魔法のある日常〜突如魔法が一般的に普及されている世界の一般人に何故か突然憑依してしまった男の話〜
勢いで書いたためおかしな点があるかも知れませんがご了承ください。
現代にもしも魔法が使われていたらという仮定のお話です。
これは突如魔法が一般的に普及されている世界の一般人に何故か突然憑依してしまった男の日常。
男はいつも通りに起き、学校に行く準備をするために眠そうな顔をしながら服を準備する。
普段はハンガーにかけて壁にかけてあったのだが、昨日は日曜日だったので男は部活もしておらず学校に行く必要はないので服を使う必要はなくタンスの中にしまっておいたのだ。
そのためタンスの中に制服が入っており男は取り出すためにタンスを開ける。
「なんじゃこりゃーーー!!」
そこには、信じられない光景が目に浮かぶ。
なんと、タンスの中には何も入っておらず不思議なことに一面真っ黒に染まった壁があった。
「どうなってるんだこれ?? タンスを開けたら、黒い壁。俺の服も全部綺麗さっぱり無くなってぇ、俺のこれからお先真っ暗、黒い壁だけに。」
冗談を言ってる場合じゃ無い、どうすんだこれ服が無いから学校も行けないぞ。
男はもしかしたら寝ぼけている可能性があるかもと思い、軽く頬を叩いてみるが目の前の光景は何も変わらない。
この歳になって、おかしくなってしまったのかもしくはこれは夢かとも思ったが………いっこうに夢は醒めない。
タンスの扉を閉めもう一度開けてみるがやはり変わらない、普通のタンスのはずなのにこんな不思議なことが起こるなんてなど思っていると、部屋の扉が突如勝手に開いたのだ。
男はびっくりしてその場にこけどすんっと大きな音がたってしまった。
「おわぁ!! と……とッ、扉が勝手に! これはまさかポルターガイスト!! 俺は今幽霊に憑かれているのかもしれない」
そんなアホみたいな考えをしていると一階にあるリビングの方から母親が朝ごはんを食べるように催促してくる。
この状況を伝えるために慌てて駆け出し、タンスのことを母に伝えようとするが、そこにも驚きの光景があった。
そこには、フライパンが勝手に動いていたり、掃除機が一人でに動いたり、食器が宙を舞う姿が見られた。男は驚きで顎が開き、母親に間抜け顔だと笑われてしまった。
「あははははは、何その間抜けな顔。面白くて笑いが止まんないよ」
そんな笑う母親にこの驚きの光景のことを問い詰め
るように話す。
「母さん!! これどうなってるんだよ! フライパンが勝手に動いたり、掃除機が動いたり、食器が空を飛ぶ、まるで魔法みたいじゃ無いか!! いつから家は幽霊屋敷になったんだよ」
母親は不思議そうに、これは魔法じゃないと言いいつもとは男の様子が違うことに気づき病気じゃないかと心配する。
そんな母親の心配を他所に男は魔法…魔法…と放心状態で呟く。
はっ、と気がつき自分にも魔法は使えるのかと母に聞いたら。
母は当たり前でしょと言いつつ男の手を取る、すると手から腕、肩そして全身にポカポカとして不思議な感覚が感じられる。
これが魔力、そして魔法とはこの全身に流れる魔力を使いイメージを具現化させる能力、まぁ限度はあるけどねっとおどけたように母は言う。
「これが魔力…魔法の素になる力。これがあれば」
