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異世界図書館長の日常   作者: 香宮 浩幸
手違いで転生することになりました
8/15

1-8異世界図書館巡り(2)

申し訳ございません、操作ミスで投稿できていませんでした。本日二話目です。




「なるほど、つまりライラが新館長をいじりすぎたと」

「なんでそうなるんですか。私はただ館長を慰めていただけですよ」


図書館巡りをしていた俺は、なぜか幼女と少女の言い合いに巻き込まれていた。まあ原因も俺だが。もとはと言えば俺が、真面目なライラ相手に冗談でボッチ発言をしたからだし。


「はいはい、二人ともそこまで。それで一つジェミニに聞きたいことがあったんだけど」

「なんですか」


二人の言い合いは、最初に会った書庫から3番司書のジェミニの司書室についても続いていた。ちなみに司書室は俺を含めた館員ごとにある私室のようなもので、人によって内装が違うらしい。ジェミニの部屋はぬいぐるみたっぷりのベッドと、ふかふかの毛布の上に小さい机が乗っているという女の子らしい部屋だった。こんどライラの部屋とかも見せてもらおう。


「さっき、ライラのことをヴァルゴって呼んでたよな」

「はい、確かにそう呼びましたよ。それがなにか」

「いや、大した話じゃないんだがひょっとして、乙女座のヴァルゴのことか」

「そうですよ。やっぱり少しでも知識があると分かりますよね」


本当にに大した話ではない。俺が聞いたのは司書たちの名前の由来が12星座かということだ。


「もちろん私の由来もふたご座のジェミニです」

「だろうな。その名づけも先代がやったのか」

「そうですね。なんでも学生時代には星を見るのが大好きだったそうで」

「それで、天井も星空なのか」

「はい、その通りです。もちろん館長もあの天井の風景は変更できますよ」

「変えないでほしいな。私はあの風景好きだし」

「変えないよ。俺もあのままできれいだと思うし」

「あれが前館長の唯一の功績ですね」

「そうか……」


そのような話を続けていると、まあ言い合いが長かったので他の司書よりしゃべっていないが、ライラがそろそろ時間だと言って、俺をジェミニの司書室から連れ出した。


「じゃあね、館長」

「ああ、今後ともよろしく」

「あなたは館長に対する言葉遣いを直しなさい」

「分かってるよー。もうライラはうるさい」


そうして、今度は第4書庫に飛ぶ。


「第4書庫にようこそ。自然科学の棚を管理しています、レオです」

「獅子座のレオか。よろしく」

「はい、こちらこそ」


第4書庫の司書は中学生ぐらいの男の子だった。来ている制服はどうやら異世界図書館アカシックレコードの制服らしい。


「その服って、異世界図書館の制服なのか」

「はい、そうです。ただ僕以外にはライブラ姉ちゃ……第9司書しか着てませんね。なんでもほかの服の方が都合がいいとか」


明らかに恥ずかしい発言をしていた気もするが、あえて突っ込まないであげよう。


「そういえば、この世界の物理法則って、俺の世界と変わらないのか」

「魔法が主流の世界なのであまり熱心に研究されていませんが、基本的には同じですよ」

「基本的にはって言うと」

「魔法は指向性や自由落下、慣性、抵抗などを無視します」


魔法ってもし前の世界で、使えてたら超チートだな。まあ、今も十分チートなんだけど。


「ライラさんの言う通りです。とは言え魔法によって改変されて、物理法則が狂っている場所も意外とあるので、星に降りるときには注意してくださいね」

「降りられるんだ」

「はい、特に制限もないので。魔法で出せないもの調達しに行ったりとか。自分の魔力から生成した魔石を売れば、効率的に稼げますし」

「えっ、人工的に魔石って作れるのか」

「最低でも僕たちレベルの魔力と知力がないと制御できませんね」


そう言っているレオのステータスを空間把握で確認すると、知力も魔力も700を超えていた。人間だったら伝説級のステータスだ。確かに一般的ではない。


「じゃあ、そろそろ」

「はい、分かりました。ところで館長はまだ司書たちを回ると思うのですが」

「なにか伝えておこうか」

「はい、第9司書のライブラにこの手紙を渡してください」

「了解。ラブレター?」

「ちっ、違いますからね。そんなものでは決して」


反応を見ると中身がそれでなくても、そういう気持ちはあるのだろう。まあどうせ回るし、彼がお姉ちゃんと呼んでいる理由を聞いて来よう。


「ああ、そうそう。先代はどうだか知らないけど、おれは職場内恋愛とかOKだから」

「だから違いますって」


その声を最後に俺とライラは第5書庫に転移した。


「で、ここの司書はどんな性格してるんだ」

「ああ、それはですね……」

「おお、これは新館長殿。ご挨拶が遅れて申し訳ない。5番書庫技術・工学の棚を預かっているタウロスです」

「ああ、これはご丁寧にどうも」


5番司書はかなりごついカイゼルひげを付けたおっさんだった。


「司書をやっていて、どうしてそこまで鍛えられるんですか」

「仕事の合間の筋トレですかな。後は、副業で刀鍛冶もやっていますし」

「物理戦闘力では司書随一です」

「へえ。よろしければ打った刀を見せていただけませんか」

「ええ、かまいませんとも」


俺だって日本人だったし、刀には興味がわく。タウロスは俺たちをそのまま自分の司書室に案内してくれた。なかは巨大なベッドを除くとすべて鍜治場になっていた。ほんとに司書室かここ。


「これが最近打った刀ですね」


そこには青く透き通るような刀身を持った刀が置いてあった。


「銘は<風水>。館長よろしかったら普段使いの刀としていかがでしょうか」

「それはやめておこう。ああ、見せてくれてありがとう」


だって身体能力系のスキルの成長補正にマイナスがかかる異世界図書館長アカシックレコードマスターじゃあ、とても使いこなせそうもないからな。まあレベルが上がれば変わるかもしれないけど。


「じゃあ、今後ともよろしく頼むよタウロス」

「ご要望に会えば幸いです」


こうしてもう7度目となる転移で6番書庫へと向かった。


「6番書庫、産業の棚の管理を任されておりますスコーピオです。新館長よろしくお願いします」

「ああ、よろしく」


6番司書はテレビにでてくる経済アナリストみたいな小太りのおじさんだった。


「なんかタウロスと比べるとすごく司書感が……」

「館長、あの人は特殊ですから」

「そう。それでこの世界の産業レベルってどれぐらいなの」

「館長の世界ウォルテイアで言えば、だいたい中世ヨーロッパぐらいですかね。もっとも魔法があるので発達速度は比較になりませんが」

「政治とかは」

「別に私でも語れますが、詳しく聞きたいなら眠くないときのジェミニに聞いた方が詳しい解説がもらえると思いますよ」

「それもそうか。わかった、じゃあまた質問があったら聞きに来るよ」

「お待ちしております」


こうして俺はライラを連れて、再び転移をするのだった。

今後、全話を余裕があれば加筆修正していきたいと思っております。


後、普段は「異世界でも貴女と研究だけを愛する」という作品を上げてますので、そちらもよろしくお願いします。

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