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転校生は隣人さん  作者: IMU
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転校生。

 春休みが明けて新しい学年、クラスになる日は、小学校あたりまでは楽しみだった。しかし、中学校に入ってからは人数が少なく、クラスが変わってもそんな大きな変動はなかった。なので、今ではあまり興味はなくなってしまった。

 今日は、新学年になる日だ。高校二年生。昇降口に張り出されているクラスを見る。クラスは、見慣れたメンバーばかりだ。教室にいるクラスメイト達はきっと、それぞれ春休みの話題で盛り上がっているだろう。そんなことを考えながら、教室に向かう。

 教室に入ってすぐに自分に話しかけて来るクラスメイトもいた。

「よー。藤川、久しぶり〜」

「お前、家近所だろ。昨日もあったし、今日も朝からあったし...」

 今話しかけてきたのは、藤堂良基。中学校の時に近所に引っ越してきてから一緒の友人だ。ちなみに、自分は色々あって中二の後半からアパートに一人暮らしだ。

 他のメンバーにも挨拶しながら、座席表を確認し自分の席へと向かう。

 自分の席は、人数の都合上一人だけ一番後ろの列になってしまっている。人数が少ないので、去年も一人だけの列が生まれていた。まぁ、自分は別に何ともないが。窓側の席でちょうどいいくらいだ。そういうことを気にするタイプでは無いと自分ではっきりと言える。



 HRの時間になり、先生が入ってくる。今年の担任は...

「よう!お前ら久しぶりだな!元気か!」

『また、相田先生か!』

「またとはなんだ!今年もよろしく!」

 去年の担任、相田先生だった。相田先生は、いわゆる熱血教師だ。生徒思いで、結構人気だ。昼休みになると、学校中を徘徊し、色んな生徒と話す。噂だと、校庭の隅っこにある動物小屋の動物相手にブツブツ言っていた時期があったらしい。その前後に、先生の私生活に大きな変化があったのは、知る人ぞ知る大きな秘密だ。

「あれ?先生ー。その机何ですか〜?」

 とある女子が聞いた。相田先生は、机と椅子を一個ずつ持って入ってきていた。

「ん?ああ、転校生だ。」

『え?』

「あ、違うぞ?机は転校生じゃないぞ?」

「そっちじゃないって!」

 クラスに笑いが起こる。このクラスは基本的に笑いのツボが浅い人が集まっている。そして、先生はボケようとするが、半分は滑ってしまう。けれど、大抵の人はそんな先生が好きだ。

「分かっているさ。それじゃあ、入ってきてくれ!」

 先生が、廊下に声をかける。全員が、どんな人がやって来るのかとワクワクしていた。

 入ってきたのは、女子だった。そして、ノリのいい男子が、口が半開きのまま固まっている。

「えー今日からこの学校に転校してきた...名前どうぞ。」

「...白玉ましろです。...よろしく。」

『こちらこそ...よろしくお願いしまぁーっす!』

 男子数名が、撃沈した。

「えっと...空いてるところは...無いなぁ...」先生が空いてる席を探してるが、どこも空いていない。

「しょうがないかぁ。おい、藤川。お前の隣だ。」

 え?

「いや、ポカンとされてもな。あぁ、あいつの隣でいいか?」

 少し間をおいて...コクン。周りの男子の視線が凄いことになっている。先生が、机を運んで来る。後ろからやってきた白玉さんが声を掛けてきた。

「...よろしく。」

「あ、うん。よろしくね。」

 女子と話す機会は、あまり無かったので、どういう風に対応すればいいのか全くわからない。しかし、他の女子と違い、白玉さんは無口だった。HRが終わり、たくさんの人が話しかけてきたが、頷くだけだったり、ボソッと何かを話したりするくらいだった。無口...なのかな...



 始業式やその他色々が終わり、四限目から授業が始まり、ちょっとした問題が発生した。転校したての人は、よくあるのではないだろうか?

「...藤川くん...教科書無い...見せて...」

 教科書が無かったらしい。さっきからずっとモジモジしてたのは、言うのが恥ずかしかったからかな?

「うん。いいよ。」

「...ありがと」

 机をそぉーっとこちらに寄せてくる。そのあと、ほぼ全ての授業で、席をくっつけていた。

 そして、周りの男子の視線が凄かった。これは、後々何か言われそうな気がする。

 そんなことを考えているうちに、授業が終わった。その後、昼食を食べた。白玉さんは弁当を持ってどこかへ行き、昼休みが終わるまで帰ってこなかった。



  放課後アパートに帰っていた時、偶然のことが起きた。

  アパートの階段を上りながら、夕飯に何を作ろうか悩んでいた時だった。自室の隣に、たった一日で見慣れてしまった姿があったのだ。急いで階段を駆け上り、その人物に声をかける。

「...白玉さん?」

「...えっ」

 そこには、白玉さんがいた。


「ここのアパートだったんだね。」

 廊下で立ち話をするのも、あれなので自室に誘ったら、来てくれた。

「...ん。...あなたは一人暮らし...?」

 周りを見渡しながらそう聞いて来た。

「ああ、そうだよ。中二の時から...かな。そういえば、どうして都市部に近くも遠くも無い学校に?」

「...実家が近い。」

 母親の実家が、学校から三十分くらいのところにあるそうだ。

 ここで、とあることを思い付いたので提案してみる。

「白玉さんのご両親に挨拶したいんだけど...」

「...いない。」

 えっ

「...ここには来てない。」

「どういうこと?」

 そこから、白玉さんが説明してくれたことをまとめると...

 ・両親共に転勤が多く、バラバラになりがちだった。

 ・そこで、実家が近くにあり安心できるこの街に娘だけを引っ越させた。

 ・そんなにお金をかけたくなかったので、格安アパートであるこのアパートに来た。

  こんな感じの理由だった。その後、連絡先の交換やその他色々としていたら結構時間が経っていたので、そこで解散となった。

「それじゃあまた明日、学校で。」

「...うん。」


 明日が楽しみだった。

次回の投稿......


いつになるか全くわからないです。

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