表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人獣見聞録-猿の転生 V ・Side-B:悪魔のいる天獄  作者: 簑谷春泥
第3章 悪魔が来りて笛を吹く
32/32

おまけ SS/シークレット・サービス

その後① どんな夢

雪「…………」

袈裟丸「…………」

雪「…………」

雪、雑誌のページをめくる。二人の部屋に紙の音が響く。

袈裟丸、寝息の音。

雪「…………」

雪(袈裟丸のやつ、よく寝てるな)

雪(前も寝落ちしてたよな……、僕のベッドで。匂いが落ち着くとかなんとか言って。そろそろ兄離れさせるべきか?)

袈「…………すぅ」

雪「…………」

雪「ま……。もう少しこのままでも、いいか」

袈「……ふふ、もう食べられないです、お兄ちゃん」

雪「ふ、幸せそうにお決まりの寝言言いやがって。どんな夢を見てるんだか」

袈「えへへ。……おいしいよぉ、お兄ちゃんが」

雪(『が』???)


その後② 御黒と喪苅

 南極のアジト。湯上りの喪苅がキッチンの御黒を発見する。

喪苅「にゃは、こんなところにいた。闇彦君、こんな所で一体……?」

御黒「見りゃ分かんだろ。食事だ」

 掌大のカラフルな立方体が並んでいる。すべてペーストの塊。

喪「いや、見ても分からんて……。たまにはちゃんとしたご飯食べたら? 喪苅ちゃんが腕によりをかけて作っちゃるけん」

黒「不要だ。エデンのせいで、どうせ味も分からん。それなら効率的に補給した方が時間の短縮になるし、食うのも楽だ」

喪(御黒くん、苦味以外の味覚が失われてるから……)

喪「じゃ、じゃあせめてスープとかにするから。一緒に食べた方がおいしいよ」

黒「……」

黒(そういえば、実験のためとはいえ、俺が寝ている間の五年間、こいつは広い基地に一人きりだったんだよな)

黒(寂しい思いもしてるか……)

黒「分かった。明日は一緒に食事を摂ろう」

喪「む……、なんだかかえって気を使われた感じがする。子供を見る目付きだったにゃ」

黒「子供だろ、8つも下なら」

喪「にゃっ、失礼な。御黒くんが氷漬けになってる五年の間に、喪苅ちゃんだって大人のレディに成長してるんだよ! 実質3歳しか違わないし! もうお酒だって飲めるもん!」

黒「そういえば、たしかにお前……」

 御黒、湯上りに上気した喪苅を眺める。

喪(おっ……? この朴念仁も、さすがに少しは意識したか?)

黒「頼もしくなったな」

喪「にゃ……」

喪(……方向性は違ったけど、これはこれで……)

黒「あと少し老けた」

喪「おいっ!!」

 喪苅は御黒が丁重に詫びを入れるまで、口を聞いてくれなかった。



過日① ななまがり 

 昼下がりの基地にて。

ウルフギャング「お、侍のおっさんじゃん。何してんの?」

捌光「10号……。これは、素振り……。刀の……鍛錬……」

ウ「鞘付けたまま?」

捌「然り。刀は武士の魂。軽々に抜くこと能わず」

ウ「ほーん。で、その鞘のまま叩いてる布は?」

捌「これは布団……。干してる……。天気がいいから……」

ウ(天気がいいから……)

捌「何気ない日々の些事すら……心持一つで、修行に変わる……」

 軽快に布団を叩く音。

ウ「へ、へえ……。立派だね、幹部自ら家事の手伝いなんて」

ウ(叩いてる……。『武士の魂』で)

捌「うむ。このために真新しい布団を買って来させ……、洗濯もさせた。やはり新しい布団に限る……」

ウ(増やしてる……、部下の仕事を)

捌「刀の可能性は……、無限大……。甘味を添え……、チョコに浸しても……美味」

ウ(フォンデュしてる……、『魂』で)

捌「……おっと、いかん……。修行というのに……、左手から……、外し忘れていた。……指輪を」

ウ(この男、結婚している……‼)


過日② 俺と同じ苗字になってくれ的な

雪(今日から四国任務か……。潜入捜査のためとはいえ、兄妹のふりして同居とはな……)

染「…………」

雪(副局長の指示で一緒に来たは良いけど……、この子完全な素人だよな? 何考えてるか分かんないし……。大丈夫だろうか。演技とか生活とか……)

雪「……404室……、ここだな。今日から僕らの住む家だ。まあ兄妹って言っても設定だから……、昼間は自由にしてくれて良い。ご近所に怪しまれない程度に……」

染「……。表札……」

雪「ん? ……ああ、それな。兄妹なら、同じ苗字じゃないと不自然かと思って……、合わせさせてもらった」

表札『染』

雪「偽名も必要だったしな。しばらくは(そまり)(そそぎ)ってことで……。……染? なんで無言で悶えてるの……?」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