これまでのあらすじ・登場人物(イラスト)
これまでのあらすじ(前作までのネタバレを含みます)
[異世界]
・猿の転生Ⅰ(転生編)・Ⅱ(夷征東編)・Ⅳ(二所朝廷編)
人語を話す猿と特殊能力を持った人間たちの対立する世界に飛ばされてしまった青年、ましらの物語。
[現代/Side-B]
・猿の転生Ⅱ(天使編)
Side-Aの主人公・ましらのクローンとして生まれた少年の物語。西暦2248年現在、公安警察治安維持局、通称「伏魔殿」のエージェントとして暗躍する高校生、真白 雪は、強化された肉体と特殊能力を付与された改造人間「12人の怒れる男」の一員である。自身の生みの親であり、公安警察の敵対組織である「エデン」壊滅のため駆り出された彼は、自身の存在意義をかけ淡々と組織の命令を下す日々を送る。そんな生活を送っていた雪だったが、次の標的となった少女、一々江の暗殺に気持ちを揺るがせるようになる。改造人間第一号の力を継承し、特異な不幸体質を持つようになった少女、のまえを不良グループやエデンの刺客から守ることを決意した雪は組織の命令を拒絶し、彼女のもう一つの人格、ニノマエの喪失を代償にのまえを助け出すのであった。
Side-B の登場人物
[伏魔殿]
・真白雪
公安組織「伏魔殿」に所属する高校一年生の少年。改造人間「12人の怒れる男」第五号、真白雪のクローンであり、自身のアイデンティティに疑問を持っている。伏魔殿の局長は育ての母親にあたるが、幼少期に彼の前から姿を消したことを根に持っており、現在も関係はぎくしゃくしている。五号のましらと同じく予知能力を持っており、数秒先の未来を予見することが可能。また肉体が改造強化されており、常人離れした耐久力と身体能力を持っている。
・一々江
第一号の能力の片鱗を継承した15歳の少女。確率をコントロールする現実干渉能力を制御できず不幸体質に悩まされていたが、もう一つの人格「ニノマエ」との統合を果たしたことによって統御可能になった。幼少期に母親からネグレクトを受け、父親からも疎遠にされていたことから強い自罰意識を持ったまま成長してしまったが、雪に心を救われ、共に生きていく道を選ぶ。ひと悶着あったが、現在はエデンの隊員として保護されている。二つ名『天使禁猟区』
・鴛原 見
伏魔殿の作戦補助を担当するオペレーター。17歳で普段から制服を着用しているが、実は高校・大学を飛び級している。見た目は完全に美少女だが性別は男性であり、恋愛対象も女性。伏魔殿の研究室長である苦竹葎に日夜熱烈なアプローチを仕掛けている。雪とは良い友人関係。
・苦竹 葎
伏魔殿の研究室長。雪の通う学校に校医として潜入している。エデンの前身・旧エデン製薬から離反した一人であり、狂花帯手術や強化改造手術の技術を持っている。少年たちを戦場に送ることに良心の呵責を感じており、彼らのカウンセラーとしての側面も持つ。
・染袈裟丸
14歳の伏魔殿のオペレーター。中学生ながら補助隊員として活躍している。かつて任務で雪と生活を共にしていたことから彼を義理の兄として慕っている。
・注連野紫
伏魔殿の局長。雪の育ての母親であり、彼を旧エデン製薬から解放した。幼少の雪の前から一度姿を消しており、現在は局長-隊員の関係性を維持している。
・五頭 稔
雪の通う高校の不良グループのリーダー。冷静沈着で情に流されない冷徹さを持つが、義理堅い一面もある。「蠅の王」と呼ばれる裏番の支配に置かれており、不本意ながらのまえに危害を加えるようグループを動かしていた。その一件で雪の怒りを買い、鉄拳制裁を受ける。それを機にチームを裏番から引き剥がすことを決意し、代償として片目を失う。雪に組織力と根性を買われ、伏魔殿の強化兵士としてスカウトされた。
・馬飼 首
五頭と共に不良たちを治めるリーダー。情に厚く血気盛んな高校二年生で、雪の一撃にも耐えるタフな体を持つ。五頭らとともに伏魔殿入りし、強化兵の肉体を駆使してエデンの暴徒を鎮圧した。五頭とのコンビは「牛頭馬頭」の通称で恐れられ、他校にまでその名を轟かせている。
・柤岡
スキンヘッドが特徴的な、不良グループの一年。一年の仕切りを任されている。
[エデン]
・枢機卿
エデンの首領。詳細は謎に包まれており、幹部ですらその正体を知る者は僅か。
・祁答院伊舎那
枢機卿直属の別動隊「葦原」のリーダー。思惑は謎に包まれており、盤面を掻き回すかのように暗躍する。雪の同級生として高校に通っていたが、その裏で「蠅の王」の名で関東全域の不良たちを束ねており、1000人近い学徒を強化人間としてエデンに引き込んだ。雪の力を使って何かを企てており、のまえを利用しようとしたことがきっかけで決別することとなった。
