タマちゃんも一緒に走ってますよ!
今日は朝から体育の時間です。
訓練場の外周をランニング十周、十歳の子供にはそこそこきついですね。
「ふっ、ふっ、セツナはやっぱり刀技部に決めたんですか?」
「はっ、はっ、うん、昨日の内に入部しといた」
喋りながら走る私達ですが、そこまで厳しくは無い様で、足を止めなければ注意等はされません。
「そうですか……ロロは剣技部でしたよね?」
「はあ、はあ……んっ!」
ロロは昨日の部活動対抗戦で感銘を受けたらしく、剣技部に入る事にしたそうです。
まあ、大剣も剣ですしね。剣技部の殆どが少しの差異はあれど片手剣を使うそうですけど。
と言う事はセツナのライバルはロロになるんですかね?
今戦えばセツナが圧倒すると思いますけど。
「セルジュは水魔法部でしたっけ?……セルジュ?」
「はあっ、はあっ……」
さっきまで横に居たんですけど、いつの間にか後方に離れていました。
これで二周遅れですか、頑張って下さい。
昨日は対抗戦が終わった後、残りの時間は魔法系の部の見学に戻りました。
生産系の部も面白かったので見て欲しかったんですけど、時間が足りなかったのが残念です。
それでセルジュは水魔法部に入る事にしたそうです。
本当は合成魔法部に一番惹かれていた様ですけど、合成に一番必要なのは魔法制御能力ですからね、諦めちゃった様です。一つの魔法でも暴走させちゃうのに二つの魔法とか制御出来ませんよね。
まあ、別に水魔法部で合成魔法が出来ない訳じゃないですしね、水魔法を絡めれば有りでしょうし。ちゃんと制御能力を身に付けたらやってみればいいんじゃないでしょうか。
そんな感じで三人共昨日入部したんですけど、実は私がどの部に入るか決まっていません。
武技系は結局剣技部と刀技部しか見学出来ませんでしたし、布技部なんてのも無いですし。
魔法系は入るとしたら合成魔法部ですけど、まだあんまり魔法を覚えていない身としては楽しめない気がしますし。
生産系は……うーん、ちょっと微妙です。
その他に、魔獣研究部とか迷宮探索部とかそういうのもちょっと覗いてみましたけど、ピンと来ないんですよね。
どうしましょうかねぇ。
今日の授業が終わるまで考えてみましたけど、思いつきませんでした。
三人は部活動初日に向かい、私は一人寂しく寮に帰宅します。
「フィリアさん!ちょっといいですか!?」
そんな私を呼び止める声に振り返ると、そこに居たのはクラスメイトでした。
えーと、確かアルト君、ゲイル君、ライナちゃん、チャコちゃんでしたかね。
「はい、なんですか?」
「えっと、僕達にしゅ、修行をつけて下さい!」
「は?修行ですか?」
「はい!」
……取り敢えず、落ち着いて話をしましょうか。
近くにあったベンチに座って詳しく聞き出します。
話を聞くと、彼等四人は同じ村出身の幼馴染らしいです。
その関係でパーティーを組んで、一緒に強くなろうと決心したはいいけど、四人共どうしていいかわからなかったそうです。
で、同じクラスで一番実力がありそうな私に鍛えて欲しいと思ったとの事です。
「部活動に入って先輩や先生に鍛えて貰うんじゃ駄目なんですか?」
「でも僕達四人共戦い方が違いますし、別々の部に入るのは少し怖いので」
うーん、怖いですか……多分入ってみればそんなに問題無い気もしますけどね。
まあ、相手がそう望んでいる訳ですから、私の都合だけ考えて答えればいいですかね。
教える時間はあるんですよね。入る部が決まるまでは余った時間は何か物を作って潰そうと思ってましたし。後はタマちゃんと遊ぶとかもありますけど。
問題は教える内容ですかね。修行を付けるって言っても、私は武技も魔法も殆ど自己流ですしね、滝に打たれるとかで良いんですかね?いや、それは無いでしょうか。
うーん……
「……わかりました、いいですよ」
「ほんとですか!ありがとうございます!」
「ですが、私も修行を付けるなんて初めてですので上手く出来るかわかりません。もし、嫌になったら遠慮なく言って下さいね」
「はい、頑張ります!」
何か答えがおかしくありません?……まあ、いいですけど。
受け答えしているのはアルト君だけですけど、他三人も嬉しそうに頷いています。
でも、同じ新入生に鍛えて貰おうなんてよく思いましたよね。他にも先生、寮の先輩とか選択肢あったと思いますけど。
「えー、では、先ずは皆さんの今の実力を見せて貰います。その時に近くの目標と遠くの目標を教えて下さい。近くは力が強くなりたい、動きが速くなりたい、魔法が上手くなりたい等で、遠くは国を守る騎士、魔獣討伐する冒険者、探索が得意な冒険者等ですね」
「はい!僕からお願いします!」
アルト君は武器を決める時私の後でしたので印象に残っていますね。
確か武器は長剣で……
「僕はもっと剣が上手くなりたいです!将来は魔獣討伐をするつもりです!……ぐはっ」
ああ、そうでしたね、勢いだけが良くて、突っ込む事しかしない事を注意されてましたね。
もっと考えて動けと指導されていたなと、いきなり突っ込んで来て真正面から剣を振って来たアルト君にカウンターを食らわせながら思い出しました。
ドローグ先生の指導は全く実を結んでいなかった事を知りました。
「アルト君は魔法は何を使えるんですか?」
「『着火』だけです!」
ああ、と言う事はこの前の授業の時に始めて覚えた、魔法初心者さんですね。
うーん、こう言ったら悪いですけど、ギリギリで学校に受かったDクラスでも底辺の実力の様です。
「わかりました。じゃあ次はゲイル君お願いします」
その後他三人の実力も見せて貰いましたが、実力は四人共同程度でした。
将来は全員出来れば四人一緒に魔獣討伐したいそうで、ゲイル君は盾役、ライナちゃんは斥候、チャコちゃんは魔術師の役回りの様です。バランスは良いですね。
うーん、迷宮探索部辺りに四人一緒に入った方が良さそうに思えました。でも、そう話しても断られました。
仕方ありません、私なりに修行を付けて上げましょう。
書くのに詰まると他の話とか書きたくなりますよねー……。
と、言う訳で、明日からちょっと他の話を投稿します。
それも一日置きに三つも!
ただ、その三つは適当に思いついただけの話ですので、完結は期待しないで下さい。
……まあ、フィリアも完結まで行く可能性は極低確率ですけど。




