みたいな!!男の一人旅だとさ味気ないからさぁ!!あーやっぱ仲間っていいなぁ!!仲間最高!!!!」
俺はなんとか誤魔化そうと焦りながらも説明するとルインも納得してくれたようだ。
正直に話したらややこしい話だし、何より顔見知りにリーフとの関係を知られるのが一番恥ずかしい。
「というかお前今ガンドランドの討伐って言ったか?」
「うん。お前も協力してくれるのかザインガル?」
「まじか!!いやラッキーだわ。お前がいるならガンドランドも狩りやすいよ」
「何言ってるんだ。俺よりお前の方が強いだろザインガル。一度も勝ったことないぞお前には」
「ハハッそうだったけか」
「そうだよアハハハッ」
久しぶりに話したルインは変わっていなくて話しに夢中になっていた。
だけどリーフの存在を忘れていることに気が付き俺は我に返った。
「そうだ。ガンドランドを討伐したら素材を少しもらえるか?」
「いいけど?何に使うんだ?」
「え!?いや武器とか鎧とかかな?」
「そうか・・・そうだよな。傭兵だものな、色々武具が必要だよな」
「・・・・・・そうなんだよ。アハハ」
話に夢中で危うく旅の目的を忘れるところだった。
「まぁ積もる話は野営地で話そう」
「そうだな」
ルインに連れられて白い煙が上がる野営地に俺とリーフは向かった。
「ガンドランドの場所はわかってるのか」
「あぁもう補足してる。明日には俺たちも戦うつもりだ」
丘を越えルイン達の野営地が見えて来た。
だが次の瞬間、轟音と共に野営地の地面が割れ土煙が巻き上がった。
空から土砂の雨が降り、土煙が晴れると巨大なトカゲのような生物が目の前に存在していた。
岩のような鱗に蝙蝠のような皮膜のある翼。口には鉱石を噛み砕いて食べるための牙。
そう硬龍ガンドランドが地面を掘り進み野営地を真下から吹き飛ばしたのである。
「ガンドランド!!なぜだ!?まだ縄張りには入っていないはずだ!!」
ルインは腰の剣を抜き戦闘態勢に入ると、俺も剣を抜いた。
「さぁなモンスターの考えはわからないからな・・・だけどこっちから行く手間は省けたぜ」
今回から深夜更新にします。更新日は不定期で行いますのでよろしくお願いします。
あと今回は結構、構想練って作っているのでアドバイスとか感想とか評価頂けるとモチベーションが上がります。
今後も私の作品をよろしくお願いします。