男は魔力を使い試しに水を作ろうしたが案の定失敗する。それはそうだろう人はいきなりあなたは魔法が使えますと言われても余程の天才でない限りすぐに魔法を発動させることなんか出来はしない。
男が失敗するのはおかしいことでもなんでもない、しかし母は違った幼少の頃から育ててきた息子が今まで使えていたのにいきなり魔法が使えなくなるなんて、何か変な病気でもかかってしまったのでは無いかと心配したのだ。
実際は今目の前にいる息子は本来の息子ではなく魔法のない世界から来たと思われる別の息子。息子であって息子じゃないという矛盾した存在なのだ。
「あなたが魔法を使えないなんておかしいわね? さっき魔力を流してみたけど、どこも魔力は詰まってなかったし問題なく発動できるはずなんだけど。やっぱり病院に行ったほうがいいんじゃない」
母は困惑しながら息子に向かって病院に行くように促す。
だが男は中身が違うと母親にバレる訳にはいかない違う世界の母とはいえど母は母だ心配かける訳にはいかない。
そのため男は嘘をついてでも誤魔化すしかなかった。
「大丈夫だよ母さん。今日はちょっと調子が悪いだけだからいずれ元に戻るよ………全部」
「そう……」
話を切り上げ男は自分の部屋に戻る、その後ろ姿を母は心配そうに見ていた。
○ ○ ○
母との話が終わり男は登校のため家を出る。
あの後自分の部屋に戻り準備しようとしたが魔法がまだ使えない男には服を取り出す方法がないので調子が悪いといい母に服を出してもらった。
母はあのタンスの黒い壁に手を突っ込み何かを探るように腕を回した後、引き出したその手には男の制服が手に握られていた。
なんてファンタジーなんだと思いながら感謝を伝え制服に着替える。
しかし一人になると考えてしまう、これから元の世界に戻れるのか、俺に魔法は使えるのか、頭の中は不安と高揚で溢れていた。
学校に行くために外に出ると目の前はいつもと変わらない光景が広がっていた、犬を散歩するお爺さん、謎の棒を手に持つ小学生、ランニングをしているお姉さん、ここだけ見るといつもと変わらないが魔法がある世界本来いないはずの空間に人がいる。
それは空だ、男が玄関から一歩踏み出し空を見上げると空には箒に乗った人・人・人! 元の世界と変わらない風景なのに空に飛んでる人が目に入ると途端にファンタジー世界に様変わりする。
学校への道のりは大変そうだけど楽しみでもあった、魔法があるためこの世界はどんな風に変わっているのか興味に尽きない。
男は元気よく通学路を進み続けた。
○ ○ ○
街を楽しみながら学校に着くと、そこにはいつもの学校、変に大きくもなってないし小さくもなっていない何も変わらない学校。
少しは変わってくれてもいいじゃないかと思いながら校舎に入る。
教室に入ると元の世界と同じクラスメイト、席も同じようだったので迷うことなく自分の席に着くことができた。
自分の席に座るといつも通り前の方から友人がやってくる。やっぱりこの世界でもこいつとは友人なんだなと思い不思議な縁を感じる。
今俺の前に来たコイツはチャラ男とみんなから呼ばれている、いつから呼ばれているのかは分からないがコイツのイメージにピッタリだ。
「よぉ〜、しっかし今日もかったるいなぁーー。朝から魔法学だぜ。魔力使うと疲れるから朝からやるのは嫌なんだよなぁ」
はっ!? 魔法の授業……だ…と!?
俺は魔法をまだ使えないんだぞ!!
