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ヘシオドスの手記  作者: ラルス
第一章 『創世記』
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プロローグ  『崇高』


 ーーそれは確かな軌跡。



 そう断言するしかないほどの確かな現象、白に黒が混ざり、何もかもを飲み込む闇が現れ、そのどれもを飲まれんと輝きつくす陽が出る。


視界の限りがそうした行いを続け、これは現実なのだと思わせる。


それは世界のどこを見てもこのようなことは見たことがないし、起きた記憶もない。


そう、それは当たり前なのだ。



なぜなら今行われているのはまさしく奇跡、世界の『創造』なのだから。






「はあ〜、今日も学校疲れた〜」


         

 とある学校の帰り道、なんでもない日常の一フレーム、彼はいつものように溜息を吐きながら帰っていた。今日は体力測定もありいつも以上に疲れていた、それくらいしか昨日との違いはない。

 だが、彼には今日を特別に見出していた。

そうなぜなら今日は、、、



「今日は待ちに待った小説の新刊が出る日だ!!よし今から買いに行こう!」



 そう息巻いて近くの本屋さんに向かおうとしてるのは普通の少年。特に秀でたものがあるだけでなく、しいて言うなら少し歌がうまいくらい。そんな少年は意気揚々と鼻歌を歌いながら目の前で青になった信号を歩いた。

そうして歩みを進め、世界から音がなくなった。




「ーーっつ!!ーーーーいっつ!!!!」




 信号の先にいる人影が何かを叫ぶ。だが残念なことに何に何を叫んでいるかも少年には伝わらなかった。そうした瞬間に横から眩しい光が降り注いだ。少年は何事かと横を見た。




 そこには白い悪魔がいた。




まるで人の体から出たとは思えない音があたり一面を占めた。




 腕があらぬ方向に捻り曲がり大量の出血が見て取れる。彼は痛みのあまり何事かと叫んだようだが

そもそも喉はもう生きてはいなかった。代わりに出たのは短い息のみ。



 「っっつ!!!」



 ーーこれはやばい。


 アスファルトの熱を頬に感じながら、体の中から流れ続ける血を止めようと手を動かす。

まがった腕がまともに動くわけもなく止血はおろか仰向けになることさえ許されない。




 ーー痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。



 そう声に出でることもなく取り返しのつかないときは過ぎていく。



 ーーあれ、プリウスかな



 そんなのんきなことを頭で考え始めれるときにはもう、全身の血の気が引き、体から痛覚がなくなっていた。自分の死因を白い悪魔と称した彼はゆっくりとその最後を過ごす。




サイレンの音が鳴り響く交差点で


彼ーーイトウ・ユウキは命の幕を閉じた。

 



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