不自由な首輪
夜が明け朝が来た。昇る朝日を見たのは久しぶりな気がする。最近刺客やら暗殺者やらが夜中に襲ってくるから寝れなかったからだ。
ただ悩みが一つ増えた。それは昨日の刺客達が置いていった置き土産・・・いや嫌がらせの首輪と奴隷の女の子だ。
とりあえず目の届かないところに置いておくと、勝手に五十メートル以上離れられる可能性があるため同じ部屋で寝ることにした。
寝てる最中は特に何もなかった。別に何もやましいことをしたとかじゃない。襲われなかったとか暴行を受けなかったってことだ。断じてやましいことはしていない。騎士としての誇りはまだ心の中にあるからだ。
リーフは布団を丁寧に畳みベッドを整えると床に正座して、こちらに視線を送った。相変わらず死んだ目をしている。
「ご主人様・・・・・・ご命令を」
「だから俺はご主人様じゃないって・・・」
「とりあえず風呂とか入ってきてくれるかな?」
「準備しろということですね」
「違うわ!!俺はロリコンじゃないし!!年下には興味ないよ」
「・・・・・・私は十六です」
「そうなのか俺と三つしか違わないのか・・・・・・というか身体を洗ったほうがいいってことな。これから旅にでなきゃいけないわけだし」
「・・・・・・かしこまりました。ご主人様のご命令に従います」
リーフは下の階に降り宿屋の風呂に入りにいった。俺はその間同じく下に降りて、宿屋の主人と話をしていた。
「なぁ主人よ。女性物の服って持ってないか?十代の少女が着るような服がいいんだけど」
話を聴いた瞬間、宿屋の主人が俺に冷たく見下したような視線を送った。絶対に主人は何かとんでもないことに勘違いをしている。
「お兄さんよぉ。人の趣味にとやかく言うつもりはないが・・・・・・ワシをそんな趣味に巻き込まないでおくれ」
「違うよ!!俺は着ないから!!連れが着る服を探してるの!!」
俺の言葉を聴いて主人の顔は突然ニコニコと笑顔になった。どうやら誤解が解けたらしい。
「そういうことでしたか。ワシの娘が着ていた服であればありますよ」
「じゃあそれ一着くれよ。あと靴もあると嬉しいな。金は払うからさ」
「わかりました。しかしいつお連れの方が来たのですかな?昨日泊まる際にはいらっしらなかったですが」
「うん、ん〜急にかな。突然くるから困っちゃうよ全く。あはは〜」
主人からとりあえず洋服をもらうことができた。主人に女装趣味の変態野郎だと勘違いされなくて良かったと胸を撫で下ろすのであった。
部屋に帰るとリーフが床に正座して待っていた。長い黒髪は整えられ、肌も綺麗になり白く艶やかな張りのある肌が日差しに反射されていた。
「お帰りなさいませご主人様」
「早いなもう風呂入ってきたのか」
「はい・・・・・・どんな命令でも迅速に従うことが私の努めですから」
「あーそー。じゃあ主人からの初めての命令。この服と靴着てね。部屋から出てるから着終わったら呼んで」
「・・・・・・わかりました」
リーフは死んだ目をしながら返事を返すと俺は部屋の外に出て、ドアの前で腕を組みながら待った。
(あいつが二階に上がる足音しなかったな・・・この首輪をつけられる時も気配をつけた瞬間まで感じなかったし・・・あいつただの奴隷じゃないな)
「ご主人様・・・・・・終わりました」
リーフの言葉が聴こえると俺はドアを開けた。そこにはヒラヒラのスカートを着た普通の女の子がいた。
「似合ってるな」
「・・・・・・ありがとうございます」
リーフは表情を動かさずお礼の言葉だけを伝える。まるで初めからある選択肢を選んで会話しているようなそんな違和感のような感覚がする。
「似合っているけど・・・・・・その手枷と首輪はどうやって隠そうか」
手枷は服の裾を伸ばせば隠すことはできそうだが、首元についた首輪は服では隠せない。まぁそれは俺もなのだが。
「・・・・・・ここで考えてもしかたないか。外で買い物しようかリーフ」
「ご主人様のなすがままに」
「だから俺はご主人様じゃないって」
その後は町の店で何か首輪を隠せそうな物がないか探すことにした。
歩いている最中町の人達の視線が痛かった。まぁ周りから見たら首輪のペアルックなんて異常者か頭がおかしい恋人みたいに見えているのだろう。
