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イチオシ短編

私がホラー小説を書くために必要なこと

作者: 七宝

 以前『ホラーを書くと途中でふざけてしまう。なぜなのか。また、それは悪いことなのか』というエッセイを投稿したのだが、あれからひと月ほど経ち、私は真面目にホラーが書けるようになっていた。


 ただ問題なのが、めちゃくちゃ短くなってしまうことだ。長いこと書いていると気分が良くなり、ついついふざけに走ってしまう。

 そこで、ある程度長いホラー小説を書ける方法を考えてみた。前回と同じく、私の中に存在する王様と話し合いをしたのだ。


 すると、王様はとても良いアドバイスをしてくれた。気分が良くならなければ落ち着いた長い文章を書けるのではないかというのだ。


 ちょっと関係が遠いところから説明を始めさせていただこう。

 私は文章を基本的に勢いで書いているので、書いている間は誤字を極力直さないようにしている。誤字が発生したら、その誤字に合わせて展開を変えていくのだ。


 いつもスマホのメモ帳に書いているのだが、誤字を直すとなると指でカーソルを合わせて、ここじゃない、ここ⋯⋯あっ、ここじゃない、あっ、ペースト押しちゃったよ、ああ! となってしまうのだ。


 これ自体は誤字を直す上では仕方がないことなのだが、これを執筆中にいちいちやっていると気分が下がるのだ。気分が下がるということは、ふざけることが出来ないということだ。


 つまり、その都度誤字を直す癖をつければ真面目なホラーをボリュームのある文字数で書くことが出来るということだ。しかし、これは王様との対話で得ただけの解決策に過ぎず、今のところ机上の空論である。


 当然試してみるしかない。私は執筆に取りかかった。今朝おねしょをしたので、この体験からホラーに持っていこう、そうしよう。


 おねしょをホラーに仕立てるには⋯⋯そうか、おしっこという単語を消せばいいんだ。おしっこはオモシロ単語なので、ホラーではノイズになってしまうからだ。


 よし、おしっこの代わりに生米が出てきたということにしよう。これを実話のように語れば怖い話が出来そうだ。


 おしっこが米ということは、他の液体も米なのだろうか。それとも、水分だけが米になるのだろうか。もし溶けた銀とかも米扱いなら凄いことになるな。本物の銀シャリだ。


 いやいや、これはホラーだぞ。上手いこと言ってる場合しまゃないよ! あ、誤字治さないと⋯⋯直すってなんでいつも治すになっちゃうの! まっまく! まったく!


 よし、気分が少し沈んだ。この状態でこの米の話を書けばいいんだな。簡単なことだ。ふふふ。


 それから私はその都度誤字を直し、テンションだだ下がりになりながらホラー小説を書いた。


 そして完成したのがこの『朝起きたらパンツに米が入ってたんだが』(https://ncode.syosetu.com/n2146hr/)である。


 残念ながら、ホラーとして投稿することを諦めざるを得ないレベルのおふざけ話になってしまった。何がいけなかったのだろうか。ちゃんと気分を下げたはずなのに。


 その時、私はかつての友人の言葉を思い出した。


『お前、人の10倍は元気だな』


 そうだ、私は人の10倍元気なんだった。ということは、たとえ私の気分がだだ下がりしたとしても、常人の3倍くらいの元気は残ってしまうというわけだ。


 その結果がこれだ。確かに人の3倍くらい元気そうな作者の顔が浮かぶ。元々ホラーにするつもりだったなんて言われても信じられないような仕上がりだ。


 しかし、見方を変えれば私の作品は全部ホラーと言えるのではないだろうか。この作品では最終的に主人公がクローン技術でコピーされて、1家に1台の米吐き機にされているのだから、十分ホラーだろう。


 でも、読んでいると怖くない。そうか、読者が恐怖を感じなければそれはホラーとは言わないのか! そんな気がする!


 実際に起こったら怖いこととホラー小説をイコールで結んではダメなのか。いい勉強になった。ありがとう王様。


 ということなので、私はしばらくは短いホラー小説を量産します。

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