この世界の俺は魔法を使えてたみたいだけど俺は魔法なんて使ったことないから使えるわけがないだろ。でも魔法が使えるとするとワクワクするな。
これからの授業をどう乗り切るべきか考えているとチャラ男が声をかけてくる。
「今日はどうしたんだよー、いつもより反応が悪いじゃん。はっ!? もしかして俺に見惚れてた? いやー悪いね俺にそっちのけはないんだわ」
「ちげーよ、今日の授業どうするか考えてたんだよ。今日は調子悪くて魔法が使えないから」
「マジかよ…ちょーーーラッキーじゃん。朝の授業、見学になるやつだそれ。っで体調は大丈夫なのか?」
そうなんだよなー、コイツいつもはふざけてるくせにこういう気遣いが出来るから嫌いになれないんだよな。うざいけど。
「うーーん、多分大丈夫、今日休んだら使えるようななるだろ」
「……そっか」
しばらく話していると授業を知らせるチャイムが鳴る。
鳴り終わると同時に変な道具を手に持って入ってきた気の良さそうなおじさんが教室に入ってきた。きっとこの人が魔法学の先生なんだろうあからさまに変な道具持ってるし、これからのことを考えると頭が痛くなってくる。
そんなことを考えていると先生が口を開く。
「はい、ではこれから魔法学の授業を始める。魔法学は実際に魔法を使うため大変危険が伴う授業だ、ふざけたり、適当に魔法は使わないようにそれから……」
男は魔法が使えないためこの授業を休むために先生に許可を求めた。
「先生今日は調子が悪く魔法が上手く発動できないので見学でもよろしいでしょうか?」
先生は俺をじっくり見た後、何か身体におかしなところが無かったのに見学するのがおかしかったのか
少々納得のいかない様子だったが見学の許可を出してくれた。
授業を始めた先生を他所に男は魔法の発動の練習を密かに行なっていた。
魔法はイメージ、魔法はイメージ、魔法はイメージ……
すると、僅かに人差し指に光が灯ったのだ。淡く今にも消えそうな光だが確かに光ったのだ。男のテンションは上がり、何度も何度も光をつけたたり消したりする。
気がついたらいつの間にか授業は終わっていた。
男は余程魔法を使うのは楽しかったのだろう、時間も忘れ授業の話も全然聞いていなかった。
魔法を使えたことが嬉しくてニヤニヤしていると、チャラ男がやってきた。
「おいおい、お前魔法使えるじゃんか。指に光をつけたり消したりして、お前結構目立ってたぜ。あ〜あ、心配して損したぜ」
「今使えるようになったんだよ」
男は嘘は言っていない、前の俺は確かに魔法が使えたのかもしれないが、憑依した俺はこの世界に来て初めて今魔法に成功したのだから。
何故今になって成功したのかは分からないがそんなことどうでもいい、今は魔法が使える! そして魔法は楽しい! それだけでいい。
「なんだよそれ、それより次の授業に行こうぜ。次は確か体育だった筈だ、早く行って着替えないと!!おい、早くいくぞ!」
体育かどんな授業をするんだろう、流石に体育に魔法は使わないよな……
前言撤回体育にも魔法使うじゃねーか!!普通体育って言ったら柔道だったり、サッカーとかだろ!!
それが……
「なんで戦場みたいなんだぁーーー!!!」
おかしいだろ!? 魔法の球を相手にぶつけ合うとかそれを魔法で作った壁で防ぐとか、超進化した雪合戦みたいなことを体育の授業で普通するか!?
球には当たっても痛く無いらしいがそれでも顔ぐらいある球を投げられるのは怖い。
条件反射で目を瞑ってしまう。馬鹿げてるだろ。
「おい、何やってんだよ! ここは戦場だ。ボーーっと突っ立ているやつから死んでいくんだよ」
いやっ、戦場って言っちゃったよ! これ体育の授業だから戦場じゃ無いから!!
遠くから悲鳴みたいなものが聞こえるから余計にリアルに感じてしまう。
これほんとに授業だよね!? 戦場とかじゃないよね!?
