必殺技
掲載日:2021/01/07
初めてのデート。
彼女は全然笑わない。
出会った頃からそうだった。
でも前は少しは笑っていたような。
遊園地という場所に不満があるのか。
それぐらいしか思い当たらない。
「遊園地、苦手だった?」
「普通」
普通が一番分からない。
本当の本当のど真ん中と思っていいのか。
コーヒーカップに乗った。
彼女のテンションは上がらなかった。
「楽しかった?」
「普通」
何をしても、どんな状況にいても、心はいつも普通なのだろう。
「お腹すかない?」
「普通」
「このジェットコースタ一少し速かったよね」
「普通」
「僕のことどう思っている?」
「普通」
なんやかんやで、時は過ぎていった。
「今日は一日どうだった?」
「普通すぎた」
すぎたは反則だ。
普通という言葉を繰り返してジワジワ痛め付けて、普通すぎるという必殺技でトドメを打たれた。
「ごめん。普通すぎるは間違いだから」
「いいよ。大丈夫だよ」
「普通すぎるじゃなくて、かなり普通すぎるだった」
その言葉に普通に、かなり心が折れすぎた。
必殺技、強っ!




