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タマちゃんはとっても役に立ちます!

試験結果が出ました。無事合格です!

ただですね、これ試験評価なんですけど、


学力評価 A  魔法評価 C  武技評価 E  使い魔評価 E  総合評価 D


評価はA~Eで、Aが最も良く、Eが悪い訳ですが、凄く不満です。

私のタマちゃんの評価が最低評価だなんて、なんてことでしょう!

タマちゃんの可愛さ、抱き心地の良さをあれだけ説明したのに加えタマちゃんの早着替えを見せてあげたのにこの評価とは、試験官の目は節穴に違いありません!


……まあ、いいです。合格は出来ましたからね、これからの学生生活でタマちゃんの素晴らしさを教えてあげましょう。

さて、気持ちを切り替えた所で、学校に出発しましょう。

これからは寮生活なので、お母さんとお父さんには暫くの間お別れです。お兄ちゃんは私の二歳年上で同じ学校に通っています。


「お母さん、お父さん、それじゃあ行きますね」

「気を付けてねー、フィリアだったら大丈夫だと思うけど、何かあったらいつでも帰ってきていいのよー」

「頑張ってこい」

「はい、いってきます」


私は両親に別れを告げると、タマちゃんと共に学校を目指します。

この村は結構辺境にあり、学校は国の中心である王都にありますからね、馬車で二週間は掛かる道のりです。

ですが私にはこれがあります。

じゃーん!タマちゃん車です!

まあ、タマちゃんを車輪に見立てた、一輪車みたいなものです。

とはいえ私の裁縫の腕をふんだんに使ったシート部分は柔らかく座り心地抜群で、タマちゃんがバランスも取ってくれるのでただ座ってるだけで良く、振動もほとんど無く、障害物もなんのその、速度は馬車なんて足元にも及びません。最高の乗り物なのです!

タマちゃんは私と車体部分を合わせた重量位ものともしませんし、転がりまわるのも好きなので、よくこれで村の周りの森等を爆走していました。

試験の時は片道五日まで短縮出来ました。凄いですよね。

では、出発です!


着きました!王都です。四日で着きました。新記録です。

途中馬車とかすれ違う時に、凄く驚かれましたが、多分問題無いでしょう。

さて、先ずは荷物を置かなくてはいけません。寮に向かいましょう。

学校に着きました。寮は何処でしょうか?訊いて見ましょう。


「すみません。寮はどこですか?」

「新入生かい?なら先ずは掲示板で自分のクラスを見てきな。寮はクラス毎に別れているから。

掲示板はあっちだよ」

「ありがとうございます」


掲示板は・・・これですね。

私はDクラスですか。総合評価を元に振り分けているようですね。

総合評価Eだと不合格だそうですから、最低辺のクラスという事ですか。まあ、あんまりそういうの気にしませんけど。

ただ、タマちゃんの評価は撤回して貰わなければ、私はタマちゃんに関しては根に持ちますよ。


Dクラスの寮は校舎から一番離れているようです。しかもクラスによって設備に差があるようで、Aクラスの寮とは色々違うようです。

そして年に数回ランク替えが行われるそうです。

でも住んでる所をころころ替えたくありませんね。それよりは最初の部屋を私とタマちゃんが住みやすいように改造した方が……

考えながら歩いていると、寮が見えてきました。校舎まで徒歩三十分。同じ敷地内の学生寮とは思えませんね。タマちゃん車で通学しましょうか、許可されるでしょうか?

途中、AランクからCランクまでの寮が目に入りましたが、外見だけでも徐々に悪くなっていってるのがわかりました。それを毎日見る事で向上心、競争心を育てたいのかも知れませんね。

Dランクの寮は台風が来たら飛ばされそうな感じの木造寮でした。雨漏りは確実にするでしょう。

一応魔法での保護は掛かっている様ですが、それも崩れはしないようにレベルです。住み心地等は考えられていないでしょう。

入ると、寮母さんらしき人がいました。


「こんにちは、初めまして、新入生のフィリアです。よろしくお願いします」

「うん、よろしく。でも私を寮母と勘違いしてない?私これでも此処の生徒なんだけど」

「え?・・・すみません」

「いいよ、何度も間違えられているんだ。・・・そんなに老けてるかな?」

「・・・」

「そんなに真剣に悩まなくていいよ、冗談だから。私が老け顔なのは自覚してるから」

「いえ、老け顔じゃないですよ!大人の魅力っていうか、落ち着いてるっていうか・・・」

「うん、わかった、ありがとう。そこまで必死にフォローしなくて良いよ。そこまで気にしてないけど、新入生に本気でフォローされたらへこむから」

「えっと、すみません」

「うん、じゃあこの話は終わり。取り敢えず、フィリアちゃんだっけ?・・・あった、120号室だね。一階の端っこだよ。同じ新入生と二人部屋だから仲良くね」

「はい、ありがとうございます」

「私は五年で寮長のソレイトだよ。101号室だから何かあったら来てね。それと入学式の日の午後四時から寮の説明会があるから遅れないようにね。後は、本当の寮母さんはルシアさんって言うんだけど、私より凄く大人の魅力に溢れているから直ぐわかると思うよ。今は外に出てるけど会ったらきちんと挨拶しといて、これから凄くお世話になると思うから」

「わかりました。よろしくお願いします」

「うん」


私がこれから過ごす部屋に着きました。そういえば、もうルームメイトは来ているのでしょうか?

