表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/22

ライオ

僕はライオ、これから学校の入学試験に挑む。

僕は孤児だ。親の顔も知らない。

ただ、孤児の中でも僕は幸運だったようで、ある孤児院で育てられた。

そこの院長は昔有名な冒険者だったらしく、僕達は戦う術を教えて貰えた。

僕とステラ(一緒に入学試験を受ける同じ孤児院の女の子)はそれらに才能があったようで、メキメキ上達した。今の僕達なら魔獣を狩って生活する事も可能だ。

ただ、孤児院の弟や妹達の中には当然戦いに才能が無い子、戦いを望まない子もいる。というかほとんどがそうだ。

だから弟妹達が、僕達がこれから試験を受ける特殊な学校ではなく、普通の学校にも通う事が出来るように、長男である僕と長女であるステラが頑張らないといけない。

きっと、この学校を良い成績で卒業し、立派な職に就き、弟妹達の道を作ってあげるんだ!


学科試験が始まった。

僕は勉強があまり得意じゃない。剣を振る方が好きだし、易しい文字を読む事はなんとか出来るけど、書くのは難しいし、計算とかよくわからない。

それでも、院長やシスター達が頑張って教えてくれたので、僕も頑張る。

ステラは多分満点なんだろうなぁ。院長が持ってた難しい本とかも喜んで読んでたし、商人から値引きとかも出来るんだよね。

……うん、多分半分位は出来たと思う。実技で取り返すぞ!


次の日、先ずは魔法試験だ。

他の子達が見せるのは殆どが初級魔法、僕達は小さい頃から院長に教えて貰ったけど、貴族の人でも八歳、九歳位になってから教わるのが普通らしい。と言うのも、小さい頃は魔力が不安定で危険だから。学校に来るまで全く使えない人も珍しくないらしい、この学校は特殊なので少ないだろうけど。


「はっはっは、皆さんこの程度なのかね?私の魔法を見せてあげよう」


何か偉そうなのが出て来た。使ったのは『炎球』。

……はあ、あんな魔法じゃあ魔獣には当たらないし効かないぞ。


また、初級魔法が続いて、次の番は悪魔族の子らしい。青い肌と二本の角を持つとても可愛い子だ。これだけの人数の中でもかなり目立っていた。

ただ、悪魔族は珍しいし、昔人間と敵対していた事もあるので、皆遠巻きに見るだけだ。

彼女が使ったのは『土壁』、他の人よりは大きく厚い壁だけど初級魔法だ。ただ、それにしては込められた魔力量が凄く多かった気がしたけど、気になるな調べてみたい。ステラも気になったのか今まで殆ど無視していたのに、彼女が作った『土壁』を見つめている。

確かめる事は出来ず、彼女は試験官に言われ、土を元に戻した。


そして僕の番がやって来る。僕は『風刃』の魔法を四つ同時に繰り出し的を切り刻む。『風刃』は僕が最も得意な魔法で、下級魔法だけど僕の剣と組み合わせて使う事で、充分な威力を出せる。

終わった後、ちょっと周りがザワザワしていたけど、僕の後はステラだ。どうせ僕の魔法の事なんてそんなに記憶に残らないだろう。

ステラが『氷槍』を繰り出す。氷の槍を生み出す『氷槍』は中級魔法、それを数本まとめて生み出して撃つ。それは的を穿ち、的を凍らせる。

怖いなぁ、あれステラを怒らせるとたまに僕に向かって撃ってくるんだよなぁ。

予想通り大騒ぎになり、少しして落ち着いた後試験が続行された。


次は武技試験、僕の見せ場だ。

こっちは魔法とは違い、実力の高い子が何人かいた。まあそういう学校だから当然だろう。

僕も何人か手合わせしたい子がいた。

悪魔族の彼女の番がやってきた。彼女の武器は剣のようだ。

ただ、武技は得意じゃないらしい。殆ど初心者に見える。

持ち手を思いっきり間違えて試験官に指摘されて慌てているのは可愛いけれど。

痛っ!……ステラが僕の足を踏んでいた。ステラはたまに僕の心を読んでくるのだ、マジで怖い。


そして、僕の番がやってきた。僕は双剣を手に試験官と向かい合う。

開始と同時に先制攻撃を仕掛ける。息も吐かせぬ連続攻撃が僕の持ち味だ。一、二、三、四・・・

九発目の剣撃で相手の剣を弾き飛ばし、十発目で空いた胴を攻撃する。

そして、倒れる試験官。危なかった、予め保護の魔法が掛かっていなかったら斬り殺していた。

保護の魔法が掛かっていたから本気を出したというのもあるけど、連撃に夢中になると我を忘れる癖はなんとかしないとな。

その後、ステラも充分な力を見せ、武技試験が終わった。


最後の使い魔試験。使い魔を持つ人は四分の一位の人数だった。

狼や鳥、蝶に骸骨等色々な使い魔が披露される。魔法を使う使い魔に剣を振る使い魔、色々な使い魔の能力を見せていく。

悪魔族の彼女の使い魔は猫の魔獣の様だ。ちょっと体型が微妙だけど、多分猫だろう。

その猫が見せたのは、早着替えだった。……確かに凄い。どこに持っていたのかわからない物と今着ている物を瞬時に着替えていく。そして隣で彼女が使い魔の可愛さを凄く熱を持ってアピールする。

うん、可愛い、彼女が。痛い!

猫の方は僕から見ると可愛いとはとても言えない。凄くふてぶてしいのだ。着替えてみせた後のドヤ顔が凄くイラつく。

隣を見ると、ステラが猫を見てニヤついていた。……女の子の好みはよくわからない。

そして、彼女とその使い魔の番が終わったわけだけど、彼女はこの学校が戦闘訓練が主の特殊な学校だと言う事がわかっているのだろうか?

あれで試験で良い評価が貰えるとはとても思えないけど、いいんだろうか?


僕の番がやってきた。僕の使い魔は白竜の幼竜で名前はミドラだ。院長とステラと一緒に魔獣狩りをしていた時に、偶然魔獣に襲われている幼竜を見つけ助けた所、懐かれたので院長に教わって使い魔契約した。ミドラはまだ子供で身体も小さいが、将来は何人もその背に乗せて飛べる位大きくなるらしい。

その時が凄く楽しみだ。

そして、まだ小さいけれどミドラは光のブレスが吐ける。一度放つと何時間か休まないと吐けないけど、その威力はステラの全力の魔法に匹敵する。この小ささでこの威力だとすると、大きくなったらどれだけ強くなるんだろう?

人に敵対する竜も居るというか、そっちの方が多いのでちょっと怖くなってくる。

試験でもブレスを見せた。もう驚き疲れた感じで、反応は小さかったけど。


次はステラの番だ。ステラの使い魔は水の精霊で名前はサラだ。本当はもっと長い名前だそうだけど、本当の名前は契約者にしか教えないらしい。そしてステラはまだサラときちんと契約を結んでいない。

サラがステラの魔力を気に入って、引っ付いているけど、まだステラの魔力量が少ない為契約出来ないらしい。

詳しい事は僕にはわからないけど、仮契約の状態らしい。

ステラはまだ仮契約である事を試験官に説明して、サラに魔法を使って貰う。

サラが使ったのはステラと同じ『氷槍』だった。もっと強い魔法も使えるだろうけど合わせたんだろう。


そして、僕達の入学試験が終わった。ちゃんと自分の持つ力は見せられたと思う。

多分合格出来ると思うけど、ちょっと不安だなぁ。

ステラみたいに図太い神経を持ちたいよ……痛いっ!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