ニ夜
すいません。いきなり一話で、文章をコピーミスしてたみたいです。訂正しました。
はい、やって来ました!初、異世界!!でございます。
えー、現在、俺は城の一室に寝転んでおります。
この部屋は、婚約者として降り立った俺にあてがわれた、いわば貴賓室、VIPルームと呼ばれる部屋でございます。
部屋の広さは俺の家がスッポリ入るぐらい。
部屋には必要最低限の物しかないが、全てが品が良く、明らかに高級品といった感じ。
俺が寝転がってるベットはキングサイズと呼ばれる物だろう、天蓋付きだ。
お姫様と聞いてはいたが、ここまでとは思っていなかった。
これって玉の輿だよね?逆玉?アラブの石油王にでもなった気分だ。
そんな事を考えていたら、部屋がノックされ、部屋付きのダンディな羊が入ってきた。
執事で羊なんだよね、名前はメープさん。
濃い紫の毛並みで、雰囲気はダンディだ。
「兜太様、御食事の支度が出来ましたメェ。宜しければ食堂まで、御案内させて頂きますメェ
」
見た目がダンディなだけあって、語尾とのギャップがまた、素敵だ。
「大丈夫ですよ、メープさん、宜しくお願いします 」
「かしこまりましたメェ。御案内させて頂きますメェ 」
それにしても広い!部屋から食堂まで10分程歩いたと思う。
部屋の中は、壁沿いにフワフワ浮いている光球のお陰で明るい。
これが魔法というやつだろう。
俺は、メープさんに案内された席に座り、大人しくしていた。
三分程でリリが部屋に入ってくる。
ドレス姿のリリは大人っぽく見える。
思わず見惚れてしまう、こんなに幸せで良いんだろうか。
リリは俺の向かい側に座る様だ。
「いかがですか?兜太様 」
「とっても綺麗だと思います! 」
何も考えずに、口から出てしまった言葉に顔が熱くなる。
リリも頬が紅くなっている所を見ると照れているんだろ。
フフフ、照れるが良い。
「あの、城に不便は無いかと思いまして・・・・。でもありがとうございます 」
勘違いだったー!キャー、恥ずかしい!!
リリに続いて、黒影さんが入ってくる。
リリの席の背後に立つ様だ、従者というやつだろう。
「マール、兜太様にご挨拶を 」
「かしこまりました。兜太様、自分は、マール=トラヴァルトと申します。幼少より、リリト様にお使いしております。従者兼、兜太様と同じ婚約者候補といったところでしょうか。御挨拶が遅くなり申し訳御座いません 」
「俺こそ宜しくお願いします、マールさん。同じ婚約者同士仲良く・・・・ 」
ん?今、こいつなんて言った?同じ婚約者とか申し上げましたよね?
同じってどうゆう事だ?聞き間違えだよな。
もう一度、聞いてみようと思い口を開きかけたところで、新たな入場者が視野に入ってきた。
とりあえず確認は後回しになりそうだ。
「あなたが鬼城兜太さんね、妾はリリの母親、マナ=ミドラーシュ。宜しくお願いするわ 」
「不束者ですが、よ、宜しくお願いしましゅ 」
普通に女王様きたー!!ビックリしたー!!
きっとリリが大人になったら、女王様のみたいになるんだろうな。
流れる様な白髪に、スラっとしたボディーライン。
顔から幼さが消え、綺麗さが際立っている。
お母様、凄くタイプです!!抱いて下さい!!
そんな邪な感情を呼んだのか、リリに思いっきり足の甲を踏み抜かれた。
ぐぉお、痛い、声にならない悲鳴がでた。
ごめんなさい、リリさん。
怖いから!瞳からハイライトが消えてるから!!
