〈第43話〉ヒーローと怪人たちの同窓会
長瀬健二は妻の清花、高橋のおばちゃん、そして中学時代の同級生、熊谷と校門をくぐった。
既に校内はすごい人いきれだ。
自分が通っていた時代と何も変わっていないようにも、全てが変わってしまったようにも思える。
おばちゃんの職場である購買部の脇を抜けるとグラウンドが見えてきた。
寸劇を披露する特設ステージとやぐらはあのときのままのようだ。客席周辺には大勢の人が詰めかけている。
おばちゃんが息子の健三から聞き出した情報によると、今年の寸劇ではちょっと今までとは違う趣向がこらされるという。
「こらあ立ち見やな」
熊谷がいすの並べられたスペース横に立つと、
「ちょうど、ここらへんに三好が立ってたんちゃう?」
と笑った。
「もうちょっと前のほうじゃなかったですう?足をケガしてるっていう設定なのに、なんであんな舞台の目の前に立ってるんだ、っておかしくなりましたもん」
妻の清花も懐かしそうに笑っている。
「お前ら、あのときはめちゃくちゃやりやがって」
長瀬が口を挟むと、高橋のおばちゃんまでが心底愉快だというふうに吹き出した。
「はーい、どうも、ようこそ、いらっしゃいました!!」
スピーカーから大音量の挨拶が聞こえてきた。舞台の上には学生服を着た二人組が登場している。健三ではないみたいだ。
「今年の陽月祭の寸劇は、なんと寸劇ではありません」
二人組の右側、少し背が高く、ひょろりとした感じの少年がちょっと緊張した様子ながら、はっきりとしゃべっている。
「そうです。今年は初の試み、Yワングランプリを開催します、拍手―――!」
もう一人の左側、ずんぐりむっくりという表現がぴったりの少年が声をうわずらせて続けると、客席からはまばらな拍手が鳴った。毎年恒例の寸劇を楽しみにしてきたのか、長瀬の近くのいすに座っているおじいさんがぽかんとした顔で「わいわん、ぐらんぷり?」とつぶやいた。
「今年は寸劇ではなく、出場者五組が漫才を披露して、最後にお客さんの拍手の大きさで優勝コンビを決めます。陽月祭のアルファベットの頭文字Yを取った、名付けて、第一回Yワングランプリです!!」
そこまで説明がいったところで、集まった客たちはようやく「なるほど」といった表情を浮かべ、大きな拍手をした。
おじいさんも手を叩きながら「漫才か」と言っている。
ずんぐりむっくりとヒョロリはほっとしたように顔を見合わせ「せーの」と小さく言ってから、
「それでは、さっそく参りましょう。トップバッターは、ケンゾー&ブロッコリーです!!」
と叫んだ。




