2-1 下界探索
たぶん、数カ月更新が止まるか、一度削除するかと思います。
もう少し設定をまとめてから出直します。
「結構、天気良いな」
「日当たりもいいですね」
「久しぶりの日の光の気がしますなあ」
ある日、俺とライラとホワールの二人と一匹は珍しく、異世界図書館ではなく惑星アーガイアの上にいた。もっと言うなら俺にとっては異世界初の外出だ。
「やはり、たまには外に出るべきですよ館長」
「まあ、そうだな……あっ、ライラは日焼け止めとか塗ってるの。せっかくの綺麗な白い肌が台無しになっちゃうよ」
「き、綺麗、で、す、か」
「ああ、そうだけど、それがどうかしたの」
「い、いえ何でも」
その様子を見ながらホワールはため息をつく。
「まったく、あの二人はややこしいですなあ。鈍い館長に、今一つ押せないライラさんとは……」
その様子は異世界図書館からも見えており、特にある人が騒いでいたそうだ。
二人の面倒なやり取りが終わったところで、ホワールは再び修也の肩の上に乗った。
「お二人とも、三年ぶりに外に出たのですから、もう少し落ち着かれてはいかがですか」
「そうだな……いや、俺は落ち着いてなかったか」
そう、3年である。俺はあれから三年間、図書館にこもっていた。まあ、ステータスが強化されるまではライラが外に出してくれなかっただけなのだが。
きっかけは昨日の夕食の時だった。
「なあ、俺もさすがに3年も本を読み続けたわけでさあ、異世界図書館中の本をほとんど読みつくしたわけだよ」
スキルの<空間把握>や、<速読>のおかげで俺は3年の間に大半の本を読むことができた。情報量が多いので流し読みしているものがほとんどだが。まあ、それは司書たちに聞けばいいのでスルーしよう。
「それで、どうされるんですか」
「アーガイア観光をしようと思います」
「うーん、まあ館長もかなり実力がついていますし問題ないと思います」
「えっ、本当にいいのか」
なんせ、つい2週間前にも同じようなことを言って、却下されたからな。
「はい、既定のレベルに達しましたしね」
「規定って……あれが」
「そうですよ。それに、これからアーガイアに降りる機会も増えますしね」
少しライラの発言に気になる点があったが、まあいったん置いておこう。
「それで、どこが観光に適してるかな」
「私ならセーブズ公国をお勧めしますね。文化程度も程よく発達していて、隣国との関係も良好ですから」
「私も賛成。最初に行くならあそこが適切。一応、文化などをまとめたガイドブックは作っておくから」
キャンサー先生が挙げたセーブズ公国にジェミニも賛成した。ライラもうなずいている。
「じゃあ、明日は早朝にセーブズ公国、公都セーブズ近辺の草原に飛ぼうか」
「それでいいと思います。私とホワールが付きますから、他の皆さんはきちんと仕事してくださいよ」
こうして今日にいたる訳である。ちなみに、異世界図書館最深層にある転移の小部屋で行き先を指定すれば簡単に地上に降りられた。帰るときは魔法陣が必要らしいが俺もライラも書き方を覚えているので問題ないだろう。
「あそこが公都ですね」
「おお、結構立派だな」
草原の向こうには石壁で囲まれた直径20キロほどの巨大な都市があった。
「いやあ、ほんとに立派だなあ。これは久々の買い物も楽しめそうだ」
「そうですね。あれっ、ホワール、どうかしましたか」
俺とライラが先に進もうとすると、ホワールが後ろを振り返って滞空していた。
「お二方とも、お気づきになられませんか」
「何が……んっ、この魔力は」
俺は公都とは逆方向にある森からとてつもない魔力を感じた。
「最低でもBランクのモンスターの魔力ですよ。……来ます」
その瞬間、森から飛び出してきたのはボロ馬車と……
「ギガントコックローチ……。あれ、Aランクのモンスターですよ」
早い話が超巨大なGです。ああ、見てるだけで吐き気が。
「ライラ、あれ焼き払っていいか」
「館長のお好きなようにどうぞ」
「分かった。ホワール、行くぞ」
「行きましょうか、ご主人」
俺はホワールを肩に乗せると、
「<身体能力強化・速>、<身体能力強化・豪>、<自動回復>」
身体能力強化系の魔法を余すことなくかけていく。ちなみに詠唱は日本語でもいいらしいので、俺は使いやすいので一部の魔法は日本語で詠唱している。
「<鉄壁>、<鉄壁>」
さらに防御魔法をかけて、馬車とGの間に滑り込みホワールに魔力を通して増幅させる。
「<物理攻撃反射>、<業火炎・極>」
俺の目前に出現させた光の盾は相手の体当たりをそのまま吹き飛ばし、次に出した巨大な青い火の玉を投げ込んで……瞬殺した。
「いやあ、弱かったなあ。いや、俺が強すぎるのか……」
「おそらく後者ですな」
「う、嘘。ギ、ギガントコックローチが一撃で…… あなたはいったい何者なんですか」
ホワールと談笑していると、後ろから声をかけられた。さっきの馬車に乗っていた女性商人らしい。
「何者かっていうと……い」
異世界図書館長ですけど……って言えるか、そんなこと
「いっ、いえ……通りすがりの魔術師です」
こういうのがベストだな。それでも不思議そうな顔をされたけど……
やっぱり強くなりすぎたんじゃ……
俺は空間把握のスキルを活用して、頭の中でステータスを眺める。
<名前>シュウヤ・イフィリア
<種族>ハイヒューマン
<年齢>19
<職業>異世界図書館長
<レベル>300
<HP>3200
<MP>EX
<力>100
<魔力>EX
<防御>100
<魔防>3900
<俊敏性>99
<知力>EX
<スキル>異世界言語レベル10 司書魔法レベルEX 治療魔法レベル10
異空間収納レベル10 速読レベル10
属性魔法レベル10 精霊魔法レベル10 空間魔法レベル10
星魔法レベル10 魔法薬調合レベル10
NEW詠唱短縮レベル10 NEW高速詠唱レベル10 NEW日本語詠唱レベル10
NEW無詠唱レベル10 NEW詠唱破棄レベル5 NEW召喚魔法レベル7
NEW身体能力強化魔法レベル10 NEW竜魔法レベル3 NEW神代魔法レベル3
NEW神魔法レベル1 NEW魔法創造レベル2 NEW守護魔法レベル9
<固有スキル>空間把握レベル5 万象召喚レベル7
<装備>万象召喚術法書 異世界図書館長のローブ 守護聖獣・星白梟
……うん、強くなりすぎたな。