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異世界図書館長の日常   作者: 香宮 浩幸
手違いで転生することになりました
4/15

1-4異世界図書館の司書長

読んでくださる方、ありがとうございます。


本日二話目です。

 

 目を覚ますとそこには紙と木のにおいが充満していた。


 起き上がってぐるりと辺りを見渡すと豪華な装丁を施された本が、前世ではお目にかかったことがないほどの立派な木製の本棚に入れられてどこまでも並んでいた。

 床は濃紺のカーペットがひかれている。天井は星空のような模様が映し出されており、またその模様がゆっくりと動いていた。



「ここが異世界図書館アカシックレコードかあ。どうやらイファリア様の話は本当だったらしいな。本当に自分の姿も変わっているし」


 明らかに身長が伸びているし、なにより眼鏡をかけていないのによくみえる。顔はどうなっているのかと思って鏡を探していると、自分の真後ろに部屋があった。その部屋は明らかに豪華な装丁をしていて、一目で偉い人の部屋だと分かる。


「たぶんここが、館長室かな。おっ、文字が書いてある。けど…………明らかに地球の言葉じゃないな」


 前世では国語にはめっぽう強かったが外国語はとにかくズタボロだった。おれが入った大学の文学部でも、よく入れたなと思うぐらい外国語の授業はさんざんだった。ともかくそんな俺でもわかるぐらいに、明らかに地球の文字とは違った。なんというか記号のような感じだ。だがこの文字が………


「読める。イファリア様がこの世界での言語知識でも付与してくれたのかな。さて、それはさておき、ええっとア、カ、シック、レコ、ード、異世界図書館アカシックレコード、館長、室。ここだな、じゃあとりあえず開けようか」


 と思って、扉に触れた瞬間扉がいきなり開いた。


「うわあ」

「大丈夫ですか」


 驚いて、こけそうになった俺を中から出てきた女性が支えてくれた。その女性はとても美人だったが、ものすごく見覚えのある人物に似ていて………



「ええと、イファリア様ですか」

「いえ、私は先代館長に作られました人造人間ホムンクルスの司書長です」


 そう、とてもイファリア様に似ていたのだ。

 きっと先代の館長はロリコンだったに違いない。


「名前はなんていうの」

「先代館長が次の館長様が男性なら、名前を付けて下さいご主人様、と猫なで声でいえば萌えるとおっしゃっていましたので新館長様が付けて下さい」


 先代館長はロリコンであっただけでなくメイド好きでもあったらしい、この世界と前の世界の時間の流れ方が分からないのではっきりしたことは言えないが、先代館長も俺と同じ世界出身で同世代の可能性がでてきた。もっとも同じ人種扱いはあまりされたくはないが。

 それはともかくこんなかわいい子に名前がないのもかわいそうだし、先ほど自分のことを司書長と言った以上関りも増えるだろうし、名前がないのも不便だ。


「なにか、希望はある?」

「いえ、とくには」


 前世では犬猫はおろか虫すら飼っていない俺には名づけの経験などない。どうするかなあ………仕方ない、安直だが図書館の英訳から取ってつけよう。


「ライラ、君の名前は今日からライラだ」

「ライラ………響きがいいですね。ありがとうございます。それで私は館長様のことをなんとお呼びすればよいでしょうか」

「じゃあ、修也館長で……… いやまてよ、そういえば俺ってこの世界に転生したけど名前って変わってないのか」

「さあ、それは分かりかねます。通常の転生者なら確実に名前が変わると思いますが、館長の場合は特殊な転生のされ方をなされているようので」


 確かにそうだろう。なにせ転生の原因が女神さまの手違いだというのは前代未聞のはずだし。

 そういえばいま気が付いたがライラの言葉は地球の言葉ではないのだが普通に意味が分かる。イファリア様が言語知識をきちんと付与してくれたことがはっきりした。

 にしても、名前を調べる方法って何かないかなあ……

 しばらく考えているとライラが解決策を出してくれた。


「でしたらステータスを確認されたらいかがでしょうか。ここならすぐに見ることができますが」

「なるほど、さすが異世界だね。じゃあお願いしてもいいかな。 あっ、その前に。ここって鏡はある?」

「鏡なら館長室のテーブル上にあったかと。どうぞこちらです」


 鏡で見た顔は、黒髪であること以外は前世と大きく変わってかなり整っていた。




「では始めます。 <魔導書召喚サモングリモワール 自知の書ステータスプレート>」


 ライラがそういって左手を前に出した瞬間、左手の上に分厚い本が登場した。

 この世界に来て初めての魔法だ。


「これが司書魔法です。異世界図書館内にある本を自由に呼び出すことができます。この世界で使えるのは、館長と私のほかには11人の司書だけです。とは言っても館長様以外は使用に制限がかかります。例えば私だと禁書や召喚魔導書の使用ができません」


 この図書館内のすべての本が使えるとか恐ろしいチートだ。さらに自分のステータスを見てみたくなった。


「では、この魔導書に血を一滴たらしてください」

「ああ、分かった」


 そう言って、ライラから受け取ったナイフで指先を傷つけ、血を魔導書に垂らすと魔導書から発生した青い光がパソコンのウィンドウのように開いた。


「さて俺のステータスはと」


<名前>シュウヤ・イフィリア

<種族>ハイヒューマン

<年齢>16

<職業>異世界図書館長アカシックレコードマスター

<レベル>1

<HP>200

<MP>EX

<力>10

<魔力>EX

<防御>15

<魔防>900

<俊敏性>8

<知力>EX

<スキル>異世界言語レベル10 司書魔法レベルEX 治療魔法レベル10

 異空間収納レベル10 速読レベル10    

<固有スキル>空間把握レベル1

<装備>異世界図書館長のローブ


 俺のステータスはとんでもないものになっていた。



普段は「異世界でも貴女と研究だけを愛する」という作品を上げてますので、そちらもよろしくお願いします。

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