表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/51

〈第45話〉おれたち、霊長類レンジャー!!

 意識をステージのほうに戻すと、


「おれ、新しいヒーロー考えてきたんだよね」

 と健三が得意顔で言っている。


 うん?ヒーロー?


「な、な、なに、ケ、ケンちゃん、新しいヒーローってなんなの?ゴレンジャーみたいなの?」


「そうそう。今日、おれがヒーローやるから、ブロッコリーは怪人やってよ」


「い、い、いいよ。で、で、でもさ・・・」


 なんだよ。まさか。おれたちのパクりじゃないだろうな。しかし息子は親父たちが昔、寸劇をやったなんて知らないだろうしなあ。


 気になって、隣のおじいさんの表情を盗み見る。「まさか。ごぞうろっぷレンジャーじゃなかろうな?」なんと。やっぱり、間違いない。このご老人は確実に、われわれの伝説の寸劇を見てくれている。そして、おれとおんなじ疑念を抱いている。それにしても、ひとり言が多いおじいさんだ。


「おれたち霊長類レンジャー!!」


 再び息子のよく通る声が響く、長瀬は漫才に意識を戻す。


「れ、れ、霊長類レンジャー?」


「そうだ。とーーう。ゴリラレッド参上!」


「ご、ご、ゴリラレッド?」


 観客が「わはは」とどっと沸く。


「ひ、ひ、ヒーローっぽくないね」

「うるさい、とーーう、ブルーおらうーたん参上」

「ぶ、ブルーおらうーたん?き、き、気持ち悪いよ」

「うるさい。どんどんいくぞ!イエローモンキー!!」

「い、い、イエローモンキー?そ、それヒーローじゃないよね。黄色人種に対する蔑称だよ。べ、蔑称ってのはバ、バカにした言い方ってことだよ」


「うるさい。豆解説はいらないんだよ」

 なんとも、ブロリ先輩の息子さんっぽい(もう絶対息子さんだと思うが)ツッコミの仕方に、思わずほおが緩んでしまう。


 客席の反応は上々で、大きな笑い声が起きている。おじいさんも「ははは」と楽しそうだ。


「とーーーう。人緑」

「え、え、え、ヒトミドリ?」

「そうだ、人緑参上!」

「も、も、もう本格的に気持ち悪いよ。ヒトミドリって。た、た、確かに人も霊長類だけどさ」


 ここで客席が爆笑に包まれた。


「くそう、おもろいやんけ、ジブンの息子」


 熊谷が長瀬の肩に手をかけ、少し大きめの声を出したときに、いすのおじいさんが視線をこちらに向けた。


 一秒か二秒ほどだろうか。じっと、長瀬を見て、その後、熊谷と清花にも視線をはわせる。


 少しほうけたように「ああ」と息を漏らし、おじいさんは結構長めのひとり言を吐き出した。


「心臓レッド。心臓レッドじゃないか。痔と下痢で途中交代になった、初代心臓レッド」


 熊谷と清花は驚き顔になった。

 長瀬は「初代って」と苦笑いするしかない。

 高橋のおばちゃんは「ふふふ」と優しくほほえんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