念の為ノックしないと、コンコン。


「はい、どうぞ」


居るみたいです。こういうのは最初が肝心ですよね。仲良くなりたいです。

ルームメイトは日本人っぽい凛々しい女の子でした。黒い髪をポニーテールにしています。

確か昔の日本っぽい国が東の方にあるって聞いた事ありますね。その国出身でしょうか?着ている服も着物っぽいですし武器は刀の様です、お侍さんですね。


「初めまして、フィリアと言います。この子は使い魔のタマちゃんです。これからよろしくお願いします」

「ああ、同じ部屋の人?うん、よろしく。私はセツナ、そんなに丁寧な喋り方じゃなくて良いよ、同じ新入生でしょ?」

「えっと、この口調は癖みたいなものですから気にしないで下さい」

「そう、じゃあ先ずは部屋の事決めようか。先ずはベッドの上と下どっちが良い?」

「ベッド?」


見ると、二段ベッドがあります。かなりボロボロで歪んでいたり穴が開いていたり、布団もペラッペラです。


「これは、上も下も危険ですね」

「うん、上は落ちそうだし、下は潰されそうだし、でもこの寮だと皆こんな物らしいよ?今日までは私が下を使ってたけど」

「そうですか……ちょっと荷物とか布団とか降ろしてくれますか?」

「ん?いいけど。なんで?」

「ちょっと、見てて下さいね」


布団等を外して裸になった二段ベッドに先ずは『軟化』を掛けます。

柔らかくなった所で、ベッドの歪み等を直していきます。このベッドは木材で出来ているので歪みを無くす位しか出来ませんが、これで倒れたり、上を支える部分が折れたりはしないでしょう。

次に穴を塞いだり、各所補強の為に魔獣の革を縫い付けていきます。今回は森の沼地に住んでいた硬い皮を持つ大きな蜥蜴の魔獣から作った革を使います。

そして、『硬化』をベッド全体に掛けます。


「おおー、凄いね。親が職人さんとか?」

「いえ違います、ただの趣味ですよ」


最後に私が作った布団(駝鳥みたいな魔獣の羽毛入り)を乗せて完成です。


「……え?今どっから布団出したの?」

「え?タマちゃんからですけど、さっきから革とか出してたじゃないですか?何で今頃訊くんです?」


そう、私は蜥蜴の革も駝鳥の羽毛布団もタマちゃんの毛皮の中から出しました。革を出した時に何も言っていなかったので、能力を知っているんだろうなぁと思っていたけど、違ったようです。


「いや、ちょっと変には思っていたけど、革は小さいじゃない?この使い魔の身体に入る位。でも布団はどう見ても使い魔の大きさを超えてるよね?!」

「まあ、タマちゃんの能力なんですけど、タマちゃんの毛皮の中は空間が拡がっていて、沢山入るんです」


そう、タマちゃんの能力『収納空間』です!異世界定番のアイテムボックスみたいなものですね。タマちゃんの早着替えはこれを利用しています。

ただ、制限もあって、

1.私かタマちゃんの魔力が宿る物しか入れられない。これは私かタマちゃんが加工した物しかダメという事です。蜥蜴から剥いだ皮はダメで、それを私がなめした革ならOK。食材の時点だとダメで、私が料理にしたらOK。

2.私かタマちゃんが持てる重さ、大きさの物だけ。例えば今回加工した二段ベッドは無理でしょう。

3.これは制限じゃないですけど、中に入れた物は時間が経たず、重さも無い。

という感じです。


「へえ、凄い便利だね。私も使い魔欲しくなってきた」

「幾つか制限もありますけどね。使い魔居ないんですか?」

「うん。でもその子みたいな能力は便利そうだけど、私はもっと大きい使い魔が欲しいなぁ。私を乗せて空を飛んでくれる使い魔を持つのが夢」

「鳥系ですかぁ、竜とかもありですよね」

「竜は無理だと思うけどね。まあその為にも強くならないと」

「魔獣は基本的に人を襲ってきますからね。一度勝って強さを見せないと使い魔には出来ない事が多いですし。私の場合強さは関係無かったですけど」

「どんな風にして使い魔にしたの?」

「可愛いから抱きしめたら懐きましたよ?」

「・・・凄いね、そんな事もあるんだ・・・うわっ!」


ちょっと呆れながらベッドに手を着いたセツナが驚いて飛び跳ねました。


「どうしました?突然」

「いや・・・うわぁ、何これ、すっごい柔らかい、気持ち良い」


駝鳥の羽毛布団に何度も手をやると、その後布団に寝て、布団の上で転がりだしました。

セツナ、顔がだらしなくなってますよ。鳥の使い魔を持つ夢を語っていた時とは大違いです。

それから数分後、転がるのを止めたセツナは顔を赤くして正座しました。


「・・・えっと、ごめんね」

「落ち着いたようで何よりです」

「うん、でもこの布団凄いね。こんなに柔らかい布団初めて見たよ」

「一応私の自信作ですからね」

「これもフィリアが作ったんだ?凄いね」

「タマちゃんの身体に入れられるのは私自身かタマちゃんが作った物だけですからね、私が色んな物を作れた方が便利なんですよね。まあ、その中でも裁縫は自信がありますけど」

「へえ、私不器用だし物作りとか全く出来ないから羨ましいなぁ。そういえば私の分も布団つけてくれてありがとう。凄く良く眠れそうだよ」

「どういたしまして。物作りは私の趣味だから気にしないで使って下さい。他にもどんどん部屋を改造していくつもりだけど、なるべく気にしないで下さいね」

「うわぁ、フィリアのおかげでボロボロの寮生活が凄く良い物になりそう」


それから、これからの学生生活、寮生活の事をセツナと色々話しました。

仲良くやれそうで良かったです。




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