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イケメンを、許すまじこと、いとをかし

 奴らが5階についたのを確認し、ワシは恋声を使ってスピーカーから呼びかけた。


「お見事です。あなたがたはあまりにも強く、また、イケメン過ぎるので、戦闘エリアは全て合格とさせて頂きます。エレベーターに乗って、21階からの知力エリアにお進みください」


「すごーい!」


「ほんとうに勇者様なんじゃないの? キャー。カッコ良い!」


「ふぅ、やれやれ……あれ? 俺またなんかしちゃいました?」


 わざとらしく腕なんて組んでやつらはエレベーターに乗りおった。

 おのれ、イケメン。今に見ておれ……


チーン


 エレベーターの先はちょっと近未来的なガラス張りと透過スクリーンの空間。

 実は脳筋対策に21階から24階までクイズ階やらカジノ階やらを用意したんじゃ。


「どうぞ。お進みください」


 ワシの声に誘導されてイケメン達が前に出る。


「な、なんか可愛い声ですね……」


 そうじゃろうそうじゃろう。こんな2次元ボイスの中身が汚いジジイだとは夢にも思うまい。

 うっかり顔バレしてしまわん注意せねばの……


「よくぞここまでたどり着きました。ここではあなたがたの勇者の資質として、誠実さを試させて頂きます。全ての質問にはいかいいえでお答えください。3回ウソをつくと失格となります」


「これは……?」


「つまり、ウソをつかなければいいって事だね。なぁに、楽勝だよ」


 グッフッフ。果たしていつまでその余裕顔が持つかのう。



「最初の質問です。まず、エルフの女性のあなた。あなたはアーチャーですか?」


「はい、そうです」


「正解です」


 ふむ、背中に弓持っておるんじゃから、間違いないじゃろう。

 ワシはいくつか簡単な質問をして、全て「はい」で答えさせた。


「それでは次の質問です。女性のお二人に聞きます。あなた達は処女ですか?」


「なっ!?」


「そ、そんなの関係ないじゃない! 聖乙女じゃあるまいし!」


 女性陣に動揺が走る。


「清らかな乙女にしか授けられない知恵もあります。質問に答えてください。あなたは処女ですか?」


「は、はい」


「ウソです。あと2回ウソをついたら失格です」


「なっ!?」


 獣人の子は一瞬驚いた様子を見せたが、特に何も言わずに引き下がった。

 やはりな……

 続いてエルフの子が答える。


「い、いいえ。処女ではありません」


「正解です」


 なぜワシがこの子たちが処女かそうでないかを見破ったか。

 それは……さっき見てたからじゃ!

 それに生前、部活の先輩が言っておったからのう。

 「可愛い子は大体非処女なんだぜ」ってな。


 この質問によって、こやつらの中に「この機械は本当にウソかどうかを見抜く」と言う印象を与える事に成功する。

 次の段階じゃ。


「次の質問です。男性の方に聞きます。お母さんでオ〇ニーした事がありますか?」


「なっ!?」


「なにそれ!?」


 全員に動揺が走る。


「そ、そんなのしたことある訳ないじゃないか! 勿論いいえだ!」


「ウソです。あと1回ウソをついたら失格です」


「なんだと!!?」


 勿論、そんなもん……知らん!

 じゃが、真実などどうでもよい。肝心なのは女性陣が今までの質問により、機械の判定を信じ切ってしまっておること。


「う、うそ……」


「え、ちょっとドン引きです……」


「ち、違う。本当なんだ! 信じてくれ!」


 グッフッフ。証拠の出せない事を口だけで信じてもらうのは苦しいぞ……

 果たして表情と身振り手振りだけで、このガラス張りと透過スクリーンの空間の「それっぽさ」に勝てるかな?


 人は内容を聞かず、見た目だけで話を判断する。イケメンよ。その因果を思い知るが良い!


 ワシはやつらが動揺しておるこの機を逃すまいとすかさず畳みかけた。


「次の質問です。今でもお母さんでオ〇ニーしている?」


「してる訳ないだろう! ノー! ノーだ!」


「ウソです。これで3回ウソをつきましたので失格となります。エレベーターに乗ってお帰りください」


「ウソだぁぁぁぁ!!」


 絶叫するイケメンを二人の女性陣がゴミを見るような目で見る。


「うわ……流石にないわ」


「気持ちわる」


 そして二人は帰ってしまい、イケメンは1人で崩れ落ちた。


「くっそぉぉ! なんだよコレ! インチキじゃないか!」


 イケメンは床に拳を叩きつけ、絶叫し、設備に斬りかかる。


ピー ピー


「警告。警告。正規の方法と異なる手段によって突破しようとしています。不正防止のため、特別ユニットが召喚されます」


 さて、出番か。ワシはエレベーターに乗って21階に降りる。

 そして



「きちゃった(はぁと)」


「あ、あんたは……?」


 そう。ワシじゃ!


「くそ、お前がここの番人か! お前らのせいで。お前らのせいでぇ!」


 イケメンが剣を振りかぶって走ってくる。じゃが遅い!


「アビスホール!」


「ぐわぁぁぁぁ!」


 空間に出現した黒い重力球に吸い込まれ、イケメンは全身の骨をバッキバキにして倒れた。

 エレベーターに乗せて1階までお帰り願う。



「ふぅ。今日も良い事したわい……」


 そしてワシは警備室に戻って下層階のモニターチェックに戻った。


 ワシの名は大賢者ハンゾウ。

 男女の不純異性交遊にはちょいと厳しい。厳格な真面目ジジイじゃて……

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