お前!五億年ネコチャンを撫でてしまったのか!?
五億年。
気が遠くなる様な時間だ。
私は宇宙空間に猫といた。
終わった。
こんな何も無い所で五億年か。
ここにいる間は不老不死。五億年経てば億万長者になって元の世界の元の時間に戻れるらしいが。
寂しい。
辛い。
薄暗い。
「にゃー」
猫はいいな。
何も知らずに鳴いている。
お前を巻き込んでしまいすまない。
お前も五億年ここにいなきゃいけないんだぞ?分かってるのか?
ペロペロペロペロと毛繕いをしている。
肛門の☓マークがこちらに丸見えだ。
舐め終わったと思ったら今度は仰向けになってゴロンゴロン転がり始めた。
「にゃにゃにゃにゃにゃ」
猫よ。
いくら何でも気楽すぎないか?うーんと伸びをして香箱座りの体勢になりこちらを見つめている。
「……」
「……」
何だ?ガンを飛ばしているのか?
負けてたまるか。ああん!?
「……」
「……」
「……zzz」
寝た。
猫が寝た。
寝る子と書いてねこ。
猫が寝ているなぁとおもいながら私も横になった。
猫を見ていると少し面白い。
数日ぐらいは暇つぶしになりそうだ。
憂鬱と不安は全く消えない。
猫に飽きたら次は何をしよう?
1人じゃんけん。延々マラソン。頭の中で推理小説大作を書く。
……不安だ。
猫を撫でていた。
意外にも猫は飽きない。
もう数日。いや。1週間は経ったろうか?
猫には感謝している。
これから4億何年か知らないがよろしくたのむ……
「にゃー!」
おい!待て!猫よどこへ行く?
猫は突然立ち上がりまばゆい光の中に消えていく。
俺もそれを追って光に飛び込んだ。
『ゴオクネン。タッセイ。オメデトウ』
えっ?
猫を撫で、遊んだりボーっとしていたらもう五億年経っていたらしい。
感覚としては1週間だった。
すごいねぇ。ネコちゃんは。
飽きないねぇ。ネコちゃん。
ネコちゃん万歳。
億万長者になった俺はネコチャンの為に大陸を買ったのだった。