1-12二日酔いの魔導書研究~考察編~
読んでくださる方ありがとうございます
あまりにもこの作品は中途半端なので、近日中に削除して書き直すかもしれません。
「ううっ。飲みすぎたな、これは」
「館長、だから止しましょうって、僕言いましたよね……ヤバイ。僕も気分が……」
ライラを部屋に送った帰りにパイシーズにからかわれた俺は、イライラとしていたせいで全く眠れず。腹いせにレオをたたき起こして宴会場に戻ってやけ酒に付き合わせたということである。
「いや、やはり徹夜酒はいかんのう。もう、意識が……」
「私も、昔の、ように、飲むのではなか、っ、た」
「あ、頭が割れるように痛い。な、なに飲んでましったけ」
「zzzz。ガー、ゴー」
「タウロス、頼むから私に倒れ掛かって寝ないでくれ。ああ、い、胃液が口から……」
現在、午前6時。大広間は死屍累々と言った様である。あちこち酒やゲロにまみれ、掃除が大変そうだ。
「あっ、俺も吐き気が……」
「ぼ、僕にかけないでくださいよ」
「やっぱり、こうなってたか」
「館長、少し幻滅しました」
「パイシーズ、ライラ………」
気分が最悪でそろそろ吐きそうになっていると、背後にパイシーズとライラが立っていた。
「どうせ、昨日の件でやけ酒でもしたんでしょ。若いわねー」
「うるさい。というか頭がマジで、ガンガンする」
「館長、自分の治癒魔法で治りますよ」
そう言われて、自分の治癒魔法の項目を読んでいると、レベル6に血中の毒素を分解する魔法があったので使ってみた。
「ええと、<毒素分解>」
すぐに吐き気が治まってきた。にしても異世界に来て初めて使う魔法が酔い止めって……
「吐き気が治まったのなら、行きますよ」
「えっ、どこに」
「どこにって、私たち二人が来たなら、当然昨日の魔導書の件の続きよ」
そういえば、昨日の魔導書の情報があまりに少ないので研究をしないと使えない。って言われてた気がする。完全に忘れてたな。
「館長、まさか魔導書を無くしたり、汚物まみれにはしていませんよね」
「た、たぶんな」
「まあ、汚れても魔法ですぐにきれいになるけど。ただ、私たちは絶対触りたくはないわね」
ローブの中を探っていると一つのポケットから出てきた。ちなみに異世界図書館長のローブのポケットは自身の異空間収納につなげてくれるらしく、どれだけ入れても膨れない。
「じゃあ、行こうか………」
「なぜ、そんなに暗いのですか」
「だって、万象召喚術法書だよ。携帯版のこの世界の万象の理だよ」
「お気持ちは分かりますが……」
「そうは言ってもいつまでもは逃げられないわよ」
「はい……」
「ああ、そうそう。片づけは男組でやってね」
そういった瞬間、先ほどまでくたばっていた面々が自身に<毒素分解>をかけて、レオに拘束魔法をかけた上で、転移で自室に飛んだ。なるほど、治癒魔法で治るから徹夜で飲めるのか。背後でレオが「結局、やらせられるの僕じゃないですかー」と叫んでいたが気にせずライラは転移魔法を使った。
「ここは?」
「10番書庫にある魔法実験室よ。とはいっても壁に魔封じの結界が何重にもかけてあるだけのだだっ広い部屋だけどね」
確かに、学校の体育館ぐらいありそうだ。
「ここであの魔導書をつかってもらうわ」
「まずはステータスプレートのように魔導書の情報が宙に出るように念じて下さい」
「はい、分かりました」
さてと、早速やってみるか。あっ、出た。
「出ましたね」
「じゃあ、確認しましょうか」
<名称>万象召喚術法書
<属性>無
<種類>召喚術書
<保管域>禁書庫進入禁止区画
<発行年>unknown
<発行者>万象の理
<レベル>EX
<補正値>万象の理への接続権 +999
<能力>所有者に対して万象の理に対する接続権と干渉権を与える。ただし、干渉権の大きさは本書所有者に与えられる固有スキルのレベルに影響する。
「……館長ステータスを開いてください」
「ああ」
<名前>シュウヤ・イフィリア
<種族>ハイヒューマン
<年齢>16
<職業>異世界図書館長
<レベル>1
<HP>200
<MP>EX
<力>10
<魔力>EX
<防御>15
<魔防>900
<俊敏性>8
<知力>EX
<スキル>異世界言語レベル10 司書魔法レベルEX 治癒魔法レベル10
異空間収納レベル10 速読レベル10
<固有スキル>空間把握レベル1 万象召喚レベル1
<装備>万象召喚術法書 異世界図書館長のローブ
「たしかに付いてるな、固有スキル<万象召喚>」
「館長、どのような能力か分かりますか」
「きっと、さっきと同じように出るはずよ」
「おっ、意外とすぐに出たな」
<万象召喚レベル1>
<万象召喚術法書の所有者につけられる固有スキル。レベル1では生物では中級レベル程度の魔物まで、アイテムでは上級品まで、召喚獣は召喚魔法のレベル1まで、魔法はレベル1までが召喚できる>
「なるほど、つまりレベル1だとそうでもないということか。そういえばアイテムの上級品ってどのくらいのレベルなんだ」
「私でもわかると思うのですが念のため、専門家を呼びましょう」
と言う訳で、産業の棚のスコーピオを呼んできた。
「なるほど、アイテムのレベルですか。分かりました、まずアイテムには8種類のランクがあります。それぞれ低級品、中級品、上級品、高級品、希少品、伝説級品、妖精級、神級品と呼ばれています」
「で、それぞれどれくらいのレベルになるんだ」
「低級品は強いて言うなら粗悪品ですね。中級品はそのまま普通の品、上級品は品質が高めの物品で商人や貴族が普通に買える程度の値段ですね。高級品は上級貴族や王族なら手が出ますが、かなりの値段ですね。ただ希少性はそこまで高くありません」
「それ以上のアイテムはどうなるんだ」
「希少性が跳ね上がります。金を積んでも簡単には手に入りません」
「へー。ちなみに俺のローブのランクは」
「なかに異空間収納が併設されており、魔法防御力も尋常じゃありませんし、まあ、最低でも妖精級はいくでしょうかねえ」
「おお、結構すごいな」
「館長、無駄話してると終わりませんよ。早くしてください」
「はい、すみません」
今日、分かったこと
・<毒素分解>の魔法があるので司書たちは徹夜で飲める。
・レベル1の万象召喚はたいしたことない。
・やっぱり怒らせるとライラさんは怖い。
あれ、魔導書に関することが一個しかないな。いったいなぜだろう。