アホ様。お戯れになり申す
「さすがは大賢者様の蔵書庫。これほどの規模のものは帝都にもありませぬ」
「大賢者様。この本について書かれてる内容なのですが……」
「う、うむ。その知識をおぬしに授けるにはまだ早い……」
「大賢者様。こちらの預言書の内容と、こちらのフム族の伝承をあわせますれば……」
「う、うむ。しかしそれだけでは完成せん。まだ調査中なのじゃ……」
「大賢者様」「大賢者様」「賢者様」「大賢者様、こちらの……」
バァンっ!
「ドーナちゃ、うわぁ!?」
ワシが勢いよくドアを開けると顔面に緑色のブツブツを生やした化け物がおった。
「ば、化けモぶはぁっ!!」
化け物の右ストレートがワシの顔面にさく裂し、ワシは回転しながら壁に叩きつけられた。
「誰が化け物ですか。訴えますよ」
「そ、その声はドーナちゃん!?」
よく見ると化け物の正体は顔面にきゅうりの薄切りをこれでもかってくらい貼り付けたドーナちゃんじゃった。
「な、なぜに顔にキュウリを……って、それどころじゃない。ドーナちゃん。実はな」
ワシはドーナちゃんに説明した。大図書館を作ってからと言うもの、世界中からアホどもが集まってきておる事を。
「なんで!? なんであいつらワシがここの本全部読んどる前提で質問してくるんじゃ!? あの量じゃぞ? 読んどる訳なかろうが!」
最悪、本の場所を聞いてくるのはわからんでもない。まぁ、それも知らんのんだけども。
でも、中に書かれてる事の内容聞いてくるか普通?! 本職の図書館の受付のおっさんだって全部の本なんか読んどる訳なかろうが!
ましてやワシただのアホじゃから! ボケ老人じゃから!
「困りましたね……」
「ぬぅ、あのゴミどもめ。みじん切りにして犬のエサにでも……はっ!?」
その時、ワシに電流走る。
そうじゃ。なんでワシばっかりこんな困った目にあわないかんのじゃ。
あやつらも困らせてやればいい……クズどもが気軽に質問などこれんように。命がけのゲームで……!
「ぐっふっふ。まさに、まさに悪魔的発想……」
さわ……さわ……
「んっ!………………キャー!? イヤー!!」
ヒュッ! バゴォン!
「ぐはぁぁぁぁぁぁ!」
「な、なんで! なんで今お尻触ったんですか!」
「いや、なんかそれっぽい効果音が出るかなって……」
ジャキン!
「ちょ、ドーナちゃん。ガトリングガンは世界観が、世界観がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ワシの名は大賢者ハンゾウ。人よりちょっぴり若い子のお尻を触るのが好きなだけの……
ただのエロジジイじゃて。