タマちゃんは鼻が利くんですよ!
説明会というより歓迎会のようです。
説明は簡単に終わり、ちょっと注意事項を話していましたが、後は飲み食いとお喋りの時間です。
注意事項も寮内に男を連れ込まないや、騒音等で周りに迷惑を掛けないや、門限を越えそうだったり他の場所に泊まる時は最悪事後でもいいのでルシアさんに連絡する、等の常識的な事だけで、全然厳しく無いようです。出された食事は残さないというのもありますけど。
話す事はどれだけこの寮がきついかという事が主です。他のクラスに上がった事や他のクラスの寮に入った事のある先輩達が新入生に語ります。
私とセツナはちょっと身の置き所がありません。出来れば全員の部屋を、私達の部屋程では無くても改良してあげたい所ですが、それはルシアさんが許してくれませんでした。
これは、私達の部屋には誰も入れられませんね。申し訳ありません、同じ寮の仲間達。
次の日。今日から授業が始まります。
最初は身体測定でした。始めに、全員の能力を測るそうです。
物を投げて測る、腕力。持久走で測る、体力。障害物競走みたいなもの(ハードルを飛び越えたり、飛び石に乗って渡ったり)で測る敏捷。魔力を放出して強さを測る、魔法力。その放出を魔力が無くなるまで続けて測る魔力量です。身長、体重、スリーサイズ等は測りません。
私の測定結果は、
腕力 D 体力 D 敏捷 C 魔法力 A 魔力量 C
でした。魔法力Aは凄く驚かれました。
同じ測定をタマちゃんが行うと、
腕力 B 体力 B 敏捷 D(転がるとA) 魔法力 C 魔力量 B
こうなります。凄いですね!タマちゃんは!
セツナも測り終えたようです。結果は、
腕力 C 体力 C 敏捷 B 魔法力 E 魔力量 E
だそうです。魔法関係に目を瞑れば良い成績だと思います。セツナはちょっと不満そうでしたけど。
身体測定が終わり、これからお昼ご飯です。
食堂と購買があるそうです。今日は食堂に行ってみる事にしました。
思ったより人が居ませんね?ちらほら席が埋まっていますが、上級生はまだ授業中なんでしょうか?
……あまり美味しくありません、というか不味いです。ルシアさんが食堂やればいいのに……そしたら午後の授業に遅れる人が多発しそうですね。
タマちゃん、これ食べてみますか?
……匂いを嗅いだら、見向きもしなくなりました。タマちゃんは『収納空間』から食べ物を出して自分だけ食べ始めます。私もそっちが良いなぁ。
セツナと話して、食堂はなるべく止めとこうという結論に達しました。
なので帰りに購買を覗いて見る事にします。
戦争中でした。溢れる怒号、飛び交う罵倒、あちらでは人が潰され、こちらでは人が弾き飛ばされ。
これはもしかして、購買の品物を争っているのでしょうか?私達がご飯を食べている間ずっと続いていたのでしょうか?
そして、品物が売り切れて戦争は終わります。敗残兵が所々に居て食堂に向かって行きました。
戦争の敗者には不味い食事が待っているようです。
……これこそ、上位クラス優先とかにすればいいんじゃないでしょうかね?
セツナと話して、購買もなるべく止めとこうという結論に達しました。
という事で、明日からお弁当を作ってくる事にします。
不味い食事と戦争見学、そして弁当作成の決意で昼休みも終わり、午後の授業が始まります。
午後は武器適正と魔法適正を調べるようです。
武器適正は何の武器が自分に合っているかを、午前の成績や将来何がしたいかから先生の診断によって教えてくれるそうです。
まあ、参考にしろと言われるだけで、強制では無いようですが。それも、今迄武器を余り使った事の無い人に対しての授業のようです。
私は軽い近接武器を薦められました。細剣、短剣、短槍辺りですね。
セツナは刀に合っているようです、良かったですね。
魔法適正は属性とは別で、魔法の工夫に関しても向き不向きがあるようで、それを調べます。
魔力を込める事で威力を上げる事に向いている者、数を増やす事に向いている者、形を変える事に向いている者等色々です。
例えば『石弾』の魔法であれば、石の飛ぶ速さ、石の形、石の硬度、石の数、石を回転させたり軌道を曲げたり等の動き等でしょうか。
私は形と動きを変える事に向いているそうです。魔法工作に向いていると言われました。
セツナは硬度を変える事に向いているようで、魔法強化に向いているそうです。
速さであれば単一魔法攻撃、数であれば広域魔法に向いているという所でしょうか?
そういうのを調べながら、同じクラスの子を観察してみました。
ただ、やっぱり最低クラスですから、武技は初心者~基本だけは出来ているレベル、魔法は初級を使えるレベル(何人か全く使えない人がいますが、見学しています)、使い魔無しが殆どです。セツナは魔法を殆ど使えませんが、このクラスでは上位のようです。
でも、ちょっと面白そうな子を二人程見付けました。
一人は森人族の男の子、名前はセルジュ。すっごく貧弱で気弱な男の子ですが、魔法の腕は良いようです。
下級魔法『水砲』を沢山出していました。そして制御に失敗して、それに自分が飲み込まれて倒れました。魔法の腕は良いようです?
もう一人は獣人族の男の子のロロ、多分熊の獣人だと思うんですが、凄く身体が小さいです。でも力はある様で、大きな剣を軽々と持ち上げます。ただ、不器用なようで、凄く振り回されていました。
力自慢なのはわかりますが、自分の身体より大きい剣は使うのは難しいと思います。
どっちもダメだろとか思うかも知れませんが、このクラスでその二人しか私の御眼鏡には適いませんでした。……私の眼鏡が不良品かも知れませんが、まあ気にしないで行きましょう。
授業終了後、セツナと一緒に件の二人に声を掛けようと思います。出来れば仲良くなって、パーティーを組もうと思います。
ちなみにセツナはちょっと嫌そうでしたが、セツナはもう私の創作物の虜ですからね、私の意見に反対出来る訳がありませんよ。フフフッ。
まあ、冗談ですけどね。セツナは出来ればパーティーメンバーは女の子が良かったようですけど、私は男の子も居た方が良いと説得しました。
御眼鏡に適ったのが男の子だっただけなので、その辺は適当ですけど。
さあ、声を掛けましょう。
タマちゃんは男の子です。
タマちゃんの年齢はフィリアと同じ10歳です。年齢的なものは猫ではなく、人と同じと考えて下さい。