タマちゃんは常に可愛くあらねばなりません!
おはようございます。今日は入学式です。良い天気で良かったです。
寮に来て今日までの数日間は、部屋の改造したり、セツナと王都を見て回ったりしました。お兄ちゃんにも会いました。
それと、寮母のルシアさんとも会いました。何ていうか、お残しは許しませんよー!って感じの方でした。
でも、そういう厳しい部分はあるんですけど優しい方で、部屋の改造も許してくれましたし(駝鳥の羽毛布団を提供する事になりましたが)料理も凄く美味しいです(全部食べ終わるまで食堂を出れませんが)。
「セツナ、朝ですよ、起きて下さい」
「んー、・・・ん?」
ちょっと寝惚けているようですが、五分もしたら起きるでしょう。それまでタマちゃんの身嗜みでも整えましょうか。うん、今日も最高に可愛いです!
目を覚ましたセツナと一緒に食堂に向かいます。
「「おはようございます」」
「おや、おはよう。朝御飯出来てるよ、一日を元気に過ごす為には朝御飯は大事だからね、しっかり食べな」
朝からこの量は……いえいえ、残さず食べますよ。
量の多さに少し引いたら、ルシアさんの目が光りました。怖いです。
私もセツナも頑張って食べます。特にセツナは今日のメニューに苦手な物があるようでちょっと涙目です。好き嫌いはいけません。ちなみに種族上、宗教上等の食べれない物は予め言っておくと配慮してくれます。その辺りは流石です。ただ嫌いな物を嘘を吐いて言ったりすると直ぐにバレて、雷が落ちます(比喩表現じゃなく)。
私は食べ物の好き嫌いは無いので大丈夫ですが……ちゃんと運動しないと太りそうですね。
「「ごちそうさまでした」」
「はいよ」
「じゃあ、ルシアさんいってきます」
「ああ、いってらっしゃい。今日は寮の説明会もあるからね、忘れないように」
「はい」
セツナと一緒に学校に行くのでタマちゃん車は使いません。朝のウォーキングと思いましょう。
周りにもDクラスの新入生達が数人いますが、他の寮を見て羨ましそうにしています。
まあ、最低の住み心地ですからね。良い所はルシアさんの美味しいご飯位でしょうか……それも人によってはマイナスポイントの可能性がありますが。
私達はぶっちゃけ賄賂によって改造許可を貰いましたが、あまり部屋を良くする事を良くは思われないようです。
まあ、設備に差をつけてクラス替えで上を目指して欲しいんでしょうからね。
私も部屋を出る時は元に戻す事を約束させられました。ついでにその改造した物を寮母の部屋に取り付けて行って良いよと言われました。
さて、ウォーキングも終わり、訓練場に着きました。訓練場は校庭みたいな物です。
入学式等の式は全て訓練場で行われるようです。
新入生八十名が並びます。一クラス二十名ずつです。並び方はクラス毎に縦ではなく横二列で、Aクラスから順番に前から並んでいます。
やっぱり校長の話は長いですね。こういう時はタマちゃんをもふもふするのが良いですね。使い魔は基本肌身離さずが許されるのが素晴らしいです。まあ、それも抱えられる位の大きさまでで、身体が大きい使い魔は厩舎とか部屋に置いているようですが。
入学式が終わりました。最後に紹介された担任の先生に付いていき教室に向かいます。
「じゃあ、適当に席に着け。……着いたな。それじゃあ、説明始めるぞ。
先ずはさっきも紹介あったが、俺が担任のドローグだ。武技の授業を受け持つ事になる。
知らないで入学してきた奴は居ないと思うが、この学校は戦闘技術を学ぶ学校だ。
だから、基本的な体力を付ける体育、武器での戦い方を学ぶ武技実技、魔法での戦い方を学ぶ魔法実技等の実習の比率が高い。とは言っても知識が無いと身に付かないからな、特に魔法は、だから学科もきちんとやる。戦闘に関係の無い教科は少なめだな、最低文字の読み書きと簡単な計算、ある程度の歴史は覚えて貰うが。
