攻撃力0の男
「うむ、こりゃオワタじゃな」
「やめて?フザけて言われても怖いから」
腰まで伸びたヒゲを触りながら諦めたように言うじいちゃんに、俺はビビりながらそうツッこんだ。
「じゃって見てみぃ、これ」
「お、おう。……って…え?いや…これマジか?いやいや、そんなまさか」
じいちゃんが見せてくれたのは俺のステータス。15才になると教会でステータス解禁という儀式が行うのがこの世界の習わしであり、レイドス王国の端っこにあるこの街、ガルディラもその例にもれない。そして俺ことハル=カディルも今日、ドキドキワクワクで胸を膨らませながら教会を訪れ、実の祖父でもある神父に解禁をしてくれるよう頼んだのだ。
そう、そこまでは良かった。しかし、じいちゃんが見せてくれたステータスはそんな希望を困惑へと変えるには十分なものだった。
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攻撃×
防御Ⅳ
俊敏Ⅰ
狙いⅠ
運Ⅱ
アクティブスキル
なし
パッシブスキル
堅盾
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「×って何でございましょうか、お爺様」
「わしにもわからぬ、お坊っちゃま」
え?バツ?攻撃するなってこと?( ;´・ω・`)
「いや、これはかけるで、きっと何倍もの威力を…」
「何をブツブツ言ってるのか知らんが、バツってことは攻撃力0ってことじゃろうな」
やめろぉぉ!俺の現実逃避を返せ!俺にはリオン(幼なじみ)と一緒に勇者になるっていう夢があるのに!これ絶対ダメなやつやん!ハブられるパターンやん!
「でもじいちゃん、わからんって言ったってことは見たことないんだろ?なら…」
「いんや、確かに攻撃力×というのは初めて見たんじゃが、×がついたスキルが出ることはよくあることじゃからな。例えば、『長剣Ⅰ 両刃×』とかの。しかし、かけるなんてものはスキルの中でも見たことも聞いたこともないからの、そもそも存在せんのじゃろうし、残念じゃが受け入れるしかないのう」
ぐぬぬ…。認めたくはないが、これまで何万人ものステータスを見てきたじいちゃんが言うのならきっとそうなんだろう。この道50年だからな、疑う余地はない。のだが…
「ん?ちょっと待てよ?」
ステータスもスキルも別に15になった途端に身に付くものではない。解禁していないだけでどちらも随時更新されている。特例で15になる前に解禁するケースもあるし、貴族や王族の一部の人間は金や権力で生まれてすぐに解禁させる奴らもいると聞く。そうして幼いうちから英才教育を施すのだそうな。
っと論点がずれたな。もし、おれが生まれつき攻撃力0というステータスだとしたならば……
( ゜д゜)ハッ!
「俺が今まで一回も喧嘩で勝てなかったのはこいつのせいか!」
「…まぁ今思えばじゃが、何度喧嘩しても女の子のリオンちゃんに一方的にボコられてたのも確かに可笑しな話ではあるの。ホッホッホ」
そうか!じゃあ今までの126戦126敗(相手は全てリオン。基本いい子な俺は、悪い子なあいつ以外と喧嘩したことないのだ。)は俺の実力じゃないんだ!フッフハッ!
「何を考えてるのかは大体見当がつくが、攻撃力0は立派なお前の実力じゃからな?」
「フハハ……ハァ( ´Д`)」
またしても現実逃避を打ち砕かれた…。これからどうすっぺ…。




