本日は終了しました
駅の改札に行く。くそっ飲みすぎるんじゃなかった。
案の定……終電を逃した。
(はあ……タクシーで帰るって高いから漫画喫茶にでも行くかな)
「本日は終了しました」
LEDの文字が恨めしい。と、その時……。
うん? 文字が変わっていく。「本」と「日」が入れ替わる!!
「日本は終了しました」となった。
蛍の光が突然流れる。
――本日は日本に在住してくださいましてありがとうございます。
――まことに恐れ入りますがすでに日本は終了しました。
――長きにわたる不況。超高齢化。原発事故。超少子化。国債残高。すべてにおいて社会的にこの国は存続不能となりました。
(何だこの声は!?)
「ああ、お客様、こんなとこに居たんですか。日本は終了しました。円安と長期にわたるマイナス成長でIMFから先進国の枠を剥奪されたんですよ、2024年に」
「なにっ!?」
「もう1ドル155円ですし」
なんと駅の出口に行くと駅員たちがいる!!
「日本をご愛願くださいましてありがとうございました」
花束が贈呈される。
「2024年3月31日をもって完全に日本は終了です」
「日本は馬鹿のせいで閉店で~す」
シャッターが閉まると駅員たちも誰も居ない。ふっと消えた。
持ってる花束も消えた。
あれ!?
「なんじゃこりゃ~!」
◆◆◆◆
「2024年3月31日」
この謎のワードと「日本終了」の幻を見たというツイートであふれた。
SNSには「日本は終了しました」という電光掲示板の証拠写真を挙げた者も居た。
2022年4月1日、エイプリルフールということになって都市伝説だけが残った……。
関西地方のある駅で終電後に「☆本日は終了しました☆」という表示にするべきところを「☆日本は終了しました☆」って表示したんですって。この爆笑事故をネタにギャグホラーとして本作は創作しました。フルカラーLEDの時代ではなくまだ3色LEDの時代だそうです。文字は橙色で表示したそうです。ちなみに北陸地方のある駅でも終電後に「☆☆☆日本は終了しました☆☆☆」とやってしまったそうです。
これ、たまたまなのかな? バグなのかな? それとも確信犯なのかな?
ということでこの事象を「都市伝説」にしたら面白いだろうなと。
この手のギャグ、ほかにマンションのベランダに干してた布団が春の嵐で飛んで架線に引っかかってショートし、文字通り「布団がふっとんだ」(鉄道会社の収入ごと)というものもございます。