後はお前等Dクラスの寮で寝泊りしたと思うが、最低だろ?授業は寮ほど差は無いけど、それでも上位クラスの方が優先されるぞ。それが嫌だったらクラス替えの試験で良い成績を取って上のクラスに上がれよ。次の試験は二ヶ月後だ。
最後に一ヶ月後からパーティーを組んでの実習があるんだが、パーティーは四人で一組だ。このクラスで五パーティー組んでもらう。目ぼしい奴には声かけとけよ。じゃあ、解散」
ドローグ先生は山人のようで、低い背に横に大きいがっちりした身体です。タマちゃんに通ずるものがあるんですが、ヒゲが減点です。可愛くありません。タマちゃんの様な可愛いヒゲだったら良かったんですけど。
「フィリアどうしたの?」
ドローグ先生のヒゲを脳内で付け替えている間に、殆どの生徒が帰っていました。
「ごめんなさい、帰りましょうか」
「ああ、でも説明会まで時間もあるし、学校見て回らない?」
「はい、いいですよ」
先ずは、魔法実習室を見に行く事にしました。
魔法実習室は一応校舎内にあるんですが、広さは訓練場並です。魔法で結界が張られていて、魔法を壁とかに当てても大丈夫な部屋なんです。
見ると、上級生のクラスが複数、実習を行っていました。あっ、お兄ちゃんがいます。一つは三年生のAクラスのようですね。
そう、会った時に色々聞きましたけど、お兄ちゃんは入学当初からずっとAランクらしいです。というか学年トップを親友と常に争っている状態で、大体一位か二位の成績だそうです。
私はDクラスだと言う事を話すと、苦笑いしていました。ダメな妹でごめんなさい。
お兄ちゃんは魔法での模擬戦をやっているようです。どちらも譲らないようですから、相手がトップを争ってる親友でしょうか?
「やっぱり上級生は凄いね」
「そうですね、でもたった二年だから直ぐですよ」
「私、魔法は苦手だからなぁ」
次は、各種部活動の部屋を見て回ります。
ただ、上級生はまだ授業中ですので、誰もいません。だからサッと見て回ります。
剣技部、槍技部……火魔法部、水魔法部……回復魔法部、付与魔法部……
やっぱり、武技と魔法関係ばっかりですね。ただ、授業でもやる訳ですし、部活動は違う事をしてみたいですけど。
魔獣研究部、竜研究部……
研究?響きが悪いですね。タマちゃんを研究……やっぱり嫌です。
鍛冶部、裁縫部、細工部、料理部……
おお!こういう部活もあるんですね。ちょっと覗いてみたいです。一度仮入部とかしてみましょうか。
迷宮探索部、遺跡探索部……
将来冒険者を目指す人達でしょうか?ちょっと興味があります。
見て回りましたが、やっぱり野球部とかサッカー部とかありませんね。
まあ、この世界でやってる人見た事ありませんけど。
流行らせてみましょうか?最終的には戦争の代わりにスポーツの勝敗で色々決める事になったりして、オリンピックとか名付けたりして……
いえ、しませんけどね。でも訓練場位の広さがあったら充分だし、私サッカー好きなんですよね……
「フィリアはどの部活に入るか決めてる?」
「はっ、いえ、物作り系の部活を覗いて見ようかなと思っている位です。セツナは?」
「うん、刀技部に入ると思う」
「そうですか、家が刀の流派教えてるんですっけ?頑張って下さいね」
そして、訓練場を見に行きます。
訓練場では武技の授業が行われていました。
何年生かはわかりませんが、身体の大きな人が多いので、四年生か五年生でしょうか。
やっぱり剣を使う人が多いですね。次は槍でしょうか?
布を使う人いないみたいですね。
もしかして教えてくれる人も居ないんじゃないでしょうか?
まあ、今悩んでも仕方ありませんね。
「刀使う人余り居ないなぁ」
「大丈夫ですよ。布使う人なんて一人も居ませんよ」
「それは大丈夫なの?」
ある程度見て回りましたが、広いですね。まだ見れてない所が多くて、セツナが次に行こうとしています。でも、もう時間です。
「そろそろ帰らないと説明会に遅れちゃいますよ?」
「そうだった!急いで帰ろう!」
なんとか説明会に遅れずに済みました。危なかったです。ルシアさんの説教は貰いたくありません。