・真虫
「赤蝮」の異名を持つ名うての不良。伊舎那の一括スカウトでエデン入りを果たし、強化人間となった。伊舎那に心酔し、彼の手足として葦原で活動する。
・跡星 丑
雪たちのクラスの担任だった男。エデンから派遣されたスパイであり、のまえの暗殺を企てていた。元傭兵のスキルと特化型強化人間の肉体に加え、4号の力を継承した「贋作」として磁力付与能力を保有し、鉛製の銃弾を対象に必中させる技術を持つ。二つ名は『魔弾』。名称は命中の異称を持つ星・跡星から。
・雨乞 烏合
第九号の少女。エデンの幹部であるが、雪とは過去に因縁がある様子で、彼の窮地に助っ人を派遣した。無口で思考が読みづらいが行動は時に大胆。
・残間 愛
『告げ口心臓』の二つ名を冠する11号。裏社会に影響力を持つ闇カジノのオーナーを務めていたことで、エデンと伏魔殿双方に目を付けられる。雪とは互いの命を懸けたゲームで競い合った仲であり、彼の窮地に駆け付ける。現在は烏合の能力によって彼女の支配下に置かれており、病的に痩せ細っている。心臓操作能力を持ち、バイタルの知覚化、嘘の検知、心音感知といった補助的な脳直から、ドーピングや果ては心拍の停止まで様々な技を使用できる。
・余目 止郎
烏合の右腕を務めるエデンの女史。11号の能力を継承した贋作であり、雪が裏カジノに潜入した際は彼と残間の戦いの立ち合いを務めた。
・和喰 爾凝(ニコラ博士)
『12人』や強化人間を生み出したエデンの博士。「最後の天才」と称えられるほどの頭脳を持つ。
[その他]
・煙草森鳰
精神操作能力を持つ七号の改造人間。隊員ではないが伏魔殿とは協力関係にあり、条件次第では力を貸してくれる。未だ姿を見せていないが、エデンの暴徒が東京を襲った際は、洗脳下に置いた跡星と共に鎮圧に協力した。
用語解説
・エデン
人類の死の克服を目指す組織。製薬会社を前身に持ち、五年前に一度解体されている。現在は枢機卿を中心に再結集し、次々と改造人間を送り出している。
・伏魔殿
公安警察治安維持局の通称。雪を始めエデン製薬から離反した者たちを中心に構成されており、彼らの技術と情報によってエデンに対抗している。組織規模は100名程度だったが、牛頭馬頭たちが参加したことで200名程度に膨らんだ。
・12人の怒れる男/「12人」
エデンが生み出した改造人間。狂花帯と呼ばれる特殊な器官を移植され、死を克服するための12のコンセプトに基づいてそれぞれ固有の能力を与えられている。この狂花帯は遺伝する性質を持ち、彼らの子孫や臓器移植者にも同系統の能力が受け継がれると予想されている。エデン製薬崩壊時に半数近くが脱走した。未来世界の「12民族」のルーツでもある。
・贋作
跡星やのまえなど、『12人』の血や細胞を移植されたことで狂花帯を発現した者たち。エデンでは適合する人間を意図的に贋作へ改造する技術が確立されている。のまえのように、改造手術とは別のルートで贋作化する場合もある。肉体強化手術とセットで手術されるため強化された肉体を持つ者が多いが、のまえや12人の子孫のような手術以外の方法で贋作化した人間は、能力意外通常の人間と変わらない。
・量産型強化兵士/強化人間
外装骨格と呼ばれる装置を移植され肉体を強化改造された戦闘員たち。基本的には能力を持たないが、『12人』や大半の『贋作』などの改造人間の肉体にも標準的搭載されている。常人離れした耐久力と身体能力を持つ。
葦原
伊舎那をリーダーとする枢機卿直下の別動隊。エデンの本隊とは思惑を異にし、独立して動いている。正規メンバーは7人からなる少数精鋭であり、人員を必要とする際は本体から構成員を派遣させている。
今作から登場する一部のキャラクター・用語
・御黒 闇彦
『12人』第2号の男。規格外の強さを持ち、最強の呼び声も高い。黒髪に細縁の眼鏡がトレードマーク。
・鹿室 喪苅
御黒の協力者。エンジニアとしての優れた技術を持つ。名称は貴人の葬送儀礼・殯から。
・七坐 而澄/ナナクロ
烏合の部下の少女。伊舎那に集団スカウトされた学徒の一人。
・寿/エデンの悪魔
『12人』第12号。詳細は謎に包まれており、未知数の力を持つとされる。
・Q
雪のエデンでの通称。五号の方のましらと呼び分ける場合に使用される。
・悪童隊
伏魔殿が要する強化人間の部隊。隊員数は100名前後。五頭や馬飼たち不良グループで構成されている。
・第九研究班(プラン・ナイン)
烏合率いる、エデンの研究チームの一つ。生物兵器の開発や細菌研究を主たる領域としている。名称は宇宙ゾンビ映画『プラン9・フロム・アウタースペース』から。