〈第18話〉僕はとりあえず衣装と小道具づくりをお願いするため、美術室に向かった
二学期が始まった。
陽月祭本番までいよいよ一カ月あまり。
今年の十五夜、つまり中秋の名月になるのは十月六日。陽月祭は通常、十五夜に一番近い日曜日に開催されるのだけど、今年はたまたま六日が日曜日なので、そのままそれが陽月祭の日ということになる。
「熊谷のおじさんめちゃくちゃスベってた事件」は、それなりの衝撃をブロッコリー先輩をのぞく寸劇委員メンバーに与えたようだが、よくよく考えると、僕の場合は舞台に上がるわけではないし、そんなに気にすることもなかったのかなと思い直した。
台本に関していえば、熊谷も清花も絶賛してくれたことだし、僕自身、正直自信もある。
「ブロッコリー先輩が『もっとまじめな内容にしなくちゃ』と言っている問題」も、なんとかなるだろう。
衣装や小道具は木崎と三好に頼めばいいし。(でも結局、いままで絵の手伝いをしていないので、ちょっとお願いしづらい・・・)
問題は配役だ。
あまり誰がどの役をやるのか、といったことを気にせずに台本を書いてしまったのは失敗だったかもしれない。
登場人物は全部で四人。それにナレーションを読む役もあるけれど、これは最初だけだから、誰かが一人二役をやればいいだろう。
だから全部で必要なのは四人。寸劇委員はちょうど四人いるけれど、僕は脚本担当だし、演出に専念したいから舞台に出るのはパスだ。(決して人前に出るのが恐いとか、そういうわけじゃない)ちなみに演出というのは俳優役の人に演技指導したりすることだと、熊谷のおじさんが夏に教えてくれた。
ということで、演者が一人足りない。
どうしたものかと思案しながら、僕はとりあえず衣装と小道具づくりをお願いするため、美術室に向かった。




