第二話
「刹那…また遅刻…」
「ごめんね。姫」
ここは町外れの森林。
刹那たちが来たときは純白のコートを身に着けた2人が立っていた。
「柊は刹那を連れてきたんだよな?」
「刹那は遅刻魔君だからね」
「で?今日の任務は?」
「あぁ。やつら…『黒炎の歌』の研究所を見つけた。直ちに向かい破壊する。」
「龍也はまじめ君だなぁ。」
「いつも遅刻のお前とは違うのだ。さぁいくぞ。場所はここから北に向かえばいずれ見える」
「いずれ見えるって…もういないし」
「みんな…いったよ…?いこ」
「あぁ姫。いくか」
ザッ!
刹那たちは後を追う。
研究所とは…?そして『黒炎の歌』とは?
「ここか…」
「刹那…いかないと…おいてかれるよ…?」
「そうだな」
そこは人が一人もいないような町外れの倉庫。
ザッ!
刹那たちの後ろから物音がした。
「だれ…?」
「ここを嗅ぎ付けたのはほめてやろう。しかしここでおわっ!?」
「おせぇ…」
刹那はいつの間にか出てきた男の後ろにまわっていた。
そして男の心臓には純白の剣が突き刺さっていた。
「姫いくぞ。遅いとまた柊達になんか言われる」
「うん…」
そして薄暗い倉庫の中をどんどん進んでいく。
「遅いじゃない刹那」
「色々合ったんだよ!」
「おい静かにしろ。ついたぞ」
そこには大きなコンピューター。そこに一人の男が立っている。
カタカタとコンピューターをいじる音が聞こえる。
そこを物陰に隠れて見物する。
「Z-ロイドの研究だ」
「っ!?あんな物をまだ!?」
「柊静かに」
「刹那?」
「龍也いくぞ?いいな?」
「刹那気をつけろ。何があるか分からん」
「刹那…援護…任せて」
「姫まかせた」
刹那は飛び出す。
Z-ロイド。別名侵食型ウイルスZ。
そのウイルスは人間に投与すればたちまち体を蝕んでいく。
しかし、それと同時に人間離れした身体能力を身につけることができる。
「おいそこまでだぜ」
「だ、誰だ!?」
「名乗るのか?めんどくせぁな。純白の風No,XIII刹那」
「純白の風だと!?そうかここもばれたか。だが手遅れだったな!」
「うるさい。しゃべるやつは長生きしないぞ?」
「ええぃおまえがあのXIIIの刹那だとしても関係ないわ!もうZ-ロイドを侵食させた人間は完成しておるのだ!」
奥にあったカプセルみたいな物が開く。
そこから出てきたのは紛れもない人間だった。
「それがZ-ロイドを侵食させた人間か。お前ら『黒炎の歌』は何がしたいんだ?」
「いいだろう!教えてやる冥土の土産だ!我らはZ-ロイドを使って反乱を起こすのだ!」
「反乱!?王都に反乱したらどうなるか!?」
「そうだ戦争だ!我らは十年前の大戦争をもう一度起こすのだ!」
「てめぇらはどこまで腐ってんだよ!!」
ちょんちょん。
刹那と男の会話をみていた柊に姫子がつついてきた。
姫子はいつも刹那が姫と呼んでいる小柄な子だ。
「刹那…怖い…」
「どうしたのかな?刹那たしかに怖いな」
「さぁお話は終わりだ!やれ!」
「Z-ロイド感染者。こいつもなりたくてなったんじゃないよな?今楽にしてやる」
刹那に感染者の剣が迫る。さっきの刹那のスピードを上回るスピードで。
「刹那!危ない!」
「まだいたか!そいつらもまとめてやってしまえ!」
ザッ!
「ふははっ!もうやってしまったのか!はやい…な?」
「無痛の一撃。痛みはないはずだ。ゆっくり休みな…」
「きっ貴様は化け物か!?」
「化け物…か。そうかも知れんな…」
ザシュッ!!
「姫…?」
「刹那…化け物じゃない…!」
姫子の剣は確実に男の心臓を貫いていた。
姫子は怒っているみたいだった。
「ひめ〜怒るなよ〜。俺が怒るときがなくなっちまったじゃね〜か」
「刹那…大丈夫…?」
「心配するなよ姫。それよりここ爆破して任務完了だよな?龍也」
「あぁそうだな。もう装置はしかけてある。あとはここを出るだけだ。いくぞ柊」
「あ?あぁ」
刹那たちは倉庫を後にする。
「戦争…絶対やらせるわけにはいけないな」
「刹那珍しくまじめだな?どうした?」
「うるせい!龍也おれは帰って寝るからな!明日学校だってのに…」
「ばいばい…刹那…」
「またな刹那」
「じゃぁな姫、柊」
ここは刹那の家。
綾乃はすやすや眠っている。それもそのはず今は3時だ。
「綾乃…おやすみ」
刹那は自分の部屋の布団で眠りにつく。
「あぁつかれた…」