自己紹介が終わったところで着席する様に促された。
晩餐はコース式の様だ、前菜が運ばれてきたところで女王様から声がかかる。
「兜太さん、地球での事はリリから聞きました。御迷惑をかけてしまったみたいね、謝罪するわ。妾としては今回の婚約の件は無かった事にしても良い思ってるの 」
「お母様!!私は!! 」
リリから抗議の声が掛かるが、女王様が手を挙げ言葉を遮る。
「今回は事故といっても差し支えないと妾は思っている。確かに我々の国では婚約者として相手を認める際、接吻をするわ。でも、救命活動の一環ではなくて?それなら話は別だと思うのだけれど 」
「お母様、私は救命活動もありましたが、その、兜太様だから、せ、接吻までしました!私は他の男性であればそのような事は致しません! 」
「でもリリ、貴方は兜太さんと初めてお会いしたのでしょう?まさか、一目惚れなんて言わないわよね? 」
少しの沈黙の後、リリは
「私は、以前、兜太様に一度、お会いした事があります。」
リリと会った事がある?リリは目立つ、白髪という容姿だけでも、一度見たら忘れないと思うんだけど。
リリと初めて会ったのは、中学校の卒業旅行の時だったらしい。
俺の中学校は卒業旅行に某、夢の国形式のテーマパークに行くのが恒例だ。
リリも地球旅行へ来た際に遊びに行く、お気に入りの場所らしい。
リアル、魔法の国に住んでるのに変わってると思う。
勿論、目立つ容姿なので魔道具で変装をするそうだ。
ありきたりな話で、黒髪にしても人形の様な綺麗な顔は変わらないリリは、強面のお兄さんにナンパされて困っていた。
そこへ、俺が彼氏の振りをして助けた。
確かに、俺にもそんな記憶がある。
俺は、親父に女に暴力を振るう奴は最低だ。
人に迷惑を掛けなければ、後は自由にして良い。
そんな親父が唯一、躾けてくれた事だった。
だから、女の子が困っているのは無視できなかった。
手を引いて歩いたのが恥ずかしくて、逃げる様に別れたが。
ちなみに、女の子助けた俺、カッコイイとか思ってないよ?本当だよ。
でも、実際、出来すぎた話だろう。
そう思っていると女王様が
「マール、本当なの?」
「はい、マナ女王様。私も以前リリト様がおっしゃていたのを記憶しております 」
「そう、妾にはとても偶然とは思えないのだけれど 」
「それは、その。兜太様が着ていた制服を調べたり?地球に行く度に探してみたりなど、その、していましたから 」
女王様が頭を抱え溜息を吐く。
「妾の娘が、まさか、ストーカー紛いの行いをしているとは。マール、お前は従者として何をしていたのか 」
「申し訳ございません。同行していましたが、気づきませんでした 」
「まぁー良いわ。それで、兜太さん、貴方はどうしたい?正直、人間には住みにくい環境だと思うわよ?人間に偏見を持つ魔族も多い。それに寿命も、十倍は違うと聞いてるわ。」
俺は、どうしたいのだろう。
確かにリリは可愛い、お城の生活にも興味がある。
だが、今までの、地球での生活もある。
確かに、魔法で行き来はできるが、婿としての立場上、こちらの世界に住むことになるだろう。
まだ、城の中しか見ていない状況では判断も出来ないと思う。
何事も体験してみなければ!
「女王様、リリ、俺に少し時間を下さい。外の様子や魔族の方の生活も見てみたい!それに、リリとも仲良くなりたいんです!! 」
「そうね、旦那が帰って来るまで時間はあるし、そう焦らなくてもいいかしら。三日後、兜太さんの気持ちを旦那と一緒に聞くことにするわ 」
そういえば、お父さんいらっしゃらなかったね。
緊張感しすぎて考えなかったよ。
とりあえずは話がひと段落した様だ。
正直、なにを食べたか覚えてない、すげー高級料理だったのに。
手汗が凄すぎて、ナイフが滑ってしょうがなかった。
リリが部屋まで送ってくれると言うので、お言葉に甘える。
少し後ろから、マールさんが音も無く追従している。
正直、少しマールさんにトラウマがある俺にもは、背後に立たれると冷や汗が流れる。
俺の背中に立つんじゃねーよ。
気を紛らわせる為、リリに話しかける。
「そういえば、旦那って女王様言ってたけど、お父さん?だよね?どんな人?? 」
「そうですね、母は女王でしたからあまり時間がなくて。子供の頃は父に可愛がって貰いました。ちょっと過保護過ぎるのが難点ですかね? 」
「愛されてるんだね。リリが可愛い所をみると、お父さんもイケメンなんじゃない? 」
「可愛いだなんて」
リリが可愛いに反応してイヤンイヤンしてる。
こうゆう所が萌えるよね!
リリが言葉を続ける。
「父は、そうですね。身長は高めでガッシリした感じです。国の人々には、狂気の王とか、殺戮の神から愛された者、とか呼ばれて愛されいますね! 」
ドヤ顔で胸を張るリリ、この子、最後に爆弾ぶっこんできたなぁ。
娘、大好きな殺戮王とかね、あー、腹痛い。
今度こそ死んだかな、俺。
その日はとても疲れていた筈なのに、一睡も出来なかった。
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