リーフからあまり離れるわけにもいかないし、もし目が届かないところに行かれたら命の危機に瀕してしまう。それならまだ人にヤバい奴だと思われたほうがマシだ。
「とりあえずここでいいか」
俺は服屋を見つけると店のドアを開けて、店の中に入った。
「いらっしゃい・・・・・・」
店に入った瞬間店主の顔から笑顔がなくなり、真顔になった。首輪をつけた男女が入ってきたら頭が理解を拒むだろう。
「店主これを二つくれ」
店の棚に置いてあった赤いマフラーを二つ取り、金と共に机に置いた。
「・・・・・・へ、へい」
店主は若干顔を引き攣らせながらも笑顔を作ると金を受け取り、マフラーを手渡した。
明らかに早く出て行ってほしいと思っていそうだった。俺はリーフを連れて店の外に出ると路地でマフラーを首に巻いた。
「リーフもこれをつけてくれ」
「それは命令ですか?」
リーフは相変わらず死んだ目で俺を見つめて問いかけてくる。
「そうだ・・・命令だ」
「承知致しました」
リーフがマフラーを首に巻くのを確認すると俺は腰を落としてリーフの死んだ目を真っ直ぐに見つめた。霞んだ赤い目にはルビーのような輝きはない。
「いいかい、リーフ。今のが最後の命令だ。俺は人を縛るのも人に縛られるのも嫌いなんだ。これからは自分で考えて自分の意思で生きるんだよ。わかったね」
リーフは言葉を聴いて少し間を空けるとゆっくりと首を縦に振った。
「・・・・・・はい」
「よし。じゃあまず南に行く馬車を探そう。ガンドラントよりもラミアメイルの方が倒すのは楽だからな」
「・・・・・・かしこまりました」
相変わらず表情を変えずに返事だけ返すリーフに言いたいことはあったが俺はその言葉を飲み込んだ。
それから南に行く馬車を探して二時間かけてようやく南に行く馬車を探し当てた。
「なぁこの馬車南にいくんだろ?乗せてくれよ。俺強いから旅の道中ボディーガードになるぜ」
「あぁいいけど俺は北に行くんだぞ。南に行くのはあっちの馬車だ」
「そうなのか悪いなありがとう」
御者が指を指す方向にいる馬車の御者に同じ話をして乗せてもらうことになった。
いろいろあったが目的ができるのは悪くはなかった。自由に旅をしても目的がないのはつまらなかったからだ。
「よし出発するぞ」
先ほど北に行くと話していた御者が馬に鞭を打ち、馬車を走らせた。俺は腕を組みながら馬車を見送った。
後ろの荷馬車には綺麗な黒髪をたなびかせた赤い目をした少女が乗っていた。そうまるでリーフのような服を着た赤いマフラーを巻いた女の子が・・・
「・・・・・・リーフ!?」
俺はリーフの名前を呼んで全力で馬車を追いかけた。だが馬車のスピードはドンドン上がっていった。目測でも馬車との距離は三十メートルほどあった。
「リーフそっちの馬車も目的地着くけど逆方向だから!優先順位的にそっち後だから!」
足を必死に動かして、なんとか馬車に追いついてきた。目測十メートルほどになってリーフはようやく俺に気がついた。
「ご主人様!!」
リーフは手を伸ばした。それを俺はなんとか距離を積めて手を掴むと馬車に飛び乗った。
馬車の揺れに気がついたのか御者のおじさんが呑気に見つめていた。
「あんれ?お兄さん南に行くんじゃなかったのかい。やっぱりやめたのかい?」
「ハァハァ・・・・・・うん。まぁそんなところかな」
息を整えると正座するリーフに視線を落とした。
「申し訳ありませんでしたご主人様・・・」
「まぁ自分で考えて行動しろって言ったのは俺だからさいいよ。手を伸ばしてくれたのは嬉しかったし自分で行動できたな。でも次は相談することも覚えような」
「わかりました・・・・・・ご主人様」
「後俺はご主人様じゃない。ザインガルって名前で呼んでくれよ、これから長い付き合いになるからさ」
「わかりました。ザインガル様」
「よろしい・・・じゃあいこうか北へ」
こうして北のガンドラントの素材を求めて俺達は出発するのであった。
なんとなく思いつきで書いてみました。今後の展開は一応考えてありますがpv伸びそうだったら一週間後に書きます。
伸びなかったら気が向いたら書きますのでよろしくお願いします。