すぐ隣に相手のチームが投げてきた球が飛んできた。
やっぱりこれ戦場だよ……
「うぉおおおおッ!! やってやんよ!! どっからでもかかってこい!!」
「おぉ!! やる気になってくれたか、それじゃお前は遊撃隊だ。隙を見て相手に球を当ててこい!」
はぁーー、疲れた。体育の授業疲れすぎだろ、この後の授業が心配になるな。
次の授業のために教室に戻ると疎らにクラスメイトが戻ってきていた。様子を見ている限り次の授業は教科書を使うみたいだ。
本当によかった、次も魔法を使うとか言われたら死んでしまいそうだ。
普通だった、なんの変哲もない元の世界と同じ数学の授業だった。
はぁ〜、変に緊張して損した。そうだよな魔法の授業だけだったらおかしいもんな普通の授業もあるよな。次の授業を乗り切れば昼飯の時間だそれまでの辛抱次の授業も普通でありますように。
「オーマイガー…」
なんでこった、最後の最後に難関が待ち受けていた。
まさかここで錬金術の授業なんて…
錬金術って魔法なのか!! どちらかと言うと化学の分野の方じゃ無いのか!? やばいぞ錬金術のやり方なんて知らないぞ、俺この授業出来ないじゃん。
「では錬金術の授業を始めます。まず二人一組のペアを組んでください」
よし!! これはラッキーだ。チャラ男とペアを組んでヤツに全部任せれば…
早速チャラ男を誘おうと思ったがなんとヤツはすでに別のやつの組んだいやがった。
なんてヤロウだ親友(自称)の俺を置いて別のやつと組むなんて。
だが俺が全く錬金術のことを全然知らないことがバレてしまう。あぁ、チャラ男には別にバレてもいいんだよなんとかなりそうだし、どうすれば……
「あの〜、もしかして相手がいないんですか?」
突如後ろから高い声で声をかけられた。後ろを振り返り声の主を確認するとそこにはじみ子と呼ばれるクラスメイトが立っていた。
彼女は目が髪で隠れなんとなく暗そうなイメージなのでクラスではこのあだ名で定着していた。でも、話しかけたら答えてくれるし、友達も普通にいる。
ただその見た目が暗そうというだけだ。
だが、その時の俺は彼女がまるで天使に見えた、もしくは救いの女神様だ。
しかし特別親しくもない俺に何故声をかけてくれたのか聞いてみると。
一人で困っていそうなので自分と同じで相手がいないのかなぁと思い声をかけてきたそうだ。
天使だ………
「良かったら、私と組みませんか。私も友達同士がくっついちゃって私が余ってしまったので。でも嫌ならいいんです…」
「いや是非お願いします」
授業が始まるがやはり何を言ってるのか案の定分からない、でも親切に彼女は教えてくれて本当に助かった。マジ天使。
お礼に俺は彼女に昼飯を奢ることにした。
彼女は遠慮していたがそれでは俺の気が済まない、もしかしたら本当に迷惑に思っているのかもしれないが受け取って欲しい。
○ ○ ○
教室に戻り机に買ってきた昼飯を広げると近くにチャラ男が寄ってきた。さながらエサを狙うハイエナの様だ。
この裏切り者め! 軽くチャラ男を睨んでやるとチャラ男は申し訳なさそうに誘われたから悪いなと言いご飯を食べ始める。
「っで、お前はまた魔法使ってんのか? 飽きないな〜それ。光を出すだけだぞ、それの何が面白いんだか」
そう俺は昼になってから光をつけて遊んでいた、周りに変に思われようが構わない、だって魔法って楽しいんだもん。
チャラ男がそんなに魔力あったか?と聞いてくるが前のことはわからないそのため誤魔化した。
テンションが上がっていたのもあるだろうが気付かぬ内に男の意識が段々と薄れていき、友人のチャラ男がコチラを驚いたような顔見たのが最後に男の意識は暗転する。
○ ○ ○
ベットにいつの間にか寝ていたのか、男は先程の出来事はもしかして夢だったのではないかと思った。魔力だとか魔法だとか子供じゃあるまいしやっぱり夢か。
男は起き、いつも通り学校に行くためにタンスの中の服を取り出す。
先程のことは夢だと分かっていてもタンスを開けるのに少し躊躇ってしまった。
慎重にタンスを開けると、そこにはいつも通りの服が入っており、やはり先程の事は夢だったんだと確信する。
しかし、妙なことに男は体から不思議な力を感じたそうまるで夢の中で使ったあの魔法が使えるよう力が。
試しに夢で教えてもらった通りにイメージを具現化させようとしてみるとポッと人差し指に小さな火が灯ってしまった。
まさか本当に出来ると思わなかった男はボォーーっと人差し指に灯った火を眺めながら、ニヤリと笑った。
これは突如魔法が使えるようになってしまった変わった男の日常。
読んでくださりありがとうございました。
うららの初投稿作品でした。
少しでも楽しんで貰えたら嬉しく